ニコンが、PFレンズ (位相フレネルレンズ)の詳細を掲載
海外先行発表されていたニコンの望遠レンズ AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR がようやく日本国内発表され、製品ページ と NIKKOR 新製品ニュース(PDF) に今回ニコンが初採用した PFレンズ (位相フレネルレンズ)の詳細が掲載されています。
PF(位相フレネル)レンズ
PF(Phase Fresnel:位相フレネル)レンズは、ニコンが開発した光の回折現象を利用して色収差を補正するレンズです。PF素子と通常のガラスレンズを組み合わせることで、優れた色収差補正能力を実現。PFレンズの強力な色消し効果によって、レンズの薄肉化や比重の小さい硝材の使用が可能となり、レンズの軽量化が可能になりました。
軽量・小型化に大きく貢献
望遠レンズの全長を短縮させるためには、テレ比(全長/焦点距離)を小さくする必要があります。一般的なカメラ用レンズ(屈折レンズ)のみの構成でテレ比を小さくすると、レンズ前方の凸群で発生する色収差を後方の凹群で拡大してしまうため、全長の短縮には限界がありました。PFレンズは、一般的なカメラ用レンズとは逆の方向に強力な色収差を発生させることで効率的な色消しが可能となり、全長を短縮しても優れた色収差補正を達成。光学系の全長短縮が鏡筒の短縮を実現し、望遠レンズの軽量・小型化ができるようになりました。
優れた色収差補正
一般的なカメラ用レンズ(屈折レンズ)は、光の屈折現象を利用して撮像面に像を結んでいます。光は色(波長)により屈折する強さが異なり、レンズに近い方から青(B)・緑(G)・赤(R)の順で結像します。この色ズレは「色収差」と呼ばれ、色のにじみとして画像の劣化につながります。これに対しPF素子は、レンズに近い方から赤(R)・緑(G)・青(B)の順で結像します。PFレンズは、PF素子と屈折レンズを組み合わせることで、それぞれの色収差を打ち消し合い高い色収差補正を可能にしています。
Capture NX-D「PFフレアコントロール」搭載
PFレンズの特性上、画面内外に強い光源がある場合、光源を中心にリング状の色つきのフレア(以降「PFフレア」とする)が写り込むことがあります。画像に写り込んだPFフレアは、Capture NX-Dに搭載の「PFフレアコントロール」機能で軽減することが可能です。詳細についてはソフトウェアのヘルプをご覧ください。ソフトウェアは必ず最新版にバージョンアップしてお使いください。
PFレンズは、色収差の補正効果が高く、レンズの小型軽量化が可能でかなり有用なレンズですが、強い光源に対して独自の " PFフレア " が発生する時があるとのこと。これに対してCapture NX-Dに " PFフレア " を軽減する「PFフレアコントロール」機能が搭載されちゃんと対策が練られているようです。
すでにキヤノンは、基本的に同じ働きをする回折レンズ DOレンズを採用していますが、今後キヤノンのDOレンズ / ニコンのPFレンズ 逆光時のフレア耐性比較画像などが登場してきそうな予感です。
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR は、2015年1月29日発売予定、希望小売価格 ¥247,500 (税別)となっています。