CP+2021 ここ数年でミラーレス機の平均出荷単価は倍増 交換レンズも上昇中
CP+2021主催者であるCIPA(カメラ映像機器工業会)が、キーノートスピーチで2020年に集計したカメラ市場の様々なデータを明らかにしています。今回は金額ベースのデータに注目してピックアップしてみました。話し手はCIPA代表理事会長であるキヤノン COO 真栄田雅也氏になります。
デジタルカメラ平均出荷単価
まず最初にレンズ交換式カメラとレンズ一体型カメラの大きく2つに分けた平均出荷単価の統計で、2019年から2020年にかけてレンズ交換式カメラの平均単価がググっと上昇しています。みなさんすでに想像は付いていると思いますが、さらに詳細なミラーレス機とデジタル一眼レフで分けた平均出荷単価を見ていきましょう。
レンズ交換式カメラ平均出荷単価
ミラーレス機の平均出荷単価の上昇は顕著であり、一眼レフの平均出荷単価は2017年以降減少傾向にある事が確認できます。しかもミラーレス機はこの4年ぐらいで平均出荷単価が倍増。CIPAは、高付加価値なフルサイズミラーレス機の影響が大きく製品比率が変わったためと分析しています。
ちなみにキヤノンのRFマウントとニコンのZマウントが登場したのは2018年秋なので、本格的にフルサイズミラーレス市場が動き出した事が今回のチャートで伺えます。
交換レンズ平均出荷単価
交換レンズの平均出荷単価も見てみると、2016年以降右高上り状態が続いています。CIPAは、高付加価値のカメラの登場と共に交換レンズも高付加価値が進んでいると分析。
個人的にレンズの価格は上がったな~と感じる事が多くて、特にフルサイズミラーレス機の交換レンズは20~30万円台は当たり前で特にフルサイズミラーレス・ユーザーさんはそれに慣れつつあるのではないでしょうか。光学性能優先のかなり高価なレンズが増えてきているので、例えばニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」の量販店価格が約25万円である事が分かった時は、逆に安いな~と錯覚する事も。
やはりカメラ市場が縮小傾向にあり、趣味性が高いというか利益重視で製品造りで、属に言う " 岩盤層 " に向けた製品構成である事が平均出荷単価データから伺えます。
デジタルスチルカメラと交換レンズの出荷金額推移
やはりカメラ市場が縮小傾向にあるのは台数ベースではなく金額ベースでも明らかで、これまで1兆円規模の市場を維持してきたものの2020年はコロナの影響もあり6,725億円まで落ち込んだとのこと。
個人的な推測になりますが、レンズ交換式カメラの比率が5割を占めており、この傾向は変わらず今後も続いていくのはないでしょうか。…という事は、メーカーは魅力的なカメラを投入し続ける必要が出てくる事になり、CP+2021に向けてソニーや富士フイルムは大きな製品発表を行いました。
カメラ市場は縮小しているが、世の中の人は写真を撮らなくなったのではない 需要の掘り起こしへ
CIPAは、既存のデジタルカメラ市場は縮小を続けている傾向にあるが、しかし世の中の人は写真を撮らなくなった訳ではなく、スマートフォンの普及とSNSの台頭で若い人が写真や動画を撮る量は飛躍的に増え、楽しみ方も多様化していると状況を説明しています。
加えてコロナの影響でコミュニケーションを中心にビジネスのあり方が変わってきており、映像産業にとって大きなチャンスであると信じているとコメント。大きな殻を打ち破り、柔軟な発想により新しい魅力を持った商品を出していく事で、我々は再びこの業界を発展させる事ができると信じていると語りカメラ市場におけるプレゼンテーションを締めています。
CP+の公式アーカイブは、3月31日までの公開となっているので早めに観ておく事をお勧めします。ちなみにCP+2022の日程が明らかになり、今のところ2022年2月24日(木)~2月27日(日)まで開催予定です。