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ニコン「ミラーレスの販売計画に無理があった」「映像事業の構造改革が必要」後手に回る

ニコンが2020年3月期 第2四半期決算発表を行い、映像事業はキヤノンと同様に大きな減益である事が明らかに。ニコンは今回映像事業に関してその原因を独自に見直し再建方針を示唆しているのですが、ややミラーレス市場を軽く見ていたような感じもします。

あくでも映像事業のみに焦点を当てた個人的な解釈になります。

ニコン 映像事業 2020年3月期 通期見通し

ニコン 映像事業 2020年3月期 通期見通し

売上収益︓250億円下⽅修正、前年⽐611億円減収

  • 下期⾒通し及び将来計画において、過⼤な市場規模・シェアの 前提を修正
  • レンズ交換式カメラ、交換レンズ、コンパクトカメラの販売台数 を下⽅修正
  • フルサイズ機のミラーレスシフト・製品ミックスも想定を下回る

営業利益︓220億円下⽅修正、前年⽐320億円減益

  • 販売台数減少に加え製品ミックス変化により利益減少、 ユーロ前提レート変更もマイナス影響
  • 販売経費や研究開発費等削減に努めるが、構造改⾰関連 費⽤を計上するため、⼤幅下⽅修正

個人的に少しビックリしたのが、これまで見通しと将来計画において、カメラ市場が大幅に縮小しつつある状況なのに調子が良かった頃の市場を前提に決めていた事が伺える文言が。レンズ交換式カメラ・交換レンズ・コンパクトデジタルカメラの販売台数を下方修正し、Zシリーズも想定通り売れていない事が伺えます。※キヤノンは販売台数を据え置きました。

どこのインタビュー記事か忘れてしまいましたが、以前Zシリーズの価格設定を見誤った的なコメントがあり春先にキャンペーンを行い「Z 6」の国内の売れ行きが伸びた事は記憶に新しく、現在クリスマス・年末年始商戦に向けて再びキャッシュバックキャンペーンを開始しています。

決算資料の6ページを見てみると、上期はミラーレス効果でフルサイズ機の販売台数は前年を上回ったものの中国をはじめとするアジア圏でデジタル一眼レフの販売台数が落ち込み大きく減益した事を明らかにしています。今回のニコンとキヤノンの決算を見る限り、同じレベルでデジタル一眼レフとミラーレスを展開するのには無理があるのではないか?と思ってしまいました。ソニーはまだAマウントを存続していますが生かさず殺さず状態で、富士フイルム・パナソニック・オリンパスなど先にミラーレス市場に参入したメーカーは、デジタル一眼レフを取り止めミラーレスに集中し現在のシェアを獲得しています。※もちろん当時ニコンとキヤノンのデジタル一眼レフのシェアと基本性能に勝てず、ミラーレス市場に移行した側面もあると思います。

ニコン 映像事業 課題と位置付け

ニコン 映像事業の見直しと位置付け

体制・戦略を根本的に⾒直し、課題に適切に対処して、収益悪化に⻭⽌めをかける必要

  • レンズ交換式カメラ市場はミラーレスを含め想定以上の環境悪化
  • ミラーレスの販売計画⾃体も結果として無理があった
  • 事業全般で意思決定に時間を要し、業務に遅れ
  • 価格や技術開発の競争等、競争環境は更に激化していく

事業存続を正当化できるレベルの利益を創出し続け、中核技術の活⽤範囲を拡⼤していく

  • ⼈々の⽣活や創造的活動に貢献する映像体験を提供し続け、ブランドプレゼンスを強化
  • 蓄積してきたカメラ技術アセットを⻑期成⻑領域へ応⽤

カメラ市場がまだまだ縮小し続けている事が伺え、ミラーレス販売計画に無理があった事も認めています。意思決定と業務の遅れ…もう2~3年ミラーレス市場の参入が早かったら状況は今と変わっていたかもしれないと思う事も。やはり今後も競争は激化していく事を予想し、" ブランドプレゼンスの強化 " を挙げていますが、ソニーが5年間フルサイズミラーレス市場で大きなポジションを築いた今、ミラーレス市場においてニコンは、デジタル一眼レフ時代のブランド力が通じ難くなっているような印象もあるので今後の立て直しと製品展開に注目です。

ニコン 映像事業 事業環境・再建方針

ニコン 映像事業 事業環境
ニコン 映像事業 再建方針

今後の製品展開に関する重要な事が書かれていて、事業戦略としてプロ・趣味層セグメントへのフォーカスを徹底しレンズラインアップ拡充をはじめ、プロ・趣味層の更なる満⾜度向上に資する戦略へ集中するとしています。マーケティング的にはロイヤルカスタマーと次世代コアユーザーを創出し市場がさらに縮小しても一定の収益を確保できる事業構造改革を進める模様です。