タムロン FEレンズはキヤノン・ニコン ミラーレスに対応可能 小型軽量高品質レンズが強み
dpreviewが、CP+ 2018で行ったタムロン インタビュー記事を掲載しました。ミラーレス市場においてソニー Eマウントレンズが最優先で、既存レンズをベースに開発するのではなくイチから設計するとコメントしています。加えてタムロンのネイティブEマウントレンズからキヤノン・ニコンバージョンは簡単に作れる模様。
タムロン 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)は、まったく新しいデザイン(設計)ですか?
- はい
- 一般的にこの手のレンズは、開発に1年かかる
- 新レンズを計画する時、顧客の声や利益を考えており、市場はミラーレスに動きつつあり、新型FEレンズをローンチしたいと思っていた
- ソニーは、ミラーレス市場で最大のシェアを誇る
- 高品質で性能の高いレンズを目指していて、特にFEレンズは小型軽量である事が要求される
- α7シリーズはコンパクトボディですが、(純正)FEレンズ群は比較的大きく、大口径FEレンズ計画時 我々にとって小型かつ高品質である事が重要だった
- 28-75mm F/2.8はサードパーティ製レンズ初のEマウント フルサイズ対応ズームレンズで、市場で上手く行く事を期待している
既存のSP単焦点・ズームレンズをベースにしたEマウントレンズの予定は? それともまったく新しいデザイン(設計)を施したレンズを予定しているのでしょうか?
- 既存レンズ群をベースにしたソニー Eマウントレンズを作る予定はない
- 我々のコンセプトは、シグマさんとは少し異なる
- FEの為に特別にカスタマイズしないと、レンズが大きくなってしまう
- ミラーレスは静止画・動画ともに適していて既存のAFモーターは適しておらず、28-75mm F/2.8はステッピングモーターを採用している
現時点におけるソニー・ユーザーはタムロンにとってどのくらい重要ですか?
- 非常に重要で、みんなミラーレスになっていく
- キヤノンとニコンは、おそらく近い将来 フルサイズミラーレス機を投入するだろう
- そうなった場合、弊社のネイティブEマウントレンズをベースにキヤノン・ニコンバージョンが簡単に制作可能になっている
- 同じデザイン(設計)が、複数ミラーレスマウントで動作可能なのです
- この新レンズは先を見据えているという事ですか? : はい、近い内にそうなると
28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)は " SPレンズ " ではありませんが?
- タムロン内で " SP " の定義あり、小型軽量を優先したために金属ではなくポリカーボネートを採用している
- しかし光学性能は、SPレンズ相当である
タムロンにとってミラーレスへのシフトは最優先事項ですか?
- 今後のロードマップの詳細な情報を開示できないが、市場を注視している
- ソニーは、ミラーレス市場で最大シェアを占め、もちろんEマウントレンズが最優先になる
顧客からどのようにタムロンブランドを見てもらいたいですか?
- 常に顧客の事を考え、性能と品質を犠牲にする事はない
- 高品質ブランドと認識されたいと考え、顧客目線でいたい
- 各ブランドにはそれぞれ戦略があり、我々のアプローチは競合他社とは少し異なり、顧客とオープンである事を目指す
- 強みは、小型軽量ながらも高品質レンズを製造する事である
一部のメーカーが、ビデオグラファーのためにエントリークラス シネレンズを投入しているが、タムロンはシネレンズに興味がありますか?
- おそらく近い内に…しかし現時点でシネレンズ市場に参入するかどうかお答えはできない
非常に重いがかなり高品質なレンズ、小型であるが光学性能はそれなりのレンズ、(製造するなら)どちらを選びますか?
- 我々は、小型で高性能なレンズを追求していく
- パフォーマンスとサイズのバランスがタムロンの強み
- これが顧客が求めているものであると考えている
工場を見学すると益々自動化が進んでいる事を目の当たりにするのですが、タムロンではどのくらい自動化されているのでしょうか?
- 自動化の割合は徐々に増えているが、それに重点を置く事はない
- 場合によって手作業の方が品質が上がる事もある
- 自動化で品質の高い最終的な製品が可能であれば、活用するかもしれない、すべてはそれ次第
今後、タムロンにとって最大のチャンスはどこにあると思いますか?
- イノベーションがある市場で提供できるものを常に考えている
- 我々の強みはコンパクトサイズながらも高品質なレンズであり、各市場のセグメントで良質な製品を展開していきたい
動画に関して、採用するモーターだけでなく、設計そのものを変更する必要がある?
- はい、動画をサポートするための複数の技術も開発しました
- 現時点で完成していませんが、常に新レンズを製造する方法を開発し続けている
デジタル一眼レフとミラーレスレンズ製造技術の違いについて
- 従来型のデジタル一眼レフとミラーレスレンズは、作るために必要な技術が少し異なる
- 光学技術を変更する必要があり、AF技術の変更も必要
今後デジタル一眼レフユーザーは減少すると思いますか?
- はい、すでにそうなりつつある
- 我々は市場を見据えていて、データ的にもすでに市場が縮小している事を示している
タムロンのFEレンズ 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)は、既存製品をベースにしたレンズではなく最初から設計を施したレンズですが、先を見据えてキヤノン・ニコンからフルサイズミラーレス機が登場しても、このレンズをベースに対応レンズが作れる模様。
あとシグマと違うアプローチである事をアピールしているようにも感じるインタビュー記事となっています。