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オリンパス映像事業 通期で+79億円改善するものの104億円赤字 市場需要回復に時間が必要

オリンパスが、2020年3月期決算を発表しました。気になる映像事業を見てみると、通期で+79億円 営業損益が改善するもが解消されるも104億円赤字だった事が確認できます。ただし新製品「OM-D E-M1 Mark III」は好調に推移しているとのこと。

オリンパス映像事業 2020年3月期 通期実績

オリンパス 映像事業 実績
  • 売上高 … 487億円 → 436億円 / 前年比 10%減
  • 営業損益 … -183億円 → -104億円 / 前年比 +79億円 (為替影響調整後 +81億円)

1~3月期はCOVID-19の影響を受けながらも通期で見ると営業利益は-183億円から-104億円に改善しています。第4四半期(1~3月期)だけを見ても前年と比べて見ても-51億円 → -30億円に改善している模様。

あとその他の損益の項目を見てみると、2019年通期実績では79億円の損失がありましたが、今期は16億円の損失に留まっており、あと損失改善の1つに販管費の効率化を上げており、後半でチェックしてみようかと。

ミラーレス・コンパクト機 通期売上高

  • ミラーレス … 360億円 → 324億円 / 前年比 10%減
  • コンパクト … 71億円 → 52億円 / 前年比 10%減

上期は生産拠点の再編で新製品投入が出来ず、1~3月期はCOVID-19の影響があった事を減収の理由に挙げています。カメラ市場そのものも縮小しつつあるので、踏みとどまっているのか、落ちつつあるのか判断が難しいところ。ただオリンパス全体の売上高は7,974億円で、営業利益は835億円となっており、医療事業(内視鏡・治療機器)が柱の企業なのも確かです。

ちなみに本来なら米国や中国市場は巨大市場で利益挙げる重要な市場ですが、オリンパスは両市場で低シェアでオリンパスカメラの弱みとして統合レポート 2019で明らかにしています。

1~3月期 COVID-19の影響

COVID-19の影響

2月以降COVID-19の影響を受け始めている事が分かるグラフとなっており、特に映像事業は2月以降急激に売上が落ちている事が分かります。公開されている決算発表 音声データで、グラフには反映されていない映像事業4月の売上高が60%減、5月はより厳しい状況である事を明らかに。

COVID-19の影響で全世界の販売店が営業停止になり、CP+2020などのイベントや商談を行う事が出来なかった事を理由に挙げています。今後は各メーカーは、ネット上のプロモーションやECサイト(オンラインショップ)に力を入れてくるような気がします。

映像事業 今後の見通し

映像事業 今後の見通し
  • 販売店の営業再開の動きもあるが、外出制限の厳しい地域も多く、SNS等、オンラインでの訴求を強化
  • コンシューマー市場の需要回復には、より時間を要すると想定

カメラ市場の需要回復に時間が掛かる事を想定し、やはり実店舗だけなくオンラインを意識した文言が確認できます。あとデジタルマーケティングを強化する事で販売・営業経費の負担を減らす事に繋がるかもしれません。

販管費の効率化

販管費の効率化

前半に登場した " 販管費 " を説明したスライド画像あり、この部分を圧縮する事で利益に繋げている事が伺えます。

  • 研究開発費 … -160億円
  • 販売促進費 … -50億円
  • 旅費交通費 … -39億円

全体で325億円経費を減少させ効率化を図っているとのこと。研究開発費が減る事はマイナスイメージですが、研究開発が順調に進み、より多くの開発費が資産化された事で160億円減少した事をノート付きの決算資料の方で解説しています。あとWeb会議を積極的に活用し国内外の出張を大幅に減らしているそうです。

気になるスライド画像

新規プロジェクトの延期

映像事業だけでなくオリンパス全体の事業に対したスライド画像なのですが…

  • 採用計画の原則締結
  • 新規プロジェクトの延期
  • 費用、投資の優先順位見直し

厳しい内容となっています。現時点におけるオリンパスの方針で " 映像事業 " は本経営戦略から外れており、今後も費用・投資の優先順位は低そうな予感。少なくとも最優先ではない事は確か。あと " 新規プロジェクトの延期 " の文言も気になるところです。

音声データの質疑応答の中で映像事業に関したやり取りをピックアップしてみました。※質疑応答1の中で2つの質問

映像事業の在庫状況は?

  • 12月末と比べると3月末は少し在庫は増えており193億円
  • ミラーレスはほぼ同じ、コンパクトが少し苦戦

映像事業規模は小さい事もあり、元々固定費を削減してきているはずで、今後経費を削るにしてもあまり効果がないのではないか?

  • 今のビジネスモデルを続ける限りは地域を含め、限界が出てくると考えている
  • やり方・展開する場所を変更するアイディアを入れていかないと、現状打破は出来ないと思う

海外サイトで韓国でオリンパスがカメラ事業を6月末に撤退する報道があった記事をチラっと見た事がありますが、それを裏付けるような内容となっています。