ソニー「F1.0レンズは技術的に可能だが、市場の需要はない」「F1.2の需要はあると思う」
Amateur Photographerが、フォトキナ 2018 ソニー 田中健二氏 インタビュー記事を掲載しました。F1.0レンズの可能性をはじめミラーレス市場における今後の展開や競合他社に対してどう考えているのかコメントしています。
今年ニコンとキヤノンがフルサイズミラレス市場に参入し、Lマウントアライアンス(ライカ・パナソニック・シグマ連合)も登場しましたが、フルサイズミラーレス機の購入を考えているユーザーにとってソニーは依然として最良の選択と成り得ますか?
- この先のカメラを考えるとミラーレス機は、スピード・振動(手ブレ補正)・画像品質などデジタル一眼レフ(DSLR)を上回るアドバンテージがたくさんあると思う
ニコン・キヤノン・パナソニックのフルサイズミラーレスシステムの第一印象は? 例えばニコンは、マウント径を大きくする事によりF値が明るくより広角なレンズが作れると言っているが、どのようにお考えですか?
- レンズ径が問題ではない
- 正直に言って小さいマウントで作る事は非常に難しい
- しかし「FE 400mm F2.8 GM OSS」の品質は競合他社より優れている
- つまりマウント径は、我々の最先端レンズで問題になる事はない
F1.0レンズは可能ですか?
- 可能であるが、市場の需要がない
- まあF1.2の需要はあると思うが、F1.0の需要はあるだろうか?
- 技術的にF1.0レンズを作る事は可能であるが、ビジネス的に意味はない
特にニコンとキヤノンのシステムについて第一印象をお聞かせください
- レンズ交換式カメラ(ILC)市場は縮小しつつある
- 幸い、ソニーのILC事業は増加しつつある
- ポイントは、どのように市場全体の減少に歯止めをかけ、市場を拡大させる事にあるかと?
- キヤノン・ニコン・パナソニックが同じ市場に参入した事は非常に良い事である
- 競合他社のカメラを比べて、どのカメラが良いのか私が知る由はないが、それを気にする事もないし、選択肢が増えユーザーがその中から選択する事が市場拡大に繋がるのではないでしょうか
- ソニーは5年前にフルサイズミラーレス市場に参入し、すでに多くのレンズをラインアップし、非常に洗練されたカメラを展開しているので、競合他社と比べて多くのアドバンテージがある
ニコンとパナソニックが、低画素/高画素機による2モデル戦略で、ソニーをコピーしている事が興味深いですが、私が思うにソニーが非常に成功を収めているからでしょうか?
- 先ほども言ったように我々の業界(産業)を拡大させたいと思っている
- その点において、どういうわけかニコンとパナソニックの戦略は、ソニーのものと似通っている
- なので業界を成長させたいのであれば、私は競合他社の別のアプローチや違う事を見てみたいと思う
新たな競合他社の登場により来年ソニーの計画に影響を与えましたか?
- もちろん新製品を計画しているが、正直言って競合他社を気にしてはいない
- 我々は、顧客の声が大事
- 多くの顧客からフィードバックを得て、それに基づいて開発しているところである
レンズラインアップ上の隙間はどこにあるとお考えですか? ズームレンズ、望遠レンズ、より大口径なレンズ? 優先事項はあるのでしょうか?
- レンズラインアップは拡充中で、フォトキナでは12本のレンズを計画している事を発表した
- 顧客は、より柔軟な選択肢を得る事になる
- スポーツ撮影用に「FE 400mm F2.8 GM OSS」発表したが、このセグメントに向けて別のレンズ群の開発も計画している
- ソニーカメラは幅広い顧客にアピールする必要があるため、F4ズーム、F2.8ズーム、大口径単焦点レンズなど幅広いニーズに対応する必要がある
ソニーは小型カメラの開発に注力しており「ソニーのカメラは小さすぎる」という批判も時々聞きます。大きなレンズを装着した時にハンドグリップとレンズにスペースがありません。その事に関してどう理解しているのでしょうか? ※意訳しています
- 2つのタイプの顧客がいる
- モビリティに非常に重点を置いている顧客は小型軽量カメラを求め、これは我々が展開しているカメラになる
- エルゴノミクスと小型化にはバランスを取る必要がある
- しかし大きなカメラを好む顧客にとって、ソニーの哲学(製品)ではなく、別の製品の方が良いかもしれない
2019年ソニーは、どのようなカメラ&レンズを計画しているのでしょうか。今のところ動物瞳AFが計画されていて、α7S IIIやEマウント APS-C ハイエンド機、FE 135mmレンズなどが期待されています。