ニコンがセンサーを独自設計してる事が分かる記事と映像が登場
Imaging Resourceが、ニコンがラボでどのようにセンサーを独自設計しているのかが分かる記事を掲載しました。センサーテスト風景を撮影した動画も複数公開しています。
ランチのように用意された機能を組み合わせ仕様を決めてファウンドリ(半導体生産工場)に発注する訳ではなく、D5やD850のような最先端センサーはイチから設計し、描画エンジンEXPEEDやニッコールレンズに最適化しているとのこと。今回の取材の同意が得られるまで4~5ヶ月掛かった模様です。※話の流れ的にニコンのSponsored記事っぽい
半導体メーカーの商品カタログから購入できる最近のセンサーはかなり高性能なものが多く、なぜ独自設計するのか?聞いてみたところ、カメラ・レンズ・センサーの総合的な最適化を重点に置いてカメラシステム全体を調整をする必要があると独自センサーのこだわり理由を語っています。
Imaging Resourceは元々技術マニア的なメディアで個人的に敷居の高いサイトなのですが、センサー設計における技術的なポイントも細かくインタビューし基本的にD5を元に話をしているようです。センサーチームが存在し、週1回全体ミーティングを行い、進捗状況を報告・議論が行われ、各グループで開発が進んでいく事も掲載されています。開発手順も詳細に解説していて初期段階からシミュレーションそして実際のテストまで何度も何度もテストを重ね何ヶ月も掛け完成にこぎ着けるとのこと。D5だったらD5センサーチーム、D850だったらD850センサーチームが組織されるようです。
ニコンのセンサー設計者は何をしているのか?
Imaging Resourceによると、多くのメーカーは一般的に実際にセンサーを製造するファウンドリ(半導体生産工場)の標準的なプロセスに依存し、チップ上のレイアウトを定義するぐらいなそうなのですが、ニコンが独自センサー設計を行うと知っていたが、ここまで深いプロセスを行っている事を知り驚いたと感想を述べています。
ニコンによる設計とシミュレーションは信じられないほど詳細なレベルにまで及んでいる模様。例として一般的なセンサーと比べて、ニコンセンサーのマイクロレンズの隙間(マイクロレンズギャップ)に無駄がない事を挙げています。
最初に出来てきたようにカメラとレンズを組み合わせた状態で光学的なテストを行い、独自設計する事によりD850のようなISO64センサーやD5のような高感度耐性の高いセンサーを実現できるとのこと。ダイナミックレンジ・ノイズレベル・ニッコールレンズとの相互作用・色再現精度など画像品質がテーマですべてにおいて協議を通して仕上げていく模様。
あとセンサー開発にあたってマイクロレンズやフォトダイオード、回路、A/Dコンバータ、CADの話やシリコンウェハなど技術的なところを詳細に解説。自分は理系・技術系には疎いの割愛します…^^; センサー解説に関しては「キヤノン CMOSセンサーの世界」や「 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 CMOSイメージセンサー」なども参考になるのではないでしょうか。
センサーテストに関してはほとんど見せてもらえなかったようですが、以下の4つの項目だけ公開してくれたと一部動画付きで紹介。
極端な照明状況を作り出しセンサーとレンズを一緒にフレアテストしていて、凄く明るいLEDがカメラ&レンズの前を通り過ぎている事が確認できます。少しずつカメラの角度を変えて、あらゆる角度からフレアテストを行い、センサーの調整を行うそうです。元記事には、フレアテスト時のモニタ画面ショットも掲載されていて、かなり細かい設定が可能でデータを集めている事が伺えます。
カメラのローパス/赤外線フィルターとセンサーのマイクロレンズが、様々な角度から入ってくる光に対してどのような反応をするのかテストしていて、センサー上のマイクロレンズがいかに集光しているのかが伺えるスクリーンショットも掲載されています。
RGBセンサーテスト
動画は公開されていませんが、センサー上のカラーフィルターが正常に動作するか確認を行うRGBセンサーテストの様子も画像付きで解説しています。
公開された4つのテスト項目は、センサー・カメラ・レンズを組み合わせ最適化していく様子が伺え、ここ最近のニコンカメラが低ISO拡張感度を実現しているのは、独自センサー設計とテストによりセンサー・カメラ・レンズが最適化されるからかもしれません。
ちなみに独自設計を施したD850センサーは、ソニーが製造しているとほぼ結論付けられています。