シグマ山木社長 各ミラーレスマウントを語る「ミラーレスレンズ フルラインアップを構築」
英国シグマが、山木社長 Q&A インタビュー動画「Q&A with SIGMA CEO Mr Kazuto Yamaki」をYouTubeに公開しました。個人的に興味深ったポイントをかなりざっくりピックアップしてみようと思います。
山木社長のお気に入りレンズ
- 35mm F1.4 DG HSM … 最初のArtレンズでこの焦点距離はプロ写真家やハイアマに支持されている
- 18-35mm F1.8 DC HSM … 非常に独自性が高く他に類を見ないレンズで、ビデオグラファーにも使用されている
- 105mm F1.4 DG HSM … 非常に重く大きなレンズであるが、設計者が思いっきり情熱を注ぎ設計したレンズで、彼は天体写真家でもあり完璧なレンズを造りたいと思っており、私はそのような " 姿勢 " や " 情熱" を好む
山木社長は、CP+などのトークステージでも開発者の狙いや想いを語る事も多く、それがレンズのコンセプトとなり独自性の高いレンズ群がラインアップされている理由かもしれません。
アナモフィックレンズ
- シネマトグラファーやビデオグラファーからこの手のレンズの需要がある事は認識している
- 多くの方から同じ質問を受けるが、将来的な製品についてコメントは差し控える
- しかし需要がある事は承知している
シグマはシネマレンズ市場に参入し様々なレンズの要望がある事が伺え、民生用レンズだけでなくシネマレンズも発表時、話題になる事も。
SIGMA fpにFovenではなく従来型のベイヤー配列センサーを搭載した理由
- fpカメラコンセプトでは、ベイヤー配列センサーがベストだと考えている
- Foveonセンサーは、既存のSDやDPカメラコンセプトではベストであると考えている
- しかしfpはコンセプトが異なるのでセンサーを変更する事にした
- まず最初にする事は、それぞれの製品コンセプトを設定する事で、その過程でそのカメラに合ったベストなセンサーを選択するのです
「fp」は個性的なコンセプトカメラで、Foveonセンサーではなく従来型のベイヤー配列センサーを採用した事も話題になりました。
Eマウント フルサイズ対応 70-200mmレンズ
- ミラーレスカメラ市場は成長しており、シグマはよりミラーレス用レンズに注力していく
- 我々はミラーレス用レンズ・フルラインアップの構築を始めていて、このようなレンズ群が必要であると考えている
今のところミラーレス専用設計「FE 70-200mm F2.8」の発表が噂されており、CP+2020に向けて発表されるのかどうか分かりませんが、そう遠くない未来に投入されそうな受け答えになっています。同時にLマウント用も投入されると思うので、やはり " EマウントとLマウント " を中心にミラーレス用レンズが構築されそうな印象。
富士フイルムXレンズ
- 以前から富士フイルムXレンズの要望がある事は分かっている
- 我々の使命は可能な限り多くのシステムをサポートする事にあると考えている
- 富士フイルムXマウントもサポートしたいと思っているが、開発リソースに限りがありプロジェクトに優先順を付ける必要があり、顧客の要望に応えるために現在多くのプロジェクト抱えている状態である
以前からインタビューで質問される事が多いXレンズですが、これまでと変わらないコメントとなっています。ただし直接的な否定はしておらず、以前EF-Mレンズがサプライズ的に発表されただけにまだ可能性は残っているのかもしれません。う~ん…でも日本社会においてこういう返答は、波風立てずやんわりとした断りにも感じます。
キヤノンRFレンズとニコンZレンズ
- キヤノンとニコンの新システムについては考察(検討)中
- 両社のフルサイズ新システムはスタディ中で、まだ対応レンズを造るかどうか決めていない
これまでのインタビューと大きな違いはないコメントとなっています。以前写真家 田中希美男氏が「シグマによるRF/Zマウントレンズは、大人の事情や開発リソースなどの複雑な問題で当分やる事はないだろう」と語ってただけに、すぐには登場しない事が伺えます。
マイクロフォーサーズレンズ
- 多くの顧客がいるシステムでサポートしたいと思っているが、すでにオリンパスとパナソニック多くのマイクロフォーサーズレンズが存在し新製品を投入するスペースを見い出すのが難しい
- しかし新製品を投入するニッチなスペースが見つかれば、顧客がエキサイティングするレンズをリリースしたいと思っている
現在のシグマのマイクロフォーサーズ用レンズは、専用設計ではなく " Eマウント用 " を対応させている感じなので、ぶっちゃけ今後もマイクロフォーサーズ専用設計レンズは登場しない気がします。個人的にマイクロフォーサーズ用 56mm F1.4 DC DN | Contemporary を所有していますが楽しいレンズです。あくまでも個人的な意見ですが、焦点距離をAPS-Cに合わせているので、シグマのマイクロフォーサーズ用レンズの焦点距離って躊躇してしまう事も。
SIGMA fpの立ち位置
- 「fp」は純粋なスチルカメラではなく、純粋なビデオ/シネマカメラでもない
- このカメラは静止画とシネマ、2つの顔を持っておる
- この小型カメラは、RAW動画 cinema DNGフォーマット記録に対応しており非常にユニークで強力な機能であり、今ある市場でこのような独自性のあるカメラは存在しない
- ISO感度 : ISO6にも対応しており、かなり独自性の高い写真が撮影可能である
- ディレクターズビューファインダー機能は、シネマカメラによる画角や見え方をシミュレーションする事が可能である
どちらかというと動画寄りのカメラのイメージが強いですが、山木社長のTwitterアカウントでは「fp」を静止画で楽しんでいるユーザーさんのツイートを積極的に紹介していて、静止画用途でも需要がある事が伺えます。
シグマの業績において誇れるもの
- シグマ製品を所有する顧客
- 高品質な製品を造る情熱
- 当社の製品を通して顧客の素晴らしい写真ライフに貢献できるのであれば、我々にとってこの上ない喜びである
- CEOとしては、エンジニア陣が刺激的な高品質製品を開発するため束縛される事のない意識を持っている事を嬉しく思う
- 単に仕事と割り切ったものではなく、彼らの情熱が製品となる
顧客と従業員に向けたメッセージとなっており、現在の関係性を継続していく考えである事が伺えます。他にもソフトウェアメーカーとの共同作業に関する質問もあり、アドビとの作業を例に挙げその必要性もコメントしています。