雑談 : ソニーはカメラ市場の破壊者なのか?
週刊東洋経済Plusが、カメラ市場の「破壊者」ソニーというタイトルの記事を掲載しました。ソニーがカメラ市場の破壊者なのかどうか雑談を少しだけ。
元記事のタイトルは目を引きますが、内容はソニーが大きなシェアを獲得するまでの戦略とカメラ市場の変化を解説しており、「デジタルカメラ市場を破壊したのはソニーだった」と某大手カメラメーカーの幹部が語った事も掲載しているだけで、ソニーが市場の破壊者であると論じた記事ではありません。
以下は私個人の雑談になります。
ソニーは破壊者と言われる所以
確かにソニーのような大きなメーカーが新たな市場に参入してくるとなると、既存のメーカーは脅威である事は確か。ちゃんとした報道があった訳ではなく単に噂の域を出ない話かもしれませんが、昔ソニーがラジコン業界で草木が生えない状態にした話や、デジタルカメラ黎明期にサイバーショットが上手く行き始めた途端、CAMEDIAが好調だったオリンパスにイメージセンサーの供給を拒否した話などネットに登場した事も。なのでオリンパスとソニーが医療分野で提携した時やOM-D E-M5でソニー製センサーが搭載された時は、驚きでした。
カメラ市場でソニーの存在感が大きくなったのはキヤノンとニコンのせい
今のソニーのシェアとポジションは、ソニーがフルサイズミラーレス市場に参入し5年間キヤノンとニコンが好き放題させた事が大きいと個人的に感じていて、Aマウントで新しいユーザーを獲得しつつもキヤノンとニコンが築いた一眼レフ市場は大きな壁であったし、Eマウント APS-C NEXシリーズも苦戦していたんです。
特にキヤノンとニコンは、ソニーとパナソニックのカメラ市場本格参入を所詮家電メーカーと軽く見ていた印象で、加えてミラーレス機に対しても下に見ていたような気がします。その頃ネット上でもミラーレス機は " おもちゃ " 的な発言するユーザーさんも多かった印象。その流れが変わり始めたのが、Eマウント フルサイズ機「α7/α7R」の発売ではないでしょうか。
5年もの間フルサイズミラーレス市場において競合他社が現れずソニーは着実に進化させ「α9」を投入する事でミラーレス市場において現在の地位を獲得した印象。その状態からキヤノンとニコンがフルサイズミラーレス市場に参入しても、すでにミラーレス市場の価値観はソニーをはじめとする先行メーカーによって形成されているので、両社が追従するしかない箇所も出てきて特に初代機は新鮮味に欠ける部分があったのではないでしょうか。
大手カメラメーカーの幹部の発言は「デジタルカメラ市場を破壊したのはソニーだった」ではなく「デジタルカメラ市場における自社の利権をソニーに壊された」といのが正しい表現ではないでしょうか。カメラのマウント・ビジネスってシェアを獲っちゃうと既得権益的な要素ってありますよね。
従来型のビジネスモデルは通用しない
週刊東京経済PLUSの記事では、ユーザーがカメラを求める機能や価値が変わり、従来型のビジネスモデルは通用しない事を指摘。「ソニーは衰退市場でカメラが生き残る方向性を示している。」と論じています。特に最近は " 動画機能 " がキーポイントで、ソニーは画質だけでなく、瞳AFやVlogなどアピールが上手いのも確か。記事にはソニー開発思想などにも触れていて、興味深い内容となっています。
ソニーが、カメラ市場をあっさり捨てる事はない気がする
どのメーカーも営利企業なので採算が取れなくなれば、撤退や事業売却する事になると思いますが、ソニーは去年のBusiness Insider インタビュー記事で「デジカメの高付加価値戦略は、我々が2012年から他社に先駆けてやってきた。一眼の世界では我々もトップブランドになり、市場拡大の牽引役としてやってきました。」と語っているだけに、簡単に主導権を手放す事はない気がします。
立ち位置が変われば見方が変わり、ソニーは牽引役と思っていても、既存の大手カメラメーカーから見れば自分達の利益を脅かす破壊者と感じるだけの話かもしれません。ソニーが破壊者だろうが、そうでなかろうが、各メーカーが切磋琢磨しカメラ市場を賑わせてくれれば市場は活性化し、ユーザーは好きなメーカーの良いカメラ&レンズを手にする事に。