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キヤノン EOS-1D X Mark III 正式発表 誰も見た事のない世界へ

キヤノンが、フルサイズセンサー搭載 デジタル一眼レフ プロ機「EOS-1D X Mark III」を正式発表しました。スポーツ・報道・スタジオなど様々なプロ用途に対応すべく静止画・動画ともに高い性能と信頼性を実現したフラッグシップ機とのこと。発売予定日は2020年2月中旬で「ワイヤレスファイルトランスミッター WFT-E9B」も同時発売予定となっています。

2010万画素CMOSセンサーとDIGIC X
自社開発・ 自社生産の新イメージセンサー「2010万画素センサー」を搭載し、優れたS/N比・ダイナミックレンジを実現しただけでなく、駆動と読み出し速度も大幅に向上し…

  • 最高常用ISO感度 : ISO102400 (静止画撮影時)
  • 高速連写 : 20コマ/秒
  • 5.5K RAW動画
  • 4K 60p

…を実現しているとのこと。スピードカメラに搭載されるイメージセンサーは、ダイナミックレンジよりも処理速度優先の仕様でダイナミックレンジを少し犠牲にする事もあるので、どのぐらい広いダイナミックレンジとノイズ耐性を実現しているのか注目です。

競合メーカーが搭載するセンサーはローパスフィルターレス仕様のものが多い印象ですが、キヤノンは引き続きローパスフィルター搭載となっています。しかし新開発「GDローパスフィルター」を搭載し、前機種「EOS-1D X Mark II」と比較すると、輝度モアレ・色モアレが低減し解像感が向上している模様。

新描画エンジン「DIGIC X」を搭載し、描画と処理能力を引き上げています。「DIGIC X」を搭載する事により電子シャッター 20コマ/秒、静止画 HEIF記録、5.5K RAW動画に対応ししている事を挙げ、デュアルではなくシングル構成にする事により電力消費と発熱量を抑制できる利点があるそうです。※EOS-1D X Mark IIは、DIGIC 6+のデュアル構成

AF・AE
AFシステムも刷新し、 AFポイントは最大191点(クロス155点)を実現しているとのこと。ファインダーAF・AE処理専用にDIGIC8を搭載する事でAF演算能力を大幅に引き上げており、AF周りはフィーリングに直結するので、合焦精度に興味津々。もちろん追尾性能も向上し、最大191点・最大65点のクロス測距点でF8光束対応AFに対応し超望遠域のAF撮影も可能性である事をアピールしています。ただしミラーレス機と比べると、AFポイントは全体的に中央に寄っています。

キヤノンと言えば " デュアルピクセルCMOS AF " ですが、もちろん「EOS-1D X Mark III」にも搭載。快適なライブビュー撮影も実現している模様。測距エリアは 横90% 縦100%をカバーしているそうです。ここ数年で必須機能となった " 瞳AF " も搭載。

4K 60p 4:2:2 10bit Canon Log / 5.5K RAW動画
どこまで「EOS-1D X Mark III」の動画用途があるのか分かりませんが、ついにEOSカメラで " 4K60p " に対応です。このボディサイズであれば熱処理は効果的かもしれません。クロップなし撮影も可能になったみたいですが、4K DCIに比べて4K UHDは若干狭くなるそうです。従来の 4K DCI クロップモードも残っている模様。加えて " 5.5Kオーバーサンプリングプロセッシング " にも対応し、ソニー機と比べてどのくらいオーバーサンプリング効果があるのか気になるところ。あと背面モニタはタッチパネルですが、固定式で可動しないので、やはり静止画メインのプロ機なのかなと感じてしまいます。※キヤノンは眼中にないと思うけど「オリンパス OM-D E-M1X」はバリアングル式モニタを採用

前機種「EOS-1D X Mark II」の4Kは " Motion JPEG " を採用しかなり批判を浴びましたが、今回は…

  • MPEG-4 H.264 / AVC
  • MPEG-4 H.265 / HEVC (Canon Log)

…となっています。

今回「5.5K 12bit RAW」にも対応。しかも外部記録でなく、CFexpressカード内部記録に対応。RAW動画+通常動画/Canon Logも同時記録可能性となっており処理能力を高さが伺えます。ちなみに " Canon Log " は10bit記録に対応しています。※製品ページに " AFおよびフォーカスガイドは使用できません " と注釈があるのでご注意を

動画サーボAFはアルゴリズムを強化しているそうで「EOS R」と仕上がり具合がどのくらい違ってくるのかテスト動画の登場に期待。あと5軸手振れ補正機構(IBIS)搭載が期待されましたが、動画電子ISで対応とのこと…。

シャッター・高速連写
シャッタースピードは、電子制御式・フォーカルプレーンシャッター合わせて " 1/8000~30秒 " で、気になる高速連写性能は…

  • ファインダー撮影:16コマ/秒
  • ライブビュー撮影 メカシャッター:20コマ/秒
  • ライブビュー撮影 電子先幕シャッター :20コマ/秒
  • 電子シャッター撮影:20コマ/秒

…となっています。RAW / RAW+Jpeg 連続撮影枚数は " 1000枚以上 " ですが、HEIFとの組み合わせの連続撮影枚数は低下し " RAW+HEIF : 350枚 " そして " C-RAW+HEIF : 420枚 " とのこと。

光学ファインダーとスマートコントローラー
「光学ファインダー」の視野率は約100%で倍率は約0.76倍となっています。フォーカシングスクリーンの交換は出来ない模様。プロ機だけに出し惜しみない光学ファインダーに仕上がっているのではないでしょうか。あと " 測距点の赤色表示 " も実現。操作性では今回「スマートコントローラー」が注目されるかもしれません。AFボタンとAFポイント移動を兼ね備えたコントローラーでどこまで感覚的に使用できるのか興味津々。※画像再生時・動画撮影時は別の機能が使用可能

バッテリーライフとCFexpressカード
常温で静止画はファインダー撮影で約1210枚、ライブビュー撮影で約260枚。動画は合計約2時間20分。現時点における次世代メインストリーム規格CFexpressカード ダブルカードスロットを採用。前機種「EOS-1D X Mark II」から移行するユーザーさんはCFカード + CFastカードから買い替える必要が出てきます。メーカーが採用する規格の方向性見誤ったり、変なプライドが邪魔して独自路線に進むと結局ユーザーに負担を強いる事になることも。

誰も見た事のない世界へ
今回の「EOS-1D X Mark III」のキャッチコピーは " 誰も見た事のない世界へ " となっています。ちなみに開発発表時の一部キャッチコピーは " 人類はまた、未知なる瞬間を目撃する。" でした。

売り出し価格 ※2020年1月7日現在

  • キヤノンオンラインショップ … 880,000円 (税込)
  • ヨドバシカメラ … 880,000円 (税込)
  • マップカメラ … 792,000円 (税込)
  • カメラのキタムラ … 792,000円 (税込)
  • ビックカメラ … 880,000円 (税込)

ざっくりピックアップしただけもボリュームがあるので、製品ページやメディア記事で様々な情報を読んで理解を深める必要がありそうな印象です。東京五輪2020では「EOS-1D X Mark III」が、歴史に残る数々の画像・映像を残してくれるのではないでしょうか。