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富士フイルム 2021年3月期決算発表 カメラは下期でコロナのマイナス分をほぼ挽回

富士フイルムが、2021年3月期決算発表 (2020年4月~2021年3月) を行いました。2021年前半はコロナの影響を大きく受けた時期ですが、通期決算におけるイメージング事業はどのような実績だったのででしょうか。決算資料には第4四半期と通期の実績が併記されていますが、通期決算を見ていきましょう。

イメージング・ソリューションは…

  • フォトイメージング : チェキやカラーペーパー
  • 電子映像 : デジタルカメラ
  • 光学デバイス : 放送・シネマレンズなどの業務用

イメージング内で3つの事業に分かれます。まず最初にイメージング全体の実績、そして「電子映像 : デジタルカメラ」の実績をピックアップしました。

イメージング 通期実績

イメージング通期実績
  • 売上高 … 2,852億円 (前年度比 -14.2%)
  • 営業利益 … 156億円 (前年度比 -37.8%)

光学・電子映像事業の電子映像分野では、COVID-19影響による需要減を受けて売上が減少した上期に対して、下期は前年実績を上回る水準まで回復しました。2020年11月に発売したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-S10」が、小型ボディながら高性能手振れ補正と大型グリップ搭載が好評を得て、Xマウントのユーザー層拡大に貢献しました。また、2021年2月に発売した「FUJIFILM GFX100S」は、同時発売のレンズ「フジノンレンズ GF80mmF1.7 R WR」と合わせて、ラージフォーマットによる最高画質を小型ボディで楽しめることから世界各地で高い評価を受け、想定を上回る販売となりました。今後も特長ある魅力的な製品を供給して市場の活性化を図るとともに、写真を撮る悦びを提供していきます。※2021年3月期 決算短信より

上期はコロナの影響が大きかった事が伺え、電子映像(デジタルカメラ)は通期の売上高・営業利益は前年度の実績に及びませんでしたが、2021年下期に関しては前年実績を上回る水準まで回復した事を明らかにしています。特に下期はカメラ市場が回復基調になりつつあった時期で、富士フイルムは「X-S10」を投入し、年が明けてCP+2021に向けて「GFX100S」と「GF80mmF1.7 R WR」を発表した事も記憶に新しいのではないでしょうか。「GFX100S」発売時は需要が供給を上回り、今回の決算短信でも " 想定を上回る販売 " と表現しています。

イメージング・ソリューション内の事業別実績も掲載されているので「電子映像 : デジタルカメラ」の通期実績もチェックしてみましょう。

イメージング 各事業の通期実績

事業別実績
  • フォトイメージング (チェキ) … 売上高 1,958億円 (前年度比 -14.5%)
  • 電子映像 (デジタルカメラ) … 売上高 681億円 (前年度比 -5.3%)

イメージング・ソリューションは、やはりチェキの存在が大きく、デジタルカメラの約3倍の売上を叩き出している事が分かります。しかしデジカメ事業に関して、下期は前年実績を上回る水準まで回復したと言っている事だけあり、前年度比でマイナスですが最終的に " -5.3% " とコロナの影響を最小限に留めた事が確認できます。

2022年度 イメージング通期予想

通期予想
  • 売上高 … 2,900億円 (2021年度 2,852億円)
  • 営業利益 … 160億円 (2021年度 156億円)

2022年度の通期予想も掲載されており、売上高も営業利益も微増と予測しています。ノート付き決算資料の中で「イメージング事業やビジネスイノベーション事業など一部の事業で新型コロナ影響が残る」と想定しているので、今期はカメラ市場的に現状維持であれば御の字かもしれません。

セグメント/事業変更 イメージングは1つの事業に統合

セグメント

今期からセグメント/事業変更するカメラメーカーがありますが、富士フイルムも会社全体で新しくセグメントを区分する事を明らかにしており、もちろんイメージング・ソリューションも上記のように変更した模様。

イメージング領域では、多様化する画像・映像ニーズに対して、新しい価値・商品を提供し続けていくために「イメージング事業部」「光学・電子映像事業部」を統合し、「イメージングソリューション事業部」を2021年4月1日に設立しました。※2021年3月期 決算短信より

決算短信に掲載されているイメージング事業領域の成長戦略では、1つの事業に統合する事により総合映像メーカーとしてのブランド力、撮影デバイスからプリンティングまで幅広い技術アセットをベースとした新たな商品・サービスの創出を加速していくとのこと。