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ソニー「4K60pを実装する事は簡単」「APS-C GMレンズは…」「静止画10bit」

dpreviewが、CP+2019 田中健二氏 インタビュー記事を掲載しました。(α7Sシリーズに)4k60pを実装する事は簡単だが、顧客はさらに上のスペックを要望しているとコメントしています。α6400が発売されたばかりで、APS-Cの今後が伺えるインタビュー記事の模様。APS-C用 GMレンズの質問も興味深く感じます。

長いインタビュー記事なので興味深かったポイントをざっくり抜き出してみました。

キヤノン EOS RPのような低価格製品が登場しつつありますが、フルサイズ市場はどのように発展していくとお考えですか?

  • 競合他社が(フルサイズミラーレス)市場参入しつつあり、顧客にとって選択肢が増えるので、非常に良い事である考えている
  • 我々の目標は産業を成長させる事であり、競合他社の参入自体 良い事であると考えている

EOS RPは新しいタイプのエントリークラス・フルサイズミラーレス機で、キヤノンがエントリークラス・レンズを拡充した時に強力なストーリーとなると語っています。ソニーは、戦略的に1つのマウントで展開していて、ソニーにとって最初のエントリーは " APS-C " で、次のステップが " フルサイズ " となり、段階的にステップアップしていくカタチを構築していきたい模様。

フルサイズミラーレス市場はソニー1社独占ではなくなったが、本気でライバルと見なしている競合他社はありますか?

  • 競合他社すべてが強力で、各社リスペクトしている
  • 業界成長のためにコンピューターによる写真、これらのテクノロジーをどう取り入れるのか考えている ※AI/ディープランニングなどの技術を指していると思います
  • 20年以上前にこの種のテクノロジーと出会い、イメージングの新たな未来を創造する事となった
  • 現在 競合他社に敬意を持っているが、次のステップは、コンピューターによる写真から多くの事を学ぶ必要がある

競合他社に対するソニーの優位性は?

  • ソニーは、顧客が価値を見い出す事ができる技術を提供するテクノロジー・カンパニーである
  • ソニーに人々が魅かれるのは、価格ではなく、テクノロジーでありたい
  • もちろん(価格とテクノロジー)のバランスは重要であるが、ソニーの最も重要な事はテクノロジーであり、それが顧客価値を生み出す事となる
  • テクノロジーは、未来へ顧客を導く
  • 去年 " スピードとAI " が我々の新しいテクノロジーの原動力になると語ったが、他のミラーレス・メーカーもこれらの技術開発を試みていて、それは現実のモノとなりつつある
  • これまでプロにターゲットを絞っていたが、今年はプロだけでなでなく、もう少し裾野が広い「α6400」を発表した
  • 様々な顧客に向けてメッセージを送る必要があり、基本的に我々の製品は先進技術が詰め込まれており、先進技術が顧客の撮る喜びを実現する

あとソニーの利点として研究開発(R&D)部門がある事を挙げ、最も重要な事は技術であり、それがカメラの売り上げ・利益に直結すると考えている模様。新技術開発には開発費が必要で、時には戦略的に高価格な製品を作ったり、顧客基盤を増やすアプローチをする事もあるとコメント。個人的に後者は、「α7 III」や「α6400」あたりを連想してしまいます。

ソニーが、APS-Cよりもフルサイズに重点を置いていると思っている一部の人々がいますが、正確なところを教えてください

  • フルサイズは、我々のテクノロジーを提供するベストなプラットフォーム
  • もちろんこのテクノロジーは、APS-Cの顧客に段階的に採用していく必要がある
  • 我々は両顧客に注力しているが、(新たなテクノロジーを採用する)タイミングは少し異なる
  • 順番的にまずはフルサイズ、次にAPS-Cとなる
  • ソニーがAPS-C市場を無視していると言われてきたが、我々の答えが " α6400 " である

APS-C用 GMレンズの可能性は?

  • はい、(高品質レンズは)やりますよ
  • しかし、どのようにブランド化するのかは分からない
  • おそらく " GM " 名義にはならないと思うが、高品質レンズ群は間違いなく開発におけるオプションの1つである

以前どこかでGMレンズは、フルサイズ用レンズと定義されていたような記憶がありますが、やはりAPS-Cで高品質レンズを展開する場合、違うブランド名が付けられる可能性が高い事が伺えます。

APS-Cは、プロの使用に耐えられるフォーマットと思いますか?

