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ライカ「Sシステムは少なくとも3~5年はデジタル一眼レフ」「ライカQは大成功」

Red Dot Forumが、ライカ社主 アンドレアス・カウフマン氏 インタビュー記事を掲載しました。去年開催されたフォトキナ2018で行われたインタビュー記事で、個人的に興味深く感じたポイントをざっくり抜き出してみました。

Lマウントアライアンスのパートナー同士が直接ライカSLと競合してしまう心配は?

  • シグマは、Lマウント機でFovenセンサーを搭載する予定である
  • パナソニックも最初のLマウント機をお披露目済みである
  • しかしこれらの機種は、必ずしもライカ顧客に向けモノではない

パナソニック S1を例に挙げ、S1は21個ものボタンを採用しているが、これはライカデザイン哲学とはまったく違うものであり、ライカは写真の本質だけに焦点を当てた開発を行っており、我々はクリーンなアプローチを好むとコメント。

個人的な印象ですが、ミラーレス機で言えば " ライカTL " などは、クリーンなアプローチと言って良いのではないでしょうか。

アライアンスメンバーは、カメラボディだけではなく、レンズも競合する事になりますが?

  • シグマボディにパナソニックレンズを装着したところを想像できますか?
  • パナソニック機にライカレンズ? ライカにシグマレンズ?
  • それは可能である
  • もちろんセンサー技術も異なる
  • ライカLマウントレンズは、SLボディとの組み合わせが最高かもしれない
  • 何がベストなのか、それを決めるのは顧客次第である

Lマウントアライアンスは、複雑なものではなく、顧客は自由に選択可能でオープンスタンダードな規格である事をアピールしています。

ライカQは大人気でしたね?

  • Qは、SLへの道を切り開いたのです
  • 最初のQのために技術開発が必要だった
  • 面白い話があって、7500台の販売を計画していたのだが、その10倍売れたのです
  • Qは、我々にとって信じられない成功を収めた機種なのです

近い将来にSシステムのミラーレス化を検討していますか?

  • 少なくとも3~5年は、ミラーを採用したデジタル一眼レフ(DSLR) スタイルカメラを用意する予定である
  • 光学ファインダーは、被写体を実像(3D品質)で見る事ができる、これはEVFにはない

暗に将来的にSシステムもミラーレス化を視野に入れている事が伺える内容で、ライカはミラーレス技術を注視しており、そのシステムに意味を成すものであれば投入する方向性の模様。「Sは最高レベルのシステムカメラで、妥協はしない」ともコメントしています。

あとライカ S3は6400万画素センサーを搭載していますが、現行のSマウントレンズ群は、8000万画素~1億画素ぐらいまで対応可能で余力があるとのこと。

SLマウントレンズの展開が遅いようですが?

  • これらの新レンズは、量産が非常に難しい
  • 新しい APO-Summicron レンズは、非常に厳しい許容誤差の元、性能の限界を押し上げている
  • プロトタイプは何でも可能で、設計の段階では良いが、生産に移行する時に壁にぶち当たる ※意訳しています
  • 例えば、ライカ ノクティルックスM f1.25/75mm ASPH. Mレンズは、生産過程において3回再設計を行う必要があった

動画についてですが、どうお考えですか?

  • ライカとして静止画に焦点を当てているが、動画は非常に重要である

現時点の動画の状況を語っており、8Kは少し時期尚早、4K機能の要望は高い模様。あと4KではなくHDの需要もある事も語っています。ライカM10は動画性能を省いていますが、ボディサイズ的に熱問題により動画機能搭載が不可能だったそうです。カメラの奥行きを3~4mm小さくすると熱管理に大きな問題が生じるとのこと。将来的なM型カメラに動画機能が搭載されるかもしれないと可能性を残すコメントも。

ちなみにデジカメWatchの記事に掲載されている製品担当者によると、M10はコンセプト的に動画機能を省略したとなっています。

センサーの高画素化の流れについて

カメラ業界は、画素数競争は新たな(別の)ステージに差し掛かっているとしながらも、最適な画質を実現するのに本当に必要だとは思わないとしながらも、これが市場が向かっている方向性であると語り、それと共に描画エンジン Maestroの重要性にも触れています。

最後に

  • ビジネスはそれなりに順調で、我々が信じる製品を造り続け、稼いでいく
  • そういう所は、ライカが得意とする所である

去年の9月25日に行われたインタビューで内容は決して新しくはないのですが、M10になぜ動画機能が搭載されていないのか、Sシステムの方向性など、これまで分かっていなかった事も掲載されています。