ニコン決算発表 映像事業Q1黒字発進 増収増益 年間見通しも1700億円に上方修正
ニコンが2022年3月期 第1四半期 決算 (2021年4月~6月) 発表を行いしました。全セグメントで増益となっており、映像事業は前年同期比で増収増益で年間見通しも上方修正へ。それでは見ていきましょう。
ニコン全体 2022年3月期 第1四半期実績
- 売上収益 … 1,322億円 (前年同期比 675億円増)
- 営業利益 … 199億円 (前年同期比 404億円増)
- 当期利益 … 158億円 (前年同期比 293億円増)
どのカメラメーカーの決算発表でも触れていますが、去年の4月~6月は一番コロナの影響を受けているので今期の実績は良くて当たり前。しかし去年ニコンQ1の営業利益は▲205億円赤字でしたから今年度は黒字発進。しかも映像事業はデジタルカメラの販売台数が大幅回復し、249億円増収・175億円増益だった事も掲載しています。
映像事業 2022年3月期 第1四半期実績
映像事業では、ミラーレスカメラ用交換レンズのラインナップを拡充させ、ミラーレスカメラを中心にプロ・趣味 層向け中高級機の拡販に努めました。これらの結果、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があった前年同期に比べ市場が回復したこともあり、増収増益となりました。 ※決算短信(PDF)より
- 売上収益 … 500億円 (前年同期比 249億円増)
- 営業利益 … 92億円 (前年同期比 175億円増)
- レンズ交換式デジタルカメラ … 22万台 (前年同期比 17万台増)
- 交換レンズ … 39万本 (前年同期比 2万本増)
コロナの影響はまだ残っているもののグローバルで見た場合地域的に経済が回り始めているせいか、カメラ需要が回復しミラーレスカメラをはじめ高単価の交換レンズの販売が好調とのこと。ニコンは岩盤層と言われるプロ・趣味層向けモデルにシフトしつつあり製品の平均単価が上昇した事も理由の1つに挙げています。
映像事業 年間見通し
- 売上収益 … 1,700億円 (前年実績比 +13.2%)
- 営業利益 … 120億円 (前年実績比 +483億円)
映像事業の前年実績は 売上収益 1,502億円 / 営業利益 ▲363億円(赤字) だったので、今年度の映像事業は黒字を見通している事が確認できます。しかも5月に行った見通しでは 売上収益 1,650億円 / 営業利益 50億円 だったので上方修正した事が伺えます。
決算短信の方で「通期の事業環境は、映像事業では、デジタルカメラ市場は継続して回復することが予想されます。」と掲載しており、ニコンは今後もカメラ市場は回復基調が続くと予測しています。
ニコンは映像事業の売上1,500億円で利益が出る事業体になるように構造改革中で、このまま行けば今年度は計画通りに1,500億円で利益が出る事になりそうな予感。
カメラ販売台数 年間見通し
- レンズ交換式カメラ … 75万台 (前年度 84万台)
- 交換レンズ … 130万本 (前年度 135万本)
レンズ交換式カメラと交換レンズの年間見通し販売台数は 75万台 / 130万本 と前回見通しを据え置き。赤字だった前年度より見通しの販売台数は落ちていますが、それでも売上収益・営業利益が伸びた見通しであるという事は映像事業の構造改革が進んでいると見て良いのではないでしょうか。
ニコンは今年度の市場規模を580万台と据え置きしていますが、キヤノンは決算発表で市場規模を600万台と想定し300万台売り上げる年間通しを立てています。今後のニコンのQ2やQ3決算で販売台数も上方修正してくるのかどうか注目したいところです。
2018年度から四半期別の販売台数グラフを見てみると、今回の2022年3月期 第1四半期 (2021年4月~6月)はコロナの影響を持ちこたえ、販売台数グラフでは見えてきませんが利益率を上げてきている感じでしょうか。
参考資料を見てみると映像事業の研究開発費は横這いといった感じで、映像事業の売上収益はセグメント的に精機に次ぐ2位なのでまだまだ柱の事業である事が分かります。
ニコンはZマウント DX レトロスタイルカメラ「Z fc」が注目を集め、開発中のZマウントFX フラッグシップ機「Z 9」は2021年後半を予定し、今後も様々なZレンズが登場してくる事が予想されるのでさらなる増収増益に期待です。