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ニコン年間決算発表 映像事業ついに黒字化 研究開発費を増加

ニコンが年間決算 (2021年4月~2022年3月) 発表を行いました。ここ数年赤字続きだった映像事業がついに黒字化を達成。競争力維持・強化のための新製品開発力及び開発投資する事も明らかにしています。

ニコン年間決算

年間決算 映像事業 (2021年4月~2022年3月)

  • 売上収益 … 1,782億円
  • 営業利益 … 190億円

映像事業の売上高と営業利益は通期見通しに達しなかったものの久々に黒字化を達成しています。ここ数年ニコンの映像事業は赤字続きで1,500億円の売上で利益が出る構造改革を行ってきましたが、ついに実現といった感じでしょうか。ちなみにQ1~Q3まできっちり黒字をキープしており、年間決算における映像事業の黒字化はほぼ確実視されていました。

ニコンは4月に中期経営計画 (2022~2025年度) を発表済みで、映像事業の次のステップを告知済み。今度は売上2,000億円で営業利益率10%を目指します。Zレンズ50本以上をラインアップする事も明らかに。

レンズ交換式カメラ

  • 世界市場 … 512万台
  • ニコン … 70万台

交換レンズ

  • 世界市場 … 939万本
  • ニコン … 127万本

一眼レフ時代のニコンのシェアを考えると、この1年の世界市場512万台に対してニコンは70万台と20%に満たないシェアは少し寂しい気もしますが「Z 9」が高評価を得て販売好調である事もプレゼン資料に掲載。

交換レンズは世界市場939万本に対してニコンは127万本売り上げている事が分かります。次は映像事業の通期見通しを見てみましょう。

通期見通し

映像事業 通期見通し (2022年4月~2023年3月)

  • 売上収益 … 2,100億円
  • 営業利益 … 220億円

中期経営計画通り、売上2,000億で10%以上の利益を目指した見通しとなっています。今後も供給がひっ迫する事を織り込み市場台数は前年並みと見ており、今年度も中高級カメラへのシフトを進め、ミラーレスカメラ・交換レンズを中心に売上拡大を目指すとのこと。

ニコン研究開発費

開発費を増加

  • 製品競争力の維持・向上を図るため、開発費用等の経費増加を見込む

どうやら開発費を注ぎ込む予定である事が伺えます。" 製品競争力の維持・向上を図るため " としており、ニコンの次世代機の登場に期待が高まります。通期見通しの研究開発費のプレゼン画像を見ると映像事業は、170億円を予定しています。※前年は152億円。

決算短信には…

競争力維持強化のための新製品開発力及び開発投資
当社グループの主力事業は厳しい競争下にあり、高度な研究開発の継続による新製品の開発が常に求められています。そのため、当社グループの収益の変動にかかわらず、製品開発のための投資を常に継続する必要があります。※2022年3月期決算短信より

…と掲載されています。プレゼン資料に今年度のレンズ交換式カメラと交換レンズの販売見通しも掲載されているので見てみましょう。

レンズ交換式カメラ 通期見通し

  • 世界市場 … 510万台
  • ニコン … 70万台

交換レンズ 通期見通し

  • 世界市場 … 940万本
  • ニコン … 125万本

ニコンは部品調達制約により販売台数は前年並みとしており、世界市場の販売台数の見通しも前年と大きく変わっていないので、ニコンだけでなく競業他社も何かしら部品調達制約がある事が伺えます。今後ニコンが、シェア的にどこまでソニーとキヤノンに迫る事になるのか注目しているユーザーさんは多いのではないでしょうか。

今のところコロナの影響が続き、特に中国では地域的にロックダウン状態で世界経済の懸念になり始めており、海外ではインフレが顕著、地政学的なリスクも続き状況が変わり続けると思うので、四半期決算ごとの通期見通しに注目です。

あと平均販売単価を上げていく事も明言していますが、機会があれば別の記事で触れるかもしれません。