シグマ「90mmF2.8」「24mmF2」発表 オンラインイベントまとめ
シグマがオンラインイベント SIGMA 新製品プレゼンテーション を開催しLマウント/Eマウント対応 Iシリーズ「90mm F2.8 DG DN | Contemporary」と「24mm F2 DG DN | Contemporary」を正式発表しました。
Iシリーズとは
- Art … 大きさ重さにこだわらず、とにかく光学性能重視
- Sports … 超望遠レンズに必要な光学性能、メカ機能を搭載した高機能シリーズ
- Contemporary … 現代的な技術をふんだん盛り込み " サイズ・重量・光学性能 " のバランスを両立したシリーズ
「Iシリーズ」はContemporaryラインの中でやや特殊なコンセプトのレンズで、非常にコンパクトでありながら高級感・質感があるビルド・クオリティ、そしてメカ・クオリティを実現したシリーズが「Iシリーズ」であると説明。※ちなみに公式サイトの「Iシリーズ特設ページ」で詳細が掲載されています。
「Iシリーズ」のコンセプトは " Premium Compact Prime / コンパクトで品質の高い単焦点レンズ " で市場には小型軽量レンズはたくさん存在するが、価格を抑えるために素材がプラスチックだったり質感に欠けるモノがあり、ミラーレスになりコンパクトで質感の高いボディが増え、これに似合うレンズが少なくなっており顧客の不満に応えるために「Iシリーズ」を展開しているとのこと。
絞りリングやフォーカスリングそしてフードなど全てのパーツが金属製で精緻(せいち)に組み上げられており、ガタが無くスムーズなオペレーションが出来るよう設計・製造を行っていると説明。シネレンズのノウハウを導入し「Iシリーズ」はミニミニ・シネレンズのような位置付けという表現も登場。
90mm F2.8 DG DN | Contemporary
このレンズのメイン・コンセプトは " とくかくコンパクトに造る " 事で手のひらにすっぽりと収まる超小型 中望遠単焦点レンズに仕上がっている事をアピール。レンズ設計者は「SIGMA fp」に最も合うように設計を行ったとのこと。
- Lマウント … φ64mm × 59.7mm / 295g
- Eマウント … φ64mm × 61.7mm / 295g
「90mm F2.8 DG DN」のサイズと質量を紹介し、実際にかなり小型軽量な中望遠単焦点レンズに仕上がっている事を示唆。
レンズ構成図とMTFチャートを示し、小型軽量化しているが光学性能に妥協はしていない事を強調。レンズ構成は10群11枚で、SLDガラス5枚、非球面レンズ1枚を採用しているとのこと。11枚中半分は特殊レンズを採用した贅沢なレンズ構成で高い光学性能を実現しているそうです。
MTFチャートを見てみても、中心から周辺まで高い性能を実現していると解説。レンズ設計者は、特に軸上色収差と球面収差に気を使って設計を行ったと開発秘話を紹介。カメラ内補正を利用しているものの、軸上色収差と球面収差はデジタル補正で補正し切れないそうで、デジタルで補正出来ないモノは徹底的に光学補正している事を明らかに。
デジタル補正で補正出来るモノはあえて残してコンパクトな筐体を実現しているとのこと。MTFの周辺の落ち込みはあえて残し、実際に撮影した画像はデジタル補正で周辺部の描画は引き上げているので問題ないそうです。「むしろ設計思考でこうなっている」と説明しています。
- 最短撮影距離 … 50cm
- 最大撮影倍率 : 1:5 (0.2倍)
このレンズのもう1つの特徴は " 近接性能の高さ " で90mmという長い焦点距離ながらも最短撮影距離は50cmを実現しており、90mmの焦点距離なのに寄れるレンズで使っていて楽しいと社内で評判になっているそうです。
あと " ボケ味 " も特徴として挙げており、ボケが非常に綺麗で柔らかい表現を目指し設計している事も明らかに。
24mm F2 DG DN | Contemporary
「24mm F2 DG DN」設計者はレンズフードとレンズのバランスが非常に良く「Iシリーズ」の中で一番バランスが良いと感じている模様。バランスを考える事は、レンズ開発の楽しい一面である事も語っています。
- Lマウント … φ70mm × 72mm / 365g
- Eマウント … φ70mm × 74mm / 360g
F2という大口径なレンズながらもコンパクトに仕上がっている事をさらっと紹介し、レンズ構成図とMTFチャートで光学性能のプレゼンに移る展開に。
