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キヤノン ミラーレス上位機種の販売を伸ばす土台が整う その反面プロダクトミックスの悪化

キヤノンが、2019年第3四半期決算を発表し通期業績予想を3回連続下方修正し話題となっていますが、決算説明会資料(PDF)を元にイメージング事業の方向性を見てみようと思います。

カメラのプロダクトミックスの悪化

こうした経営環境のさらなる悪化を踏まえ、オフィス機器やインクジェットプリンターを中心に業績を見直しました。さらには、競争環境の激化を受けてカメラのプロダクトミックスも悪化していることから、オフィスやイメージングシステムを中心に、前回公表から売上で1,200億円、営業利益で270億円、年間の見通しを引き下げます。※キヤノン 2019年第3四半期決算説明会資料 2019年最新の見通しポイントより

プロダクトミックスをどう捉えるのかで意味合いは違ってくると思いますが、製品ラインアップ・構成として見た場合、EFマウント / EF-Sマウント / EF-Mマウント / RFマウントを維持し続けるのが難しくなってきたような気がします。あとキヤノンは「EOS R」「EOS RP」を発売後、フルサイズミラーレス機を投入していませんが、今年は交換レンズの拡充を優先し土台作りを進めていた事を下記の「イメージングシステム(カメラ)」で明らかにしています。

RFレンズラインアップの土台が整い販売を加速

キヤノン イメージングシステム

当社の第3四半期のレンズ交換式カメラの販売台数は、一眼レフのエントリーモデルを中心とした市場縮小の影響を受け、対前年7%減の98万台となりました。

市場が縮小する中、各社が上位機種のフルサイズモデルに力を入れることにより、 価格競争は厳しさを増しています。こうした環境の中、当社は採算性を重視した結果、第3四半期は、上位機種の販売台数が計画を下回りましたが、国内外でシェアNo.1を獲得しているミラーレスの普及価格モデルを中心に販売を伸ばし、また、ミドルクラスの新製品も好評であることから、レンズ交換式カメラ全体の年間販売台数は、前回計画を据え置きます。

昨年参入したフルサイズミラーレスにおいては、第3四半期までに専用レンズを4本投入してラインアップを拡充しており、レンズ装着率は着実に上昇しています。第4四半期には、さらに2本のレンズを投入することで、ミラーレス上位機種の販売を伸ばす土台が整います。これを機に、販売を加速させるための活動を一層強化していきます。

利益率の高い上記機種が計画通りに売れず、エントリー~ミドルクラスの機種が販売を伸ばし、数は出るけど利益が上がらない構造になっている事が伺えます。※据え置くのはあくまでも年間販売台数

RFマウントに関しては、レンズラインアップが拡充し上位機種の販売を伸ばす土台が整った事を示唆しており、先日海外インタビューで「EOS R ハイエンドモデル」を検討している事も明らかにしているので2020年はRFマウントで主要モデルが複数機種登場するかもしれません。今のところ「EOS R 高画素機」や「ミラーレス版 EOS-1D X」などが噂され、天体撮影用ミラーレス機「EOS Ra」の発表も期待されています。

デジタル一眼レフに目を向けると「EOS 90D」が好調で、先日はDSLRフラッグシップ機「EOS-1D X Mark III」を発表したばかりですが、今回の決算発表の内容を見る限り、RFレンズラインアップがある程度拡充し「これを機に、販売を加速させるための活動を一層強化していく」と方向性を示唆しているので、よりRFマウントの比重が高くなっていきそうな感じです。