NHK 3層構造 有機センサー 開発継続中 TFT回路の微細化技術を開発
NHK放送技術研究所は有機膜を用いた3層構造のイメージセンサーを開発中ですが、高画質化に向けてTFT回路の微細化技術を開発し、3つのTFTを用いた増幅器により光の明るさに応じた信号として読み出すことに成功したと伝えています。さらなる低ノイズ化や画素微細化を進め、高画質な有機撮像デバイスの早期実現を目指すとのこと。
NHK技研は有機センサーに関する開発状況を何度か告知しており、2020年6月に「有機膜を積層した3層カラー撮像素子を開発」記事を掲載し、2020年7月に「深さ方向で光を3原色に分離する有機撮像デバイスを開発」を掲載しています。他にも2016年10月の「3次元構造撮像デバイスの研究」記事や10年前になりますが2012年5月の「有機撮像デバイスの高解像度化技術」記事も掲載。
そして今回「有機撮像デバイス~小型で高精細なカラーカメラの実現に向けて」のタイトルを付け情報を更新しました。
高画質化に向けた課題と取り組み
有機撮像デバイスでは、有機膜からの電気信号を読み出すために、透明な薄膜トランジスタ(TFT)回路を適用しています。これまでのTFT回路では、1つの画素内に1つのTFTを配置し、有機膜で発生した微小な電気信号を直接読み出していたため、外部ノイズの影響を受けやすいという課題がありました。この課題を解決するためには、微細な画素内に3つのTFTを用いた増幅器を設け、信号を増幅してから読み出す必要があります。今回、TFT回路の微細化技術を開発し、信号読み出し動作の基礎検証用に、50µmの画素内に3つのTFTを用いた増幅器を作製しました。 実験の結果、有機膜で発生した電気信号を増幅後、光の明るさに応じた信号として読み出すことに成功しました。
今後も、さらなる低ノイズ化や画素微細化を進め、高画質な有機撮像デバイスの早期実現を目指します。※NHK技研「有機撮像デバイス~小型で高精細なカラーカメラの実現に向けて」 より
パナソニックは2021年秋に開催された「4K・8K映像技術展」で「有機CMOSセンサー」の展示とデモンストレーションを行い、今回NHKは開発の進捗状況を伝えており、一般的にどのぐらいの時期に " 有機センサー " が商品として登場しプロ機器だけでなく民生カメラにも搭載される事になるのか気になるところです。