富士フイルム「X-S20」発表 前機種「X-S10」からの進化ポイント
富士フイルムが X Summit BKK 2023 を開催し「X-S20」を正式発表しました。「X-S20」が前機種「X-S10」からどのような進化を遂げているのか一緒に見ていきましょう。
描画エンジンが最新世代の " X-Processor 5 " に進化
- X-S20 … X-Processor 5
- X-S10 … X-Processor 4
「X-S20」は「X-S10」と同じ 2610万画素 X-Trans CMOS 4 センサー を搭載しながらも、描画エンジンは最新世代の " X-Processor 5 " を搭載。X-Processor 5 は、最新の「X-T5」「X-H2S」「X-H2」が搭載しています。
6.2K30pに対応
- X-S20 … 6.2K30p (3:2) 360Mbps / 4K60p 360Mbps / フルHD60p 360Mbps
- X-S10 … 4K30p 200Mbps / フルHD60p 200Mbps
「X-S20」はアスペクト比が 3:2 になってしまいますが6.2K30pに対応。4Kも " 60p " に対応した事が伺えます。ビットレートも「X-S10」より引き上げられています。しかし「X-S20」になっても4Kハイスピード撮影には対応していない模様。ちなみに 6.2K30p は、4:2:2 10bit 内部記録に対応しています。
動画記録方式
- X-S20 … MOV : HEVC/H.265、MP4: MPEG-4 AVC/H.264, AAC
- X-S10 … MOV、MP4 / MPEG-4 AVC/H.264
動画圧縮方式
- X-S20 … All Intra / Long GOP
- X-S10 … Long GOP
動画記録方式も動画圧縮方式も進化。「X-S20」は " HEVC/H.265 コーデック " に対応。" All Intra " に対応した事により編集時にメリットを感じているユーザーさんはいるのではないでしょうか。あと「X-S20」は、F-log と F-log2 も使えます。
Vlog関連機能
「X-S10」から静止画・動画のハイブリッドカメラ・コンセプトですが、今回は明確に " Vlog " に踏み込んできました。「X-S20」のモードダイヤルに " Vlog モード " を追加。それだけだなく、ソニー VLOGCAMシリーズでお馴染みの " 商品撮影モード " や " 背景ボケモード " も搭載。セルフィー撮影を強化しており、富士フイルムはこの先 純粋な " Vlogカメラ " をソニーやキヤノンのように投入する事になるのか気になるところ。
手ブレ補正機構(IBIS)
- X-S20 … 7.0段分効果
- X-S10 … 6.0段分効果
「X-S20」の手ブレ補正効果は1段分進化し " 7.0段分効果 " を実現。静止画・動画ともに恩恵を大きく受ける機能の1つではないでしょうか。6段分効果でも必要充分だと思いますが、富士フィルムは「X-Sシリーズ」でもさらに性能を引き上げてきました。
AF性能の進化
「X-H2S」で新規開発したAFの予測アルゴリズムも搭載しているとのこと。動体への追従性、ゾーンAF・コントラストが低い環境下でのAF精度が大幅に向上している模様。製品ページを見てみると " AF-C使用時も安定したフォーカシングが可能です " と言い切っています。
被写体検出機能に " AUTO " モードを搭載
被写体認識AFは、基本的に認識(検出)させる被写体を設定する必要がありますが、この「X-S20」はカメラが自動的に被写体を認識する " AUTOモード " を搭載しています。モードダイヤルで設定可能とのこと。被写体認識AFは、人や鳥やクルマなど被写体を設定するの何気に面倒くさいんですよね~あくまでも個人的に。
ちなみに「X-S20」は、動物/鳥/クルマ/バイク&自転車/飛行機/電車 を認識します。もちろん " 人 (顔・瞳) も認識。「X-S10」は被写体認識AFは搭載されていなかった気がします。
静止画機能も進化
- X-S20 … Jpeg、HEIF 4:2:2 10bit、RAW 14bit、TIFF
- X-S10 … Jpeg、RAW 14bit
今回「X-S20」は " HEIF " と " TIFF " にも対応しました。最近の新型カメラは " HEIF " 対応が本格化しつつある印象。
- X-S20 … メカシャッター 30秒~1/4000秒、電子シャッター 30秒~1/32000秒
- X-S10 … メカシャッター 4秒~1/4000秒 、電子シャッター 4秒~1/32000秒
Pモード/Aモード時のスローシャッター速度が向上。ちなみにS/Mモードでは「X-S10」と同じ15分~となっています。静止画メインのユーザーさんだとメカシャッターは " 1/8000秒 " まで欲しいと感じる方がいるかもしれません。
- X-S20 … 電子シャッター 30コマ/秒、メカシャッター 10コマ/秒
- X-S10 … 電子シャッター 30コマ/秒、メカシャッター 10コマ/秒
連写性能のコマ数は上記のように同じなのですが、連続可能撮影枚数が引き上げられおり、「X-S20」処理能力が引き上げられています。スペックシートで連写性能の詳細が確認可能。
背面モニタ
- X-S20 … 3.0型 184万ドット バリアングル式液晶モニタ
- X-S10 … 3.0型 104万ドット バリアングル式液晶モニタ
何気に背面モニタの解像度が 104万ドット → 184万ドット に引き上げられています。EVFは変化はなく、両機種 0.39型有機ELファインダー 236万ドットとのこと。
バッテリーライフ
- X-S20 … NP-W235 ノーマルモード750枚、 実撮影電池寿命4K60p 80分、連続撮影電池寿命4K60p 110分
- X-S10 … NP-W126S ノーマルモード325枚、実撮影電池寿命4K30p 40分、連続撮影電池寿命4K30p 55分
「X-S20」のバッテリーは " NP-W235 " に変更されました。NP-W235は「GFX100S / GFX50S II / X-H2S / X-H2 / X-T5 / X-T4」が採用しているバッテリー。静止画・動画撮影時のバッテリーライフが大幅に引き上げられています。
サイズ(幅x高x奥行)と質量(バッテリー・メモリーカード含む)
- X-S20 … 127.7 x 85.1 x 65.4mm、491g
- X-S10 … 126.0 x 85.1 x 65.4mm、465g
サイズ感はほとんど変わっておらず、幅も両機を並べて比べてみなければ差は分からないかもしれません。質量は増加していますが、500gを切っており小型軽量ボディを維持しています。
ざっくりピックアップしても上記のような進化ポイントが確認できます。イメージセンサーは据え置きですが、「X-S20」はフルモデルチェンジと言って良いハイブリッドカメラに仕上がっていると言って良いのではないでしょうか。