ニコン「今後も製品単価を上げていく」「新レンズを投入しレンズ付帯率を向上させる」
先日 ニコンは年間決算を発表しました。追加で質疑応答(Q&A)資料を公開しており、映像事業について興味深い発言をしているので一緒に見てみましょう。
Q︓ 中高級機の販売に注力して収益性を高め、営業利益を拡大してきたが、今期は減益見通しとしている。今後、収益拡大は期待できないのか︖
A︓ これまで中高級機へのシフトと、ミラーレスカメラ及びその付帯レンズの強化の戦略により、平均販売単価が上昇し収益を拡大してきました。今期は、市場正常化により競合との競争が活発化しており、販売促進費用の増加を想定していますが、先日発表した Z 8 や交換レンズなどの新商品の投入に伴う単価上昇とレンズ付帯率向上等により、今期の営業利益率は中計想定を上回る15%台を想定しています。※2023年3月期 主な質疑応答(PDF)より
新レンズ投入を示唆
先日「Z 8」を発表したばかり。その時にZレンズが同時発表される事はありませんでしたが、新レンズを投入する予定である事を示唆しています。以前に触れた事がありましたが…
- 35mm S-Line
- 135mm S-Line
- 70-180mm
- 200-600mm
- DX 24mm
- DX 12-28mm PZ
現時点でニコンはZレンズロードマップで6本を予定しています。「Z 9」と「Z 8」が出揃ってから満を持して「Z 200-600mm」超望遠ズームレンズが登場してきそうな展開に。上記のZレンズ群の登場も楽しみですが、その後ニコンがどのようなレンズを計画しているのか気になるところ。Zレンズロードマップの更新にも期待したいところ。
今後も製品単価を上げる方向性
ニコンは「Z 8」を発表する前に、既存の一部製品を5月18日に値上げする事を告知済み。※ニコン出荷価格改定 対象製品一覧(PDF)
「Z 8」も量販店売り出し価格を見る限りその基準で価格設定を行っている事が伺え、今後の新製品も " 単価が上昇 " する事を示唆しています。今後登場するであろう新レンズ群だけでなく、今年登場するのかどうか分かりませんが「Z7II/Z6II」後継機の単価も上がってくるのではないでしょうか。
レンズ付帯率向上を目指す
いかに顧客に2本目、3本目の交換レンズを購入してもらうのか、システムカメラの大命題。しかもニコンは中高級機の販売に注力しているだけに、レンズもそれなりに利益率の高く、ニコンの利益に付与しそうな印象。しかし撒き餌レンズというか、比較的安価で写りが良く誰でも購入し易いレンズも出してくれると良いな~と。購入し易いレンズは、TのOEMレンズになるのでしょうか。色々想像してしまいます。
競合メーカーであるキヤノンも年間7~8本のRFレンズの市場投入を目指しており、レンズラインアップを拡充しバリエーションに厚みが増す事によりレンズ付帯率向上を目指しているのではないでしょうか。いくらお金があっても足りない状況になりそう…w
どう表現するのか難しいですが、カメラ市場はある意味 " 趣味性 " 高くなってきていると言えるかもしれません。…と言う事は、レンズではなくカメラの話になりますが " フルサイズ版 Zf カメラ " が登場する可能性も。
今年度は販売促進費用が増加
今年度は " カメラ市場正常化により競合との競争が活発化 " し、販売促進費用が増加する事を想定しているとのこと。ニコンは発表したばかりの「Z 8」を国内外で大きくプッシュしてくるのではないでしょうか。広告関連ではなく、国内外で何かしら独自イベントも開催していく事も予想されます。
ニコンは今年度 (2023年4月~2024年3月) 映像事業の通期見通しを前年比で…
- 売上高 … 2,271億円 → 2,400億円
- 営業利益 … 422億円 → 380億円
…と少なく見通しています。他の質疑応答で中国市場が回復基調であるものの、欧米の景気減速の可能性を織り込んだ見通しである事を明らかに。