パナソニック「LUMIXコンセプトは生命力・生命美」「色思想とレンズ設計の方向性は…」
パナソニックが、パナソニックのレンズ設計と色思想の考え方や方向性を紐解くCP+2020 動画「レンズ設計と色思想からひも解くLUMIXの描写力とその進化(大貝篤史様)【パナソニック公式】」をYouTubeに公開しました。
司会進行役がクリエイティブディレクター 大貝篤史氏、パナソニックからはレンズ商品企画 渡邊慎治氏、光学設計 美藤恭一氏、画質設計 岡本晃宏氏が出演。パナソニックのレンズ設計と色思想の考え方や方向性紐解く内容となっています。個人的に興味深かったポイントをピックアップしてみました。ちなみにLUMIXシリーズが掲げるコンセプトは「生命力・生命美」とのこと。※G9以降のコンセプト
LUMIX S PRO 50mm F1.4 のコンセプト
- 4つのコンセプト「優れた描写性能」「ボケと立体感」「機動力」「堅牢性」を元にSシリーズレンズを考えた
- 「LUMIX S PRO 50mm F1.4」に関しては、最初に展開するSシリーズ単焦点レンズとして基準となる位置付け
- 特に立体感、究極の理想を追い求めたレンズ
- 設計開発の立場としては、ボケ感・立体感・被写界深度の浅さに一番こだわって設計開発を進めた
- 他社50mm F1.4レンズ10本以上をベンチマークし、我々が作りたいレンズに非常に近いレンズが1本あり、企画・技術と一緒に写真を見ながら開発の方を進めていった
- 50mmでポートレートを撮影した時に、ピントの合った瞳から耳元にかけての4~5cm、なだらかにボケていくのを表現したかった
- LUMIXは非球面レンズに強みがあり、立体感の表現に繋げている
司会進行役の大貝氏がこぼれ話的に、他社の50mmレンズをバラしたり、色んなレンズで瞳を撮影したりとパナソニックが研究を重ねていた事を明かしています。
S Proレンズは、大三元・小三元・大口径単焦点レンズになる
- S Proシリーズは、基本的に性能を追ったレンズで " Certified by LEICA " の称号を頂いて高性能なレンズを展開している
- 考え方として「大三元・小三元・大口径単焦点レンズ」の展開を考えている
マイクロフォーサーズ用レンズでは " パナライカレンズ " で、Lマウント用レンズでは " S Pro (Certified by LEICA) " という別の称号になっていますが、基本的には同じでライカの思想を元に開発したレンズである事が伺えます。
ライカブランドレンズとしてクリアしなければないらない事
- ライカの名を冠したレンズは、ライカ社と綿密なやり取りが必要となる
- 設計段階から試作段階まで何度も何度もやり取りをして承認をもらっていくステップを踏んでいく
- ライカレンズと無印レンズの違いは内部的に基準を設けていて、これはこだわり度合いの強さの違い
- 例えば「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH. POWER O.I.S.」の場合、MTFの数値や収差をどう制御するかこだわりが一番多く、やり取りをしながら決めて行ったレンズでそれが味わいに繋がっていると思う
- 逆光耐性(ゴースト・フレア)も基準の中に含まれている
- ライカの名が付いているレンズほど、そのこだわりは強い
単に名前貸しではなく、ちゃんとライカ基準で設計しきっちり煮詰めたレンズである事が分かるコメントとなっています。マイクロフォーサーズの括りで見てみれば、パナライカレンズとオリンパス PROレンズの方向性が違うので、個人的に良い意味でどちらを買うのか悩みどころ。
レンズの色設計
- 「生命力・生命美」を絵作りの思想として掲げている
- 写真の中で被写体を描き切りたいという思いを込めてこの言葉を使っている
- 実物よりもリアルに感じる写真を目指している
- 例えば写真は2次元であるが、それを見た人が3次元のようにリアルに感じる絵作りを目指している
- 色・階調特性・解像感など様々なモノがあるが、すべての要素を1つの思想に向けて作り込んでいる
Sシリーズのノイズ処理の良さの理由と方向性
- マイクロフォーサーズという比較的小さい目のセンサーで高感度の画質を追求してきた技術の蓄積が凄く活きている
- 1つ目指すものとしては、感度を上げても色の印象が変わらない事を狙っている
- そのポイントとして、ディテールの描写が落ちない事と色再現性で、感度が上がっても色として再現できる事を重要視している
- ノイズを消しに行くという事ではなく、ノイズをいかに綺麗に残すかを念頭に置いてやっている
- フィルムのノイズの分析もしており、心地良いノイズ感の研究も重ねてきたので、それが普通の高感度の方にも心地良いノイズ感として反映している
パナソニックはマイクロフォーサーズで10年やってきましたが、その蓄積がLマウント フルサイズミラーレス Sシリーズでも活きている事が伺える内容となっています。