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キヤノン2020年Q3決算発表 カメラ需要回復アピールもカメラ市場縮小は止まらない

キヤノンが、2020年12月期第3四半期決算発表を行いました。2020年上期(1月~6月)と比べ回復傾向である事を大きくアピール。カメラ需要も回復している事もアピールしていますが、数字を見る限りカメラ市場が縮小し続けている事が伺えます。

ノート付きの決算発表資料を参考にしています。

キヤノン全体として見れば回復基調

キヤノン決算発表

第2四半期はCOVID-19の影響で世界経済はは大きく落ち込みましたが、第3四半期は回復基調で、オフィスと産業機器はほぼ計画通りに推移し、イメージングとネットワークカメラは計画を上回ったとのこと。ただしイメージングシステムは、カメラとインクジェットプリンターを合わせた数字なので注意が必要です。

回復基調であるものの復調し切れていないので売上高も営業利益も去年のQ3実績を下回っている事が確認できます。減収減益ながらもCOVID-19からの回復基調をアピールする決算発表なので、どう判断するのか難しい側面はあるかもしれません。

イメージングシステム全体のQ3実績

イメージングシステム

イーメジングシステムはカメラとインクジェットを含んだ実績で、在宅ワーク重要でインクジェットは大きく売り上げを伸ばした事を明らかに。カメラに関しては…

カメラについては、在宅時間が増え、家庭での撮影ニーズが高まったこともあ り、市場の回復は想定よりは早く、また、強力な新製品を投入した効果もあり、収益性が改善しました。※説明会資料(ノート付き)より

…とプレゼンしています。

  • 売上高 : 2019年Q3 1,892億円 → 2020年Q3 1,854億円 -2.0%
  • 営業利益 : 2019年Q3 101億円 → 2020年Q3 269億円 +169%

売上高は大きく差はないのですふぁ、営業利益が101億円 → 269億円となっており169%の爆上げとなっているのが印象的。詳細は書かれていませんが、人件費や販管費などの効率化も図っているのかもしれません。

カメラ事業2020年Q3実績

カメラ事業
  • 売上高 : 2019年Q3 1,086億円 → 2020年Q3 912億円 -16.0%
  • 売上高 : 2019年実績 4,668億円 → 2020年見通し 3,301億円 -29.3%

営業利益に関してはインクジェットも含んで来るのでQ3も2020年見通しも黒字なのですが、カメラ事業だけ見れば、去年を下回る結果に。しかし決算資料ノートを見てみると…

カメラの需要は、縮小傾向が続いていたところに、今年はさらにコロナによって大幅に減少する見込みですが、人々の動きが活発になり、撮影の機会も 徐々に増加してきたため、第3四半期のカメラの市場は想定よりも高い水準となりました。この状況を踏まえて、レンズ交換式カメラの今年の市場規模の 見通しは、前回から50万台引き上げて、対前年33%減の590万台としま した。

当社の年間の販売台数も市場並に減少し、270万台となる見込みですが、 この第3四半期に投入したフルサイズミラーレスの新製品「EOS R5」と 「EOS R6」は、画期的な動画撮影機能やAF性能、手振れ補正機構が大きな反響を呼び、販売開始直後から好調な売上を記録しています。また ラインアップを拡充したレンズについても、本体との相乗効果で販売が伸長し、 プロダクトミックスの改善が進んでいます。※説明会資料(ノート付き)より

  • レンズ交換式カメラ : 2020年Q3 64万台 -35% / 2020年見通し 270万台 -35%
  • コンパクトカメラ : 2020年Q3 36万台 -46% / 2020年見通し 150万台 -42%

想定よりもカメラ需要が回復傾向にあるようですが、カメラ市場の縮小傾向にあるのは変わらず減収減益、レンズ交換式カメラの販売台数は3割減の見通し、コンパクトカメラに関しては4割減の見通しの模様。

プレゼンを見ると「EOS R5」「EOS R6」と交換レンズとの相乗効果で販売が伸びている事をアピールしています。特に「EOS R5」は市場にまんべんなく出回っている感がないのが一般的だと思うのですが、キヤノンの言葉が正しければ、あれの問題ではなく需要が供給を上回っているから市場で出回っていない事になります。

気になる2020年実績見通しグラフ

2020年見通し

現時点における2020年実績見通しでは、Q4も回復基調である事を想定し業績が回復する見通しを立てています。しかし掲載されている対前年比売り上げ増減推移グラフを見てみると、Q3で一気に0%近くまで回復したイメージングが、Q4で再び下降する見通しである事が確認できます。

国内では年末年始商戦、海外ではホリデーシーズン商戦が始まる訳ですが、カメラ市場でキヤノンがどのくらい業績を上げるか、シェアを獲得するのか注目です。以前の噂ではグローバルで「EOS R5」や「EOS R6」の在庫不足が10月末~11月かけて解消されていくと言われていましたが、どういう展開になるのでしょうか。