  • 正直に言って、静止画はフルサイズの方がプロに適している
  • しかし動画の場合、APS-Cはアマチュア・プロフェッショナル双方、耐え得ることができる
  • なぜならセンサーサイズが、動画用イメージセンサーフォーマットの " スーパー35mm " に近いからである

APS-C版 α7Sを造ってみたいお気持ちは?

  • それは可能だと思っている
  • 米国市場では、 BlackMagic Pocket Cinema Cameraがあり、これはプロにとって素晴らしい製品で、(APS-Cは)ハイエンドアマチュア用製品だけではない
  • このカメラのセンサーはマイクロフォーサーズセンサーで、ソニーのAPS-Cはさらに大きなセンサーである

実際にソニーが " APS-C版 α7S " を開発するのかどうか興味津々です。実際に開発を示唆しているのかどうか判断は難しいですが、少なくとも否定していないので、APS-C用高品質レンズと共にEマウント APS-C フラッグシップ機の登場に期待したいところ。

APS-C用 シネレンズについて興味はありますか?

  • 可能性はあるが、市場規模を見るとフルサイズの方が、より大きなチャンスがあるように思える
  • シネマ市場のみ焦点を絞った場合、市場は小さすぎるが、いわゆる " クリエイター市場 " であればもう少し市場は大きくなる
  • 多くの事を心に秘めているが、この場で詳細をお話しする事はできない
  • ご存じの通り静止画と動画は、まったく違う世界で、30pも60pも同じと考える静止画ユーザーがいるが、静止画ユーザーと動画ユーザーの考え方はまったく異なる
  • それを融合しようとは考えていない、それが現実的である
  • 双方のクリエイターのために新しいカメラを造っていきたい

本当にそうお考えですか? ソニーは、α7Sシリーズのような(静止画と動画を両立した)ハイブリッドカメラの主要メーカーですが…

  • 多くのユーザーが、α7S IIをビデオカメラとして楽しんでいるが、もともと静止画ユーザーのために設計したカメラである
  • なので我々が、動画ユーザー向けの製品を造るのであれば、今後修正する必要が出てくる

完璧に動画性能と静止画性能を両立したハイブリッドカメラはないと語っています。これまで " α7Sシリーズ " を動画用途で購入しているユーザーさんは多いのではないでしょうか。

動画ユーザーは、どのような変更を要望しているのでしょうか?

  • dpreviewを含む市場から多くのフィードバックが寄せられている
  • 基本的に期待されている事は " 4K60p 10bit 4:2:2 " などで、多くのメーカーが採用しつつある
  • しかし私は別の手段で、顧客の期待以上のモノを作りたいと思っている
  • 4K60pを実装するのは簡単
  • 多くの顧客から様々な要望があり、それを超えるモノを実現しないと、なので我々は研究を続けているのです

新しいカメラは、新世代ディスプレイに対応したHLG動画撮影が可能ですが、この技術がどのように静止画カメラに影響を与えると思いますか?

  • Jpegは古いフォーマットで8bit制限がある
  • 動画は10bitになり、静止画も同じように10bitになるはずである
  • なので静止画を10bitに圧縮する方法を研究している
  • 新たなスタンダード(規格)は、10bitになると思う
  • このようなフォーマットは市場に多く出回っているが、どのフォーマットが顧客にとってベストなのか検討する必要がある
  • スマートフォンは高ダイナミックレンジ・ディスプレイを搭載しているので、おそらくスマートフォンから動きが出てくる
  • テレビ用の開発は少し遅れるが、結局のところすべてが10bitになる

東京五輪は1年後に開催されますが、その時までにソニー機を使用する多くのスポーツ写真家が登場すると思いますか?

  • キヤノンとニコンを比べた場合、我々はその分野においてビギナーに過ぎない
  • 今のところ一歩一歩進んでいる状態で、ジャーナリストやスポーツ写真家からフィードバックを受けており、好循環で突き進んでいる
  • 今言える事は、大きなスポーツイベントでソニーの動きに期待できるという事

今年は、さらなるEマウント APS-C カメラ&レンズの登場に期待が掛かりますが、α7S IIIの登場も控えているだけに今後も目が離せません。