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キヤノン決算発表「カメラ開発・生産・販売・製品ラインアップすべてスリム化する」

キヤノンが2020年12月期第2四半期決算を発表し、四半期ベースではじめて赤字決算となり大きな話題となっています。イメージングに目をやるとインクジェットジェットプリンター需要で何とか黒字は確保したものの、カメラ市場は最終的に映像にこだわりを持つユーザーのみの市場規模になる事を示し、カメラ開発・生産・販売・製品ラインアップすべてのスリム化するとのこと。加えて年内に「新しいコンセプトカメラ」投入を準備中である事を明らかに。

ノート付きの資料に決算発表時のプレゼン内容が掲載されているのでそれを参考に構成しています。

四半期ベースではじめての赤字決算で33年ぶり減配の衝撃

キヤノン決算

一応キヤノン全体を見てみるとオフィスと産業機器の需要がCOVID-19の影響で激減し四半期ベースではじめて赤字決算に…配当も80円から40円に減配とのこと。第2四半期の赤字は88億円となっています。

イメージングシステムは何とか黒字を確保

キヤノン決算発表

イメージングは大減収も営業利益8億円の黒字となっていますが、イメージングはカメラだけでなくインジェットプリンター・ビジネスも含んでいるので、リモートワークのプリンター需要による黒字の可能性が高そうな予感。

昨日行われたキヤノンマーケティングジャパンの決算発表資料を見る限りカメラの販売台数は対前年同期比で6~7割りぐらい落ちている事が確認できます。ちなみにキヤノンマーケティングジャパンは、広告宣伝費8億円削減、人件費41億円削減などを行いトータルで販管費を71億円削減し、営業利益は増益に。ただし人件費削減の内訳は " 賞与・給与・退職給付費用 " も含まれている模様。

カメラ事業は、開発も製品ラインアップすべてスリム化を示唆

キヤノン決算

スライドには「事業のスリム化を加速」しか掲載していませんが、ノート付き資料を見てみると詳細が掲載されていて…

カメラは、足元で市場の縮小が加速しているものの、最終的には映像にこだわりを持つユーザーの市場規模に遅かれ早かれ落ち着くことに変わりはありません。その規模でも採算を確保するべく、事業の開発・生産・販売の体制や 製品ラインアップなどすべてのスリム化を加速します。これまで培った光学技術を活かし、捻出したリソースを車載や産業用センサーなどの新たな分野に 振り分け、事業領域の入替を目指していきます。

キヤノンは、カメラ市場は趣味の世界と言うかマニアの世界というか、市場が下げ止まりする事なく落ちる所まで落ちても利益を確保する為に " 開発・生産・販売・製品ラインアップ " すべてをスリム(縮小)化していく事を明言。

キヤノンは、カメラ市場の縮小が顕著化した時にインタビュー記事でB2CからB2Bに移行してく事を示唆していたので、より一層推し進められるのではないでしょうか。すでにイメージセンサーの外販は始まっており、今後は光学系のB2B事業も強化されそうな印象。ただし車載はすでにソニーなどが力を入れている分野なのでキヤノンが割って入れるのかどうか気になるところ。

チグハグに感じるカメラ事業の方向性と「EOS R5/R6」の製品造り

キヤノン決算

イメージングシステム(カメラ)のスライドでは、今後カメラの役割が " 映像の記録・共有からコミュニケーションツールへと拡がる " としていて、当然映像という表現は静止画だけでなく " 動画 " も含まれます。ノート付き資料を見てみると新たなニーズとして…

  • リモートワーク需要によるWebカメラ需要
  • 動画クリエーター向けに必要な撮影アクセサリーをセットにして販売

ただしこれからキヤノンが発売する利益率の高いフルサイズミラーレス機「EOS R5」「EOS R6」は、発売前から動画撮影時における熱(オーバーヒート)問題が指摘され特に海外で話題になっています。極端に言うと、新たに開拓したい市場に向かない利益率の高いカメラが投入される事に。

新たなコンセプトカメラを年内投入を準備中

上記のイメージングシステム(カメラ)資料のノートに「従来のカメラにこだわらない新しいコンセプトのカメラへの取り組みも 強化しており、年内には、新製品を発売する準備を進めています。」と掲載しています。ベタに考えればすでに展開中の「アソビカメラ iNSPiC REC」的なカメラ、もしくはVlogger向けのソニー「ZV-1」やパナソニック「G100」のようなカメラになるのでしょうか。どのようなカメラが登場するのか分かりませんが、新たなニーズを獲得する事になれば良いなと思います。

イメージングの年間見通しは「EOS R5/R6」の大ヒット前提?

キヤノン年間見通し

今回各事業の見通しも掲載。イメージングシステムは、前年比-66.6%ながらも年間営業利益161億円を見込んできます。「EOS R5」「EOS R6」は予約受付時から需要が供給を上回っていそうな事をキヤノンは示唆しているので、両機の需要を見込んだ年間見通しとだと思います。ちなみに月産台数は明らかになっており…

  • EOS R5 … 1万2,000台
  • EOS R6 … 1万6,000台

両機はスチル機としては前評判がすごく高いですが、やはり動画撮影における熱問題がどうなるのか…購入者が問題視するのかどうか…。両機の売り上げが振るわないと営業利益161億円を達成できない可能性も。あと今年投入予定の「新しいコンセプトカメラ」が、キヤノンならではの新しい提案である事に期待です。