富士フイルムQ3決算発表 イメージング 思ったより減益 効果的なプロモーションを示唆
富士フイルムが、2020年3月期 第3四半期 決算発表しました。気になるイメージング事業は、インスタントカメラは在庫調整の影響で売上が減少し、デジタルカメラは上機種は堅調なもののエントリー機が振るわず、思ったよりも落ちてきている模様。
富士フイルム イメージング ソリューション 概況
ノート付きの資料の方には上記の解説に加えてプレゼン時の説明も掲載されているので、そちらをまとめてみると…
- 電子映像は市場環境が厳しく、ミラーレスのエントリーモデルの売上が販売減
- 1億200万画素センサーを搭載する中判ミラーレス機「GFX100」やXシリーズ フラッグシップ機「X-Pro3」の販売は堅調に推移
- 今月販売を開始する「X-T200」などで販売を強化
インスタントカメラは2018年度に1000万台を超える売り上げを達成したので、2019年度の前年度比は下がって仕方ない面もあります。しかしインスタントカメラの大きな利益が、デジタルカメラをカバーしている側面もあるので双方が販売減になると思ったよりも落ちてきている印象に。
ノート付き資料の方には以下のような興味深い事が掲載。
効果的なプロモーション
イメージング ソリューション部門は、対前年で売上高は減少、営業利益は減収や為替影響などにより、減益となりましたが、業績目標の達成に向け、独自技術を駆使した競合優位性の高い製品の提供や効果的なプロモーションの展開により、販売を強化してきます。※決算説明会資料(ノート付き)より
今回のQ3決算発表の前日に「X100V」の発表が行われ、独自技術を駆使した競合優位性の高い製品の1機種は「X100V」である事が想像に難くなく、効果的なプロモーションを展開する事を示唆しています。例の炎上したプロモーションムービーは賛否両論あると思いますが、富士フイルムは公式にどういう意図で公開したのか、どういう認識でいるのかを説明する事なく動画を削除し、謝罪のプレスリリースで幕引きという感じ。少なくともこの決算資料を見る限り " 効果的なプロモーション " として公開した事が伺えます。
世界的に影響力のあるdpreviewも今回の騒動を取り上げたので国内だけの問題ではなく、海外にも飛び火する可能性も。CP+2020 (2月27日~3月1日)で富士フイルムは国内外の映像系メディアの取材を受けると思いますが、dpreviewをはじめとする海外映像系メディアは、忖度なく今回の件をインタビューするかもしれません。国内映像系メディアは、あえて触れない対応するのかな…。あとCP+初日のステージで「X100V 開発者トークショー 」を行う予定で、今回の件に言及するのかスルーするのか気になるところです。
Q1~Q3決算 連結売上高/営業利益
イメージングは、インスタントカメラ・デジタルカメラ・産業・業務用機器などを含みますが…
- 売上高 … 2,661億円 | 前年度比 -377億円 (-12.4%)
- 営業利益 … 274億円 | 前年度比 -206億円 (-42.8%)
Q1~Q3の営業利益が前年度と比べてほぼ半減している事が伺えます。思った以上に営業利益が減少している印象。
Q1~Q4決算 通期見通し
- 売上高 … 3,500億円 | 前年度比 -369億円 (-9.5%)
- 営業利益 … 350億円 | 前年度比 -161億円 (-31.58%)
最終的には少し挽回する見通しですが、2020年もカメラ市場は2桁縮小するとCIPAが予測を出しているので、来期に向けて富士フイルムがどのような計画なのか気になっているユーザーさんは多いのではないでしょうか。ちなみに富士フイルムは、人気機種の新型機「X-T4」の発表を2月26日に控えています。
Q1~Q3 デジタルカメラ業績
- Q3 … 207億円 | 前年度比 -59億円 (-21.7%)
- Q1~Q3 … 577億円 | -130億円 (-18.3%)
イメージングソリューション個別の業績が分かるデータも掲載されています。電子映像という項目がデジタルカメラで、前年比で売上高が約2割ぐらい下がってきている事が確認できます。もちろん営利企業ですからコスト削減を行う事が予想され、研究開発費はどうなっているのか…。
イメージング研究開発費
Q1~Q3の開発費は、前年度と比べると72億円から79億円に引き上げられています。ここ最近発表された「X-Pro3」と「X100V」は質感も高くコンセプトもはっきりした機種に仕上がっており、発表が期待されている「X-T4」は次世代スペックが採用されている可能性が高そうなので、開発の手を緩めず魅力的な富士フイルムらしい新製品が今後も登場するのではないでしょうか。