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キヤノン「米国への前倒し出荷は考えていない」「その商品を他地域にまわすこともできる」

キヤノンが、2025年12月期 第1四半期 決算発表 (2025年1月-3月実績) を行いました。質疑応答(Q&A)資料が公開され、米国相互関税を中心としたやり取りが掲載されています。米国相互関税に関しては各国が米国と協議を重ねており、現時点で最終的どのような関税率が課されるか流動的な期間となっています。しかし下記のようにキヤノンは、現在置かれている状況と、現時点における方向性を示しています。

キヤノン

Q1.米国の関税影響をセグメント別に見た場合に、影響度の大きさの順番を教えてほしい。
A1.セグメント別の関税影響の大きさの順番については、米国における売上の大きさの順 と同様である。売上構成比を概算でみるとプリンティングが約60%、メディカルが約10%、イメージングが約25%となっている。

Q2.中国に対する追加関税率は145%を前提とするとのことだが、計画に織り込まれ ている影響は小さいという認識で良いか。
A2.当社の中国工場での生産品については中国市場向けが大半であり、特に米国への輸出はほとんどないため、影響は実質ないと考えて良い。

Q3.米国の販売子会社の製品在庫の水準はどの程度か。関税コストアップの試算において、在庫も考慮しているのか。
A3.米国子会社の手元在庫は1、2カ月分程度である。関税コストについては、単純に4月からの9カ月で計算しているわけではなく、在庫についても考慮し、いつから上昇するか試算して計画に織り込んでいる。

Q4.値上げの対応状況を教えてほしい。追加関税を価格転嫁する場合、エンドマーケ ットでどの程度の値上げとなるのかイメージを教えてほしい。
A4.値上げをすることは主なディーラーへは通知しており、タイミングや値上げ幅の試算中 である。関税は原価に対して負担することとなるため、価格に転嫁する場合、原価率が高い製品ほど高い値上げ率となる。製品の原価や生産地を含めて詳細に分析し、製品毎の値上げ率を決めていく。

Q5.追加関税によるコストアップ560億円に対して、値上げ影響が428億円に留まっているのはなぜか。
A5.追加関税によるコストアップに対して、値上げで対応する方針はどの製品にも共通であるが、製品セグメントや顧客毎の契約条件の違いにより値上げのタイミングが異なっている。 加えて、受注型ビジネスについては、すでに価格を合意している取引があるため、すぐに価格転嫁できないケースもある。

Q6.関税影響について、値上げによる数量減はどのような前提で見込んでいるのか。
A6.値上げによる数量減については米国に特化して、経験則に基づいて試算している。他の地域への影響はない前提であるため、仮に関税問題をトリガーに世界不況が起こった 場合には、前提が変わってくる。また例えばカメラなどではバックオーダーになっている商品があり、米国への出荷が抑えられたとしても、その商品を他地域にまわすこともできると考えている。

Q7.関税影響は、第2四半期以降、どのように推移していくと考えれば良いか。
A7.第2四半期は、関税率が上昇する前に輸入した在庫がある一方で、値上げについても100%は浸透しない。関税影響を受けるのは主に下期と想定して試算している。

Q8.今後、想定以上に数量が下振れした場合に、その悪化を吸収することは可能か。
A8.値上げが、どの程度影響するかを正確に見通すのは困難であるが、仮にさらに下振れた場合にもコストや経費の削減を行い、今回発表した見通しを守っていきたいと考えている。

Q9.90日の猶予期間中に、米国へ前倒しで製品を出荷し、在庫を積み増す計画はあるか。
A9.米国へ前倒しで製品を出荷することを現時点では考えていない。むしろ在庫を抱えながら売上に結びつかないというリスクの方を意識している。

Q10.今回の関税影響について、競合との比較という点ではどのように捉えているか。
A10.関税については等しく同じ条件であるため、競合関係に大きな変化はないと考えている。仮に公表されている10%以上の追加関税が適用される場合、カメラについては国内での生産が他社より多い当社は有利であると考えている。プリンティングについては競合他社も含めてグローバルに生産しており、一概に有利不利は言えないが、飛び抜けて税率が高い中国で生産し、米国へ輸出している会社は不利であろうと認識している。

キヤノンが一番影響を受けるのが売上構成比を概算でプリンティング事業が60%、イメージングが25%となっています。米国子会社の在庫は1~2ヶ月程度ですが、90日間の猶予期間に米国に前倒しで製品出荷を行い在庫を積みます計画は無いとのこと。別の質問では、米国への出荷が抑えられた分を需要のある他国にまわす事ができると表現しています。基本的にキヤノンのカメラ製造は日本生産の比率が高いので競業他社より有利と考えている模様。

あと米国は現時点で中国に対して追加関税率145%を課していますが、キヤノンの中国生産は中国市場向けが大半であり、中国から米国への輸出はほとんど無く、影響は実質ないと考えているとのこと。