ニコンも中長期的にカメラ市場が半減すると予想 Zシリーズの浸透に時間を要する
ニコンが中期経営計画(2019~2021年度)説明会を行い説明会資料(PDF)を公開しました。映像事業に関する現状や今後の方向性を示唆していて興味深い内容となっています。映像事業は、今後もニコンの基盤事業として安定的に200億位円以上の利益を確保する計画の模様。
事業環境認識
- レンズ交換式カメラ市場は、ミラーレスシフトが加速するとともに、一眼レフ初級機を中心に市場縮小が進み、中長期的には半減する見込み
- Zシリーズが持つ本来の魅力やポテンシャルを発揮するには時間を要する
- 主要な賞を複数獲得するなど各方面から高い評価
- Zシリーズの魅力を最大化するレンズラインアップの構築はスタートしたばかり
戦略の方向性
- フルサイズシステムの強化による、中高級機ユーザー層の確実な取込み
- スマートフォンユーザーなどの新たな映像趣味層を獲得
- 更なる市場縮小に対応し、一段踏み込んでコスト改革を継続
重点施策
- Zマウントシステムのラインアップを完成
- 一眼レフ中高級機の戦略機種の投入
- SNS/映像アプリとの連携強化、撮影後を含む独自の映像体験を提供
- 生産・販売体制のもう一段の見直しと、販売経費・開発費の効率化
ニコンは去年フルサイズミラーレス機 Zシリーズを投入しましたが、現時点でデジタル一眼レフ市場縮小をカバーできるほど市場を獲得していない状況で「Zシリーズが持つ本来の魅力やポテンシャルを発揮するには時間を要する」事を認識しており " Zマウントシステムのラインアップの完成 " が最優先事項である事が伺えます。
フルサイズ重視でAPS-Cはどうなる?
ニコンもキヤノンと同様に中長期的に市場が縮小する見込みである事を明らかに。フルサイズシステムを強化し中高級機メインに展開していく方向性で、掲載されている商品群別売上収益割合が興味深く感じます。この図は、シェアでは無くあくまでも収益割合ですが、APS-Cシステムが2018年度に比べて2021年度が半減している事が分かります。DXミラーレス機の噂がありますが、ニコンがAPS-C市場に対してどの様な戦略を考えているのか気になるところ。少なくとも数は追わず、利益重視である事が伺えます。
あとミラーレスシフトが加速し、一眼レフ初級機を中心に市場縮小が進むと予測しているので、今後のデジタル一眼レフ ラインアップに影響を与えそうな感じです。
ニコンのAIの使い方
このところ民生カメラにおいて " AI / ディープラーニング " がトレンドの1つで、ソニーの " リアルタイムトラッキング / リアルタイム瞳AF " が代表的な機能ですが、ニコンは撮影後の画像に対してAIを用いた独自の映像体験を提供していく方向性のようです。画像補正に関しては、すでにAIを取り入れたアプリケーションが存在しているので個人的に興味があります。