パナソニック「GH6」静止画関連スペックや機能をチェック
パナソニックのマイクロフォーサーズ フラッグシップ機「LUMIX DC-GH6」がついに発表されました。「GH6」のプレスリリースと製品ページを見ると静止画ユーザーに売るつもりがさらさらない感じですが、静止画関連スペックや機能を見ていきましょう。
動画性能に関しては国内外の映像系メディアの記事やインフルエンサーのインプレッション・レビュー動画が登場しつつあるので今回は動画には触れません。
新開発 2521万画素 Live MOSセンサー
マイクロフォーサーズ機は7年も2000万画素センサーが上限でしたが、ついに2400万画素を超えて有効画素数 2521万画素 Live MOSセンサーが登場。動画は5.7K60pが撮影可能になり4K120Pに対応し大きな話題になっていますが、2000万画素から2500万画素に高画素化した事でより高解像な静止画が撮影可能になりました。
- GH6 … 5776×4336px
- GH5II … 5184×3888px
- OM-1 … 5184x3888px
2400万画素 APS-C センサーの画像サイズは 6000x4000px なので「GH6」はようやく同じ領域に達した事が分かります。しかし「EOS 90D / EOS M6 Mark II」が3250万画素センサーを搭載し、今年の5月に発表する予定の富士フイルム Xカメラ フラッグシップ機は2600万画素以上のイメージセンサーを搭載してきそうなので物理的なセンサーサイズの違いは画素数に影響する事が多いのも確か。
マイクロフォーサーズ用センサーは、画素数とノイズ耐性のバランスをより一層求められます。この辺は「GH6」と「OM-1」で進む方向性が違う感じでしょうか。
新世代のヴィーナスエンジン
イメージセンサーだけでなく " 新世代のヴィーナスエンジン " を搭載し処理能力を上げてきています。5.7K60pや4K120p動画をはじめ、ノイズ処理やAF性能なども改善。静止画でも使えるのかどうか分かりませんがダイナミックレンジブーストは注目が高いのではないでしょうか。
AF性能
「GH6」のAFは「GH5」から3倍高速化しフォーカス性能全般が向上しているとのこと。加えて追尾性能が向上しているそうでアルゴリズムを改善する事で背景抜けを抑制し、動画撮影においてウォブリングを低減している事をアピールしています。リアルタイム認識AFも進化している模様。AF性能は静止画も動画でも大事。
今回パナソニックは " DFDテクノジー " という表現を使っていませんが、スペックシートを見ると " コントラストAF " である事が確認できます。「OM-1」がQuad Bayer構造のイメージセンサーを採用する事により全画素AFを搭載しているだけに「GH6」のコントラストAFがどこまで進化したのか注目している方は多いのではないでしょうか。
シャッタースピード
- GH6 … メカシャッター 60~1/8,000秒、電子シャッター 60~1/32,000秒
- OM-1 … メカシャッター 60~1/8,000秒、電子シャッター 60~1/32,000秒
高速連写
メカシャッターにおける高速連写機能は…
- 高速 (H) : 14コマ/秒(AFS/MF時) / 8コマ/秒(AFC時)(LV)
- 中速 (M) : 6コマ/秒(AFS/MF時)(LV)、5コマ/秒(AFC時)(LV)
- 低速 (L) : 2コマ/秒(LV)
電子シャッターにおける高速連写機能は…
- 超高速 (SH75) : 75コマ/秒 (AFS/MF時のみ)
- 超高速 (SH60) : 60コマ/秒 (AFS/MF時のみ)
- 超高速 (SH20) : 20コマ/秒 (AFS/MF時のみ)
- 高速 (H) : 14コマ/秒 (AFS/MF時) / 7コマ/秒 (AFC時) (LV)
- 中速 (M) : 6コマ/秒 (AFS/MF時) (LV) / 5コマ/秒 (AFC時) (LV)
- 低速 (L) : 2コマ/秒 (LV)
最大撮影コマ数は、超高速(SH)時は、RAW連写 / RAW+JPEG連写:200コマ、JPEG連写:200コマとのこと。高速(H)/中速(M)/低速(L)時は、CFexpress Type BカードとSDカード使用時で異なり(CFexpress Type Bカード / SDカード)…
- RAW+JPEG連写:40コマ以上 / 40コマ以上
- RAW連写:65コマ以上 / 50コマ以上
- JPEG連写:95コマ以上 / 90コマ以上
CFexpress Type Bカードを使用した方が若干コマ数が増える事が伺えます。ちなみにOMデジタルの唯一無二カメラ「OM SYSTEM OM-1」の代表的な高速連写性能は…
- メカシャッター … 10コマ/秒 追従
- 電子シャッター … 静音連写20コマ/秒 追従、SH1 120コマ/秒 固定、SH2 50コマ/秒 追従
…となっており「GH6」の追従時(AF-C)連写性能は「OM-1」より少し劣りますが、実際の撮影結果がどうなるのか気になるところ。「GH6」は動画志向カメラなので必要十分な高速連写性能という考え方も出来ます。
