ソニー 2020年7~9月期決算発表 EP&S分野増益ながらカメラの販売台数は減少
ソニーが、2020年度 第2四半期 業績説明会 (2020年7~9月)を行いました。ソニー全体で前年同期比14%増の3178億円となり市場予想を大幅に上回り、カメラ事業を含むEP&S分野も増収増益。しかしデジタルカメラの販売台数は減少した事を明らかにしています。
ソニー全体
- 売上&営業収入 … 2兆1,135億円 / 前年同期比 -88億円
- 営業利益 … 3,178億円 / 前年同期比 +388億円 (+14%)
- 純利益 … 4,596億円 / 前年同期比 +2,717億円 (+145%)
売上高は前年同期比で-88億円となっていますが、営業利益と純利益は大きく上回っている事が分かります。半導体は米中摩擦の影響で減益となっていますが、ゲームが巣ごもり消費で好調とのこと。今後はPS5も発売されるのでさらに需要が高まりそうな予感。映画はコロナの影響で減収減益ですが、音楽は増収増益となっています。
EP&S分野 (カメラ事業を含む)
- 売上高 … 5,047億円 / 前年同期比 +112億円
- 営業利益 … 540億円 / 前年同期比 +126億円
テレビの販売台数が伸びたおかげて売上高も営業利益も増収増益になった模様。特に営業利益は、大幅に増益になった事を強調しています。ただしカメラ事業に関して気になる文言が…売上高・営業利益ともにデジタルカメラ販売台数の減少をマイナスポイントとして挙げています。補足資料の方にカメラの売上高が掲載されているので最後の方でチェックしてみようかと。
I&SS分野 (イメージセンサーを含む)
- 売上高 … 3071億円 / 前年同期比 -36億円
- 営業利益 … 498億円 / 前年同期比 -265億円
半導体は減収減益。米中摩擦の影響でファーウェイへの出荷が9月に止まった事は報道済み。ソニーは、競業他社であるカメラメーカーにもイメージセンサーを販売しており、その中で " デジタルカメラ向けイメージセンサーの減収 " の文言は、コロナの影響もあると思いますがカメラ市場の縮小が止まっていない事を映し出しているのではないでしょうか。
気になるニュースが2つあって、まず最初は日本経済新聞「ソニーの画像センサーに迫るサムスン 米中摩擦で明暗」になります。ソニーにとってファーウェイはアップルに次ぐ大きな顧客だったが、米中摩擦の影響でイメージセンサーの出荷を停止。サムスンの方は、アップルやファーウェイと大きな取引はなく、シャオミやVIVOのような下位メーカーを開拓してきたおかげで、シャオミなどのスマホ増産の恩恵を受け攻勢を掛けている模様。こちらの報道では、ソニーはファーウェイ向けの落ち込みを完全に埋めるのは難しいと伝えています。
一方ニュースイッチ(日刊工業新聞)は「ソニーのイメージセンサー新工場、ファーウェイ向けの落ち込みをiPhoneでカバー」を掲載。こちらはソニーが、ファーウェイの落ち込みをアップルなどの受注増でカバーできる目処が立ったと伝えています。
今後のコロナの影響や米中摩擦による経済の動きによって、ソニーとって良い風が吹くのかどうか気になるところです。
ソニーカメラの売上高
補足資料の方にスチルカメラとビデオカメラの合算で、売上高が掲載されています。Q1(4月~6月)はコロナの影響で約464億円と大幅に売り上げ落ちましたが、Q2(7月~9月)は約902億円まで回復。前年同期比で約996億円 → 約902億円となっているので経済が回復している事が伺えます。しかしカメラの販売台数が減少している事を明らかにしているので、今後も経済が回復傾向にあっても現状維持が精一杯かもしれません。