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富士フイルム イメージング利益減ながらも「より良いサービスと製品を提供し続ける」

富士フイルムが、2020年3月期決算発表を行いました。イメージングソリューションの営業利益(通期)は前年度比 -51.0%半減したものの決算短信の中で「今後もより良いサービスと製品を提供し続ける」事を明言しています。

セグメント別 売上高と営業利益 (通期)

富士フイルム セグマント別 連結売上と営業利益

イメージングソリューション全体 通期の売上高/営業利益

  • 売上高 … 3326億円 / 前年度比 543億円減 (-14.0%)
  • 営業利益 … 251億円 / 前年度比 260億円減 (-51.0%)

イメージングソリューション全体の営業利益は251億円(-51.0%)で以下のように概況を説明しています。

セグメント別概況

売上は、COVID-19影響などで、インスタントフォトシステム「チェキ」やカラーペーパー、ミラーレスデジタルカメラ「Xシリーズ」などの販売が減少し、減収。営業利益は減収により減益。

COVID-19感染拡大による影響

  • 当社グループ中国工場における操業率低下で、一部新製品の発売を延期。
  • 小売店への来客減や休業などにより、インスタントフォトシステム「チェキ」シリーズやミラーレスデジタルカメラ「Xシリーズ」などの販売に影響。

事業の状況

  • フォトイメージングでは、カラーペーパーの販売減に加えて、チェキで上期に在庫調整があった影響などで売上が減少。第3四半期のチェキのセルスルーは対前年増加。
  • 電磁映像では、市場環境が厳しく、主にエントリーモデルの売上が減少したが、「Xシリーズ」のフラッグシップモデル「FUJIFILM X-Pro3」などの販売は堅調に推移。
  • 光学デバイスでは、主に中国景気減速による車載用など各種産業用レンズの需要減の影響を受けて売上は減少。

上記は決算説明会資料からピップアップしましたが、別の資料 2020年3月期決算短信(PDF)では、「GFX100」や「X100V」の販売は好調である事を掲載。加えて「今後も " アナログからデジタルまで " 幅広い分野において多様化するお客さまのニーズにお応えし、より良い製品・サービスを提供し続ける。」と明言しています。

イメージングソリューションはフォトイメージングと光学・電子映像の2つ事業から成り立っており、デジタルメラは電子映像に属します。それぞれの通期と第4四半期を見てみると…

イメージングソリューション

フォトイメージング・光学・電子映像 通期

  • フォトイメージング … 2289億円 / 前年度比 286億円減 (-11.1%)
  • 光学・電子映像 … 1037億円 / 前年度比 257億円減 (-19.9%)
  • 電子映像のみ(デジタルカメラ) … 720億円 / 前年度比 186億減 (-20.5%)

フォトイメージング・光学・電子映像 Q4

  • フォトイメージング … 454億円 / 前年度比 84億円減 (-15.5%)
  • 光学・電子映像 … 211億円 / 前年度比 82億円減 (-28.4%)
  • 電子映像のみ(デジタルカメラ) … 143億円 / 前年度比 56億減 (-26.1%)

イメージングソリューション全体では冒頭のように営業利益が半減していますが、電子映像(デジタルカメラ)部門は、通期で-20.5%と踏みとどまっている事が分かります。しかし第4四半期は-26.1%となっているので、今後は4月以降が含まれるのでさらに数字自体は悪化しそうな印象です。「X-T4」の発売が開始されただけに、今後普通にモノが買えて自由に写真・動画を撮りに行ける状況がいつになるのかで収益が変わってくるのではないでしょうか。※「X-T4」は現在品薄状態

ここで気になってくるのが今後富士フイルムが開発を積極的に続けるのがどうか…研究開発費と設備投資を見てみようと思います。

イメージングの研究開発費と設備投資

研究開発費
研究開発費

研究開発費

  • 通期 … 2019年3月期 99億円 → 2020年3月期 101億円
  • Q4 … 2019年3月期 27億円 → 2020年3月期 22億円

通期で見るとイメージングの研究開発費は99億円から101億円に増加していますが、Q4だけ見ると逆に27億円から22億円に下がっている事が分かります。

設備投資

  • 通期 … 2018年3月期 94億円 → 2019年3月期 106億円 → 2020年3月期 125億円
  • Q4 … 2018年3月期 32億円 → 2019年3月期 39億円 → 2020年3月期 38億円

設備投資の方も通期で見れば94億円→106億円→125億円と増加している事が確認できます。よっぽど核となる事業じゃない限り利益が出ない事業や部門に関して研究開発費や設備投資は、頭打ち、もしくは減っていく傾向にあるので、決算発表時に毎回チェックしている訳ではないですが、今のところいきなりカメラ事業を止めてしまう感じでは無い印象です。

事業的に光学・電子映像が占める割合

富士フイルム 事業分野

カメラ事業などのイメージングが事業の柱になっている企業はかなり厳しい状況となる事が予想されていますが、富士フイルムの事業におけるイメージングの割合を見てみようと思います。上記のスクリーンショットは2020年2月に公開された「富士フイルムグループ 事業概要」になります。※今回の決算発表 業績関連資料一括ダウンロードに入っています。

イメージングソリューションが全体の16%で、そのイメージングソリューションの中で光学・電子映像が占める割合が33%なので、富士フイルム全体として見れば依存度は低く影響は限定的な感じでしょうか。