レンズ構成は11群13枚で、蛍ガラスとほぼ同じ特性を持つFLDガラス1枚、SLDガラス2枚、非球面レンズ2枚を採用し贅沢な造りとなっているとのこと。MTFも中心から周辺まで非常に綺麗な曲線を描いており、非常に綺麗な描写を実現しているそうです。
「35mm F2 DG DN | Contemporary」と同じ様な光学特性を持つようにレンズ設計者が設計した事も明らかに。違和感なく両レンズを使用できるように配慮した設計の模様。
「35mm F2 DG DN」と同じ特性で中心か周辺まで非常にフラットで高い性能を実現しており、ボケも非常に綺麗で、上記の作例も中心から周辺までしっかりディテールが出ているとアピール。
24mmという広角な焦点距離ながらもF2という大口径でフルサイズに対応したレンズだけにボケの表現が可能で、ボケの柔らかさも「35mm F2 DG DN」と同様にレンズ設計者は非常に気を使って設計した事を明らかに。
ゴーストの抑制を専門としたチーム " ゴーストバスターズ " がシグマ独自開発のゴースト・シミュレーション・プログラムを使用し光学設計者にフィードバックを行い、設計段階でゴーストを抑えるようにしているそうです。その後 試作品・量産試作品で実際に撮影を行い、予想外のゴーストをあぶり出し対策を立て仕上げていくとのこと。
今回の2本の新レンズは通常の「Iシリーズ」と同様にフルメタル外装ですべてのパーツは公差を詰めて精度の高い加工を行っており、精緻(せいち)に組立てる事によりフォーカスリングや絞りリングの感触が良好で、実際に店頭でその感触を試してくれればと山木社長は語っています。
プラスチック部品にアルミの被膜を施す手法があり、コストを抑える為にそういう手法を使っているレンズがあるが、シグマではその手法は取っておらず特に「Iシリーズ」は本物のアルミ金属部品を使用している事を強調。人の手はちょっと触っただけでモノ質感を感じ取る能力があるとしてシグマは本物の金属部品を使用しているとのこと。
設計者だけでなく、福島県 会津工場の生産技術者、加工担当者との緊密な連携によって精度の高いレンズを実現している事も強調しています。
アルゴリズムを最適化する事で軽快なAFを実現し、一旦焦点すると逃ささず動画でも静止画でも素早いフォーカスを実現しているとのこと。両レンズともに " フォーカスモード切り換えスイッチ " を採用している事を解説。「Iシリーズ」共通のマグネット式メタルキャップが付属し、別売りでマグネット式メタルキャップホルダーを販売中である事をプロモーション。
- F2.8+ …「Iシリーズ」とにかくコンパクトにしたい方にお勧め
- F2 … 大口径とコンパクトを兼ね備えたレンズが欲しい方向け
「Iシリーズ」の中には大きく分けて " F2.8+ " と " F2 " の2つのラインが存在し、山木社長が分かり易くそのコンセプトの違いを説明しています。
発売日と希望小売価格(税込)
- 90mm F2.8 DG DN … 9月24日(金) / 85,800円
- 24mm F2 DG DN … 9月24日(金) / 85,800円
両レンズともに発売日は2021年9月24日で希望小売価格85,800円(税込)となっています。
Q&Aコーナー
- 世界中から要望はあるが、今のところ削り出しのシルバーボディ・レンズ発売の予定はない
- 「Iシリーズ」ラインアップ拡充していく予定であるが、超望遠レンズは今のところ予定していない
- パンケーキレンズの要望もたくさん頂いており常に検討したいと思っているが、性能を軽視しすれば出来るが、しっかりした性能でお届けしたいと考えているので今は保留となっている
個人的に興味深かった応答をピックアップしてみました。しっかり顧客からの要望には耳を傾けている模様。
シグマ60周年キャンペーン
シグマは今年60周年を迎え、取引先だけではなく顧客まで幅広く渡す事ができるモノとして " 60周年記念ハンカチ " を制作。60周年に掛かった " 年/月/時/分/秒 " を数字で表現し、フォントは独自のシグマフォントを採用、デザインは佐藤卓氏が担当している事を明らかに。
シグマ・オンラインショップに登録している顧客に発送済みで、先着で1,500名にオンラインショップに登録すれば発送するキャンペーンを行う事も告知しています。今回山木社長が着ている赤い60周年Tシャツも販売を検討するとのこと。両レンズのレンズ構成図Tシャツもいつものように発売を予定しているそうです。