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富士フイルム「デジカメはプル戦略を続ける」「⽮継ぎ早に新しい商品も出していく予定」

先日 富士フイルムが、2025年3月期 第3四半期決算 (2024年10月-12月) 発表を行いました。質疑応答含むトランスクリプト資料(PDF)を公開しており、後藤社長がイメージング戦略に関して興味深い発言をしています。トランスクリプト資料であり、語った内容がそのまま文字起こしされているので校正・推敲・添削などはされていません。

プル戦略

質疑応答において野村證券 岡崎氏のイメージング関連の質問に対して代表取締役社⻑・CEO 後藤禎⼀氏が以下のように応答しています。

Q : 2点⽬は、イメージングについてです。好調続いていますが、この10-12⽉期、どういった理由で、業界よりも強かったと思うのか、その背景。新製品効果なのか、プロダクトミックスなのか。営業利益率で28.8%と、かなり⾼い⽔準まで来ていますけれども、これはどの程度、持続可能なのか教えてください。

A : 年末商戦はかなり好調でございました。理由は何かと⾔ったら、今、岡崎さんがおっしゃられたとおり、プロダクトミックスもうまくいったし、新製品も出したものがよく売れた。マーケティングでいろいろな層に対する製品を出しておりますが、それがぴったり合っている。

instaxでいえばWIDE 400、これ⼤きなサイズのカメラですけど、これが好調を牽引しております。それから、以前からありますデジタル式の⾼級機mini Evo、そして、普及機でございますmini 12、これもかなり売れました。もう⼀つはスマートフォン向けのプリンターで、Link 3を販売しましたが、これも合ったユーザー層にぴったりはまっておる感じでございます。

⼀⽅、デジタルカメラも、先般発表しましたX-M5は好調を維持し、その以前に販売しておりますX-T5、X-T50、それとGFXの100SⅡについては、依然として強い引きがあります。⼀番、消費者の皆さんにご迷惑かけているのは、X100Ⅵでございますが、これも何とか増産に増産を重ねて、いろいろな部材を調達しまして、ユーザーの⽅へのご迷惑を最⼩限に留める。いつに⼊荷しますというところまで、きちっと⾔えるようになった状況でございまして、引き続き需要は強い。

シーズン性のため例年4Qは需要がなかなか上らないのですけど、今の在庫の逼迫、市場の引きの強さから⾒たら、例年よりは上に跳ねていくところを⽬指しているというのが状況です。

これがいつまで続くのかというのは、例えば、チェキでいえば、まだまだ続きます。その理由は、 まだ売っていない地域がたくさんあるということと、また、中国、インドでの需要がだいぶ増えてきたところがありまして、このエリアでの販売を増やす。それから、今ビジネスで使う⽤途を、いろいろと開発をしております。その辺が需要を⽀えてくれるだろうと考えております。

デジタルカメラでいえば、価値あるものを⻑く使っていただくことを主眼に置きまして、いろいろプル戦略のマーケティング、これを続けていきます。今のところ、かなり商品企画が結構ヒットして、数字上はかなりいい数字を上げていると思います。これも⽮継ぎ早に新しい商品も出していく予定でございます。※決算発表 質疑応答含むトランスクリプト資料(PDF)より

これ以降はデジカメライフ雑談になります。

後藤社長の答弁の最後にデジタルカメラに関する興味深い発言をしており、デジタルカメラはマーケティングにおいて " プル戦略 " を続ける事と、今後も矢継ぎ早に新製品を投入していく予定である事を語っています。

プル戦略とプッシュ戦略
一般的にプロモーション戦略において " プル戦略 " と " プッシュ戦略 " という対照的な考え方が存在します。

  • プル戦略 … 顧客の購買意欲を引き出すことで、指名買いを狙う戦略
  • プッシュ戦略 … 商品のプロモーションや販売活動を行うマーケティング戦略

富士フイルムのデジカメカメラ製品展開を見て分かる通り、顧客が " 指名買い " したくなる製品作りをしている事が伺えます。「X100」「X-T」「X-Pro」「GFX100」シリーズだけでなく、エントリーやミドルクラスの機種も富士フイルムらしさが反映されているのではないでしょうか。

矢継ぎ早に新製品を投入
後藤社長は、今後もX/GFXカメラは停滞することなく新製品が続々登場する事を期待してしまう発言もしています。今回の答弁の中で供給状況も触れていますが、新製品を投入していく中で全体的に安定した供給体制を構築して欲しいところ。特に日本市場は、海外市場に比べて割り当て数が少ない気もするし。それが為替の影響なのか、訪日客に安価で買われたくない思いが強いのか分かりませんが。

チェキ(インスタントカメラ)
チェキに関して、まだまだ需要が伸びる事を想定しており、特にインドと中国において販売を強化していく方向である事が伺えます。" ビジネス用途 " を開発中としており、今後 富士フイルムがどのような提案を行うのか注目です。