ニコン映像事業 通期の営業利益171億円赤字 安定的な利益確保は厳しくさらに構造改革する
ニコンが、2020年3月期決算・2021年通期見通し・中期経営計画進捗を発表しました。映像事業の通期の営業利益は171億円赤字となり、中期経営計画で進めていた映像事業 安定した200億円以上の営業利益は厳しく、さらに踏み込んだ構造改革を行う事を示唆しています。加えて4月/5月の販売実績が大幅に減少し2期連続の赤字見通しも掲載。
2020年3月期 通期 : 映像事業
映像事業の売上が前年比で703億円減、営業利益が171億円赤字である事が分かります。ニコンはミラーレスにシフトしつつあり、中高級機種に注力しその効果が出つつある事も掲載していますが、2月中旬以降 新型コロナウイルス感染拡⼤による需要減や⾼級⼀眼レフカメラ・ ミラーレスレンズの発売延期等が売上を下押しした事も明らかにしています。
- レンズ交換式デジタルカメラ … 206万台 → 162万台
- 交換レンズ … 317万本 → 265万本
販売台数も掲載しており、2019年3月期と比較すると市場縮小と共に販売台数が減少している事が分かります。
2020年4月/5月の販売実績が大幅に減少した事も示唆
2021年3月期通期見通しで、4月/5月の販売が大幅に減少した事を明らかに。2期連続の赤字は避けられない状況である事を掲載。新型コロナウイルスの経済的な影響は、2月/3月というより " 4月/5月 " である事は容易に想像できるので、ニコンだけでなくカメラメーカー各社の次回決算は厳しいものになるのではないでしょうか。
今回は中期経営計画の進捗状況も掲載しており、映像事業の計画は「安定的に200億円以上の営業利益確保」でしたが、その現実は厳しい事を示唆し今後の方針を明らかにしています。
映像事業 さらなる構造改革を示唆 その内容は?
ニコンはこれまでの決算でも収益が望める中高級機へ注力する方向性を示していましたが、より開発を選別し、販売においても " 販売/営業経費 " の徹底的圧縮、グローバルな販売体制も今期中に抜本的な見直しを実施する事を明らかにしています。生産工場においても他事業に振り、人員を整理する事で固定費を削減していく方向性のようです。早期黒字化を目指す事で製品ラインアップや今後のロードマップに何かしら影響が出てくるかもしれません。
映像事業は現時点でも重要な柱の1つ
映像事業はこれまで重要な柱の1つでニコンは新たな柱を確立すべく動き始めていますが、経済系メディアが、その遅れを指摘する記事を見かける事も。2020年3月期 通期の売上収益の内訳を見ても、割合は減りましたがまだ全体の38% (2,258億円)を占めています。研究開発費も全体の34% (211億円)である事が分かります。