ソニー「APS-C 複数機種を計画中」「積層型センサーは依然として高価なセンサー」
Imaging Resourceが、CP+2019 ソニー 田中健二氏 インタビュー記事を掲載しました。明言ではなく示唆するようなニュアンスでEマウント APS-C 複数機種を計画しいていて、どうやらハイエンド機も含まれている模様。
長いインタビュー記事なので興味深かった箇所をざっくり抜き出してみました。
今後2~5年間におけるレンズ交換式カメラ市場の動向
キヤノン 御手洗冨士夫会長が以前「デジタルカメラの市場が今後2年間で半分ほどに縮小する恐れがある」とインタビュー記事でコメントした事に対して田中氏にソニーがどう考えてるのか質問しています。
- CIPAによる去年のレンズ交換式カメラ(ILC)市場の出荷数は、8%減少している
- しかしソニー αシリーズの出荷台数には、そのような傾向は見受けられない
- (CIPAのデータを元に)単純計算すると、2年後 現在の市場と比べて80%を下回る事になるだろう…が、半分にはならない
- フルサイズミラーレスは勢いを増していて、ほぼ150%の成長を遂げている ※前年に対して150%増の意味では無く、前年に対して50%増という意味
市場の動き的には、フルサイズミラーレス市場を挙げていますが、もう1つスマートフォンユーザーが動画に興味を持ってレンズ交換式カメラを購入する需要も挙げています。Imaging Resourceは、補足でスマホユーザーとクリエーターの1%がレンズ交換式カメラに興味を持てば(購入すれば)、ビジネスは2倍に膨れ上がると解説
ソニー α6400
- チルト式 タッチパネルやマイク端子を採用した機種
- これまで通り静止画ユーザーを対象にしながら、動画ユーザーもターゲットにしている
- YouTube vlogger、スマートフォンを使う人達など
今後のEマウント APS-C カメラの展開
α6400がスマートフォン・ユーザーを対象としていて、ソニーがよりAPS-C市場のシェアを獲得しようと思っているならば、さらに注力する必要があり、APS-Cを軽視しているのかどうか知りたいという質問に対して…
- そんな事は言わないでください、非常に重要な市場であると考えている
- その前にやるべき事があったのです ※優先順位的にEマウント フルサイズ機に注力
- APS-Cの前にシンボルとなるブランドと製品を確立する必要があり、まずはフルサイズミラーレス機を作り始めた
- 我々の目標はカメラ事業全体を拡大する事にあり、第2段階に移行する、それが " APS-C " となる
- 意識高い系APS-Cモデルを開発する可能性があり、このモデルは意識高い系ユーザーをはじめ米国ユーザー達が、このタイプのモデルを心待ちにしている ※直訳すると機会があるとコメントしています
- ただし「ハイエンド APS-C」と「エントリークラス フルサイズ機」を購入する層が重なるので、ソニーにとってどちらがベストな方法なのか考えているところ
- もちろん技術的には、両機種展開する事は可能ですよ(笑)
現在の市場を見るとAPS-C市場は、富士フイルムがハイエンド機をラインアップし、キヤノンはエントリークラス フルサイズ機 EOS RPを投入し市場を開拓しようとしていますが、どうやらAPS-C/フルサイズは、市場が違うものの購入する層が重なっているそうで、ソニーがなかなか " Eマウント APS-C フラッグシップ機 " を投入しない大きな理由かもしれません。※ソニーは、α6500もフラッグシップ機とは表現していなかったような気がします。
インタビューの後半、東京五輪絡みの質問の中で再びAPS-Cカメラに触れていて…
- 我々は、APS-Cシリーズカメラの拡充に取り組んでいる
- 方向性としては複数機種であり、1機種ではない ※That maybeを " 方向性 " と意訳しました
- 次のモデルはこれになると示唆している訳ではないが、スポーツに焦点を当てているので、APS-Cの領域も注力していく
あくまでも個人的な感想ですが、ミニα9と噂されている「α6700/α7000 (仮名)」が実際に登場してもおかしくないコメントに感じます。Eマウント APS-Cレンズの強化も期待したいところ。あとマウントアダプターを使用する事なく、1つのマウントで " APS-C / フルサイズ " に対応している事もアピールしています。
積層型センサーとAI
ソニーは、今回 " リアルタイムトラッキング / リアルタイム瞳AF " を実装していて、競合他社より一歩先に行っていますが、やはりAI以前に高速プラットフォームが重要で、この高速プラットフォームに「AIエンジン」が組み込まれているそうです。
α6400のプロセッサは、α9と同じ世代のプロセッサ (BIONZ X)で、リアルタイムで高速処理されるとしながらも、積層型センサーを搭載するα9と比べると、センサーの処理能力の差があり、α6400はシングルショットでは問題ないものの、高速連写時は遅れが生じると説明。
α9が搭載する積層型センサーは依然として高価なセンサーの模様。田中氏は個人的な意見としながらも「ボリュームが価格を下げる」積層型センサーの消費が増えれば販売単価は下がる事を示唆しています。
上記の動画は、Imaging Resourceのインタビュー記事とはまったく関係ありませんが、センサーとAIの繋がりというか、ソニーが10年先を見据えてた技術を開発している事が伺える対談動画となっていて興味深く感じます。