キヤノン「圧倒的シェアNo.1を目指す」「当社ならではの競争力の高い製品で売上を伸ばす」
キヤノンが2023年3月6日に経営方針説明会を開催しました。その中のQ&A要約資料(PDF)を見てみると、イメージング事業に関する興味深い言及をしているのでいくつかピックアップしてみました。一緒に見ていきましょう。
Q9. 動画志向のカメラユーザーが増えてきている中で、キヤノンはどのような戦略で伸ばしていくのか。
A9. 従来、静止画にはミラーレスや一眼レフカメラを、動画には業務用ビデオカメラや CINEMA EOS を、ユーザーの要望に合わせて提供してきたが、今後は、静止画と動画を融合した領域に、両方の機器を持つ当社だからこそできる競争力の高い製品を提供し、売上を伸ばしていく。
静止画と動画性能を高いレベルで実現したハイブリッドカメラを中心に製品展開していく方向である事が伺えます。ただし最近は、コンシューマー動画用途といっても本格的な動画を目指す層、Vlog層、意識高い系動画層など方向性が様々なので、キヤノンが汎用性あるモデルだけでなく、コンセプト色が強いモデルもある程度展開していくのか個人的に気になるところ。
Q8. レンズ交換式カメラの販売台数は大きく縮小したが、市場では高付加価値製品が占める割合が多くなってきたと感じている。今後のレンズ交換式カメラ市場の見通しについて教えてほしい。
A8. ここ 1~2 年は需要に対して供給が追いついていない状況が続いている。昨年の市場の構成比はミラーレスカメラが 7 割、一眼レフカメラが 3 割であったが、一眼レフカメラの縮小とミラーレスカメラの拡大が均衡しており、今後数年も同程度の規模を維持していくと見ている。
CP+2023 CIPA「CIPAデジタルカメラマーケット・セミナー」における世界市場構成比で日本・中国のミラーレス比率は80%を超えており、欧米でもミラーレス比率は約60%となっており、デジタル一眼レフも展開しているキヤノンは「今後数年も同程度の規模を維持していくと見ている」と表現しています。
Q10.ネットワークカメラについては、現在は成長のための先行投資フェーズにあると思うが、今後の収益性改善の見通しについて教えて欲しい。
A10.イメージンググループの昨年の高い利益率 15.8%は、レンズ交換式カメラの強いビジネスによるところが大きいが、ネットワークカメラについてもきちんと利益をあげている。 グループ会社で連携して必要な開発投資を続けながら、今後も収益性を改善させていく計画である。
前年度(2022年1月~12月)のイメージングの利益率は " 15.8% " であった事が分かります。やはりイメージングの中で民生カメラ&レンズ事業の収益がまだまだ大きい模様。あと他の質問でネットワークカメラ事業は、事業を補強するM&A(合併・買収)が必要な事業の1つと挙げています。
今回の経営方針説明会は、以前の方向性と大きく変わっていなかった印象でデジカメライフでピックアップしませんでしたが、決算発表ですでに言及していた通り経営方針説明会でもミラーレスでもシェアNo.1を狙う事を明言。成長戦略として " 圧倒的シェアNo.1 " と表現しています。" 圧倒的シェアNo.1 " と表現する以上、キヤノンがミラーレス市場においてソニーを蹴散らす事になるのでしょうか。