7.5段分IBISと手持ち1億画素ハイレゾモード
「GH6」のIBISは7.5段分効果を実現し、レンズとボディの同調手ブレ補正 Dual I.S. 2 使用時は中・望遠域の焦点距離でも手ブレ補正7.5段分効果を維持するとのこと。
ハイレゾショットはOMデジタル(オリンパス)のイメージが強いですがパナソニック機も採用しており今回2500万画素に画素数がアップした事により「GH6」は " 手持ち1億画素ハイレゾモード " に対応しています。※「OM-1」は2000万画素センサーを搭載しハイレゾショット8000万画素、手持ちハイレゾショット5000万画素
ISO感度
- GH6 … ISO100~25600 (拡張: ISO50)
- OM-1 … ISO200~102400 (拡張: LOW ISO80、100相当)
多くのマイクロフォーサーズ機は " ISO200 " スタートですが「GH6」は " ISO100 " が常用感度となっているところが特長の1つとなっています。
EVF
- GH6 … 有機EL(OLED) 368万ドット 35mm換算 0.76倍
- GH5II … 有機EL(OLED) 368万ドット 35mm換算 0.76倍
- G9 … 有機EL(OLED) 368万ドット 35mm換算 0.83倍
- OM-1 … 有機EL(OLED) 576万ドット 35mm換算 0.83倍
「GH6」のEVFは368万ドットで120fps駆動に対応していますが、スペック上は大きな飛躍をしていない事が伺えます。パナソニックは静止画コンセプトの「G9」後継機を計画しているのかどうか気になるところ。動画ガチ勢はEVF不要を訴える事もあるので抑え目なスペックなのかもしれません。
背面モニタ
- GH6 … チルトフリーアングル構造 3.0型タッチパネル 184万ドット
- GH5II … バリアングル式 3.0型タッチパネル 184万ドット
- OM-1 … バリアングル式 3.0型タッチパネル 162万ドット
「GH6」はLマウントフルサイズ機「S1H」が採用した " チルトフリーアングル構造 " を採用しており、バリアングル式とチルト式を兼ね合わせた3軸可変モニタになっています。
AF-ONボタンが独立
「GH5II」からAF-ONボタンが独立しこの「GH6」も独立したAF-ONボタンを採用。特に連続撮影時はAF-ON ボタンがあると撮影が便利だし、AF-ONボタンに慣れている方もすんなり「GH6」に馴染めるのではないでしょうか。実際に撮影する時のボタンの位置とフィーリングも大事になってきます。
ジョイスティック
静止画においてAFポイントを決める時にジョイスティックがあるとかなり便利。このジョイスティックはFnボタンを兼ねているのでカスタマイズ可能となっています。こちらもフィーリングが大事です。
「GH6」の各部名称ページを見る限りFnボタンとして使える箇所は17ある模様。
カードスロット
- GH6 … CFexpress Type Bカード + SDXCカード (UHS-II)
- GH5II … SDXCカード (UHS-II) x2
- OM-1 … SDXCカード (UHS-II) x2
「GH6」はデュアルカードスロットを採用していますが、その内の1つはSDカードより高速な " CFexpress Type Bカード " を採用。これにより高精細な動画データだけでなく高速連写時の書き込み速度も期待できるのではないでしょうか。
フォトモード
「GH6」は従来機と同じようにフォトモードを採用しており、個人的に好きなLモノクロームDに対応しているだけでなくここ最近の新しいフォトモード L.クラシックネオ、L.モノクロームSなども採用しています。
サイズと質量(バッテリーとメモリーカードを含む)
- GH6 … 幅 138.4mm ×高さ 100.3mm ×奥行 99.6mm / 823g
- GH5II … 幅 138.5mm ×高さ 98.1mm ×奥行 87.4mm / 727g
- OM-1 … 幅 134.8mm ×高さ91.6mm ×奥行 72.7mm / 599g
「GH6」は長時間動画記録を実現するために冷却ファンを搭載しており " 823g " とマイクフォーサーズ機として重い機種に仕上がっています。交換レンズを装着すると1Kgを超えてくると思うのでスチル機としてストリートスナップ前提に考えると個人的に長時間のストリートスナップは疲れそうな予感。実際に「GH6」を手にした時の重さのバランスやフィーリングでも体感や疲れは変わってきます。
静止画におけるバッテリーライフ
「GH6」の静止画撮影バッテリーライフは、CFexpress Type Bカード /SDXCカードやEVF/背面モニター撮影の違いで330~360枚撮影が可能で省電力ファインダー撮影時は850枚(CFexpress Type Bカード)撮影可能とのこと。
プレスリリースと製品ページ雑談
「GH6」のプレスリリースと製品ページを見るとほぼほぼ動画性能をアピールしており、製品ページは静止画に触れている箇所は1割に満たない印象。マーケティング的に静止画軽視とまでは言いませんが、パナ機で静止画撮っている層もいる事は忘れないで欲しい。