ソニー 2020年度営業利益試算を公開 カメラを含むEP&S分野は5割以上の減益になると予想
ソニーが2019年度業績説明会を開催しました。2019年度連結業績を発表し、その中で一定の条件を元にした暫定的な2020年度営業利益試算を公開し、カメラを含むEP&S分野が一番COVID-19の影響を受け5割以上の減益となる模様。
2020年度連結実績 暫定的な見通し
今回、2020年度連結実績見通しは未定とし、2020年8月初旬に実施する第1四半期業績説明会で連結業績見通しを行うとのこと。しかし下記のような一定の条件を元に試算した暫定的な見通しを説明会資料(PDF)に掲載。
基本的に6月中に感染拡大がピークアウトし第2四半期に人とモノの動きが緩和され経済が段階的に正常化に向かう事を前提に2019年度営業利益実績を100%とした場合の2020年度営業利益試算結果となっています。全体的に3割減な印象ですが、やはりデジタルカメラを含むEP&S(エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション)分野はCOVID-19の影響が大きく、5~7割減である事が伺えます。
今回の2019年度業績説明会の資料を見る限りカメラ以上にテレビやスマートフォンの影響が大きい感じで基本的にカメラ関連について述べている箇所が非常に少ないのも確か。※EP&S分野は、カメラ・テレビ・スマートフォンなどを含みます。
2019年度連結売上高 (ソニー全体)
- 売上高・営業収入 … 8兆2,599億円 ※前年度比 4,508億円減 / 5%減
- 営業利益 … 8,455億円 ※前年度比 488億円減 / 5%減
2019年度連結 EP&S分野 売上高
- 売上高 … 1兆9,913億円 ※前年度比 3,294億円減 / 14%減
- 営業利益 … 873億円 ※前年度比 108億円増
EP&S分野はカメラだけでなくテレビやスマートフォンなども含みます。公開されている音声データのプレゼンを聞く限りテレビとスマートフォンの販売台数減と為替の悪影響を挙げていますが、カメラに関しては何も語っていません。
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野
2020年3月期決算短信(PDF)でカメラに関して触れている箇所をピックアップしてみると…
- EP&S分野は、ソニーにおいて、新型コロナウイルス感染拡大の影響が最も大きい事業であると認識しています。
- 中国やタイにあるデジタルカメラやスマートフォンの自社工場については、現時点では通常どおり稼働しています。
- 当分野の複数の製品カテゴリーに部品を供給しているマレーシアやフィリピンの一部のパートナーの稼働率が低いことにより、一部の製品で部品不足による生産遅延が発生しています。
- 世界的な販売店舗の閉鎖・休業により、店頭売上が大幅に減少しており、足元では特に欧州での市況悪化が顕著です。
- デジタルカメラについては、全世界で需要が大幅に減少しており、売上・利益共に大きな影響を受けています。
デジタルカメラ工場は正常に稼働していますが、販売店舗の閉鎖・休業によって店頭売り上げ大幅に減少しており特に欧州でかなり悪化している事が伺えます。部品不足がカメラ生産にまで及んでいるのかどうか詳細な記述が無いのが気になるところです。
スチル&ビデオカメラ売上高
補足資料(PDF)にカテゴリー別売上高が掲載されており、スチルカメラとビデオカメラの合算になりますが…
- Q1 … 1,002億5400万円
- Q2 … 996億600万円
- Q3 … 1,220億3100万円
- Q4 … 622億5100万円
- FY … 3,841億4200万円
2017年度・2018年度の売上高と比べると着実に下がってきている事が伺え、カメラ市場が縮小し続けている事を感じさせます。
デジタルカメラ販売台数 ※コンパクト機とレンズ交換式デジタルカメラを含む
- Q1 … 80万台
- Q2 … 70万台
- Q3 … 90万台
- Q4 … 40万台
- FY … 290万台
こちらも補足資料の方に掲載されています。決算短信でデジタルカメラは全世界で需要が大幅に減少しており、売上・利益共に大きな影響を受けている事を明らかにし、暫定の2020年度営業利益試算を見る限りどこまで踏み留めるのか注目です。