パナソニック山根氏「空間認識AFは実用的な性能を提供する技術の可能性まだ有している」
Cine Dが、パナソニック 山根洋介氏 インタビュー動画・記事を掲載しました。パナソニックは次世代機「GH6」を開発中ですが、AFシステムに関して「空間認識AF(DFD)は、お客様に実用的なパフォーマンスを提供する技術の可能性まだまだ有している」とコメントしています。
Q : Cine D 読者の多くは、パナソニックが特に動画モードで「コントラストベースAF」から「位相差AF」に移行しない理由を知りたがっています。外部から見ると、パナソニックはミラーレスカメラに信頼性の高いAFシステムを実装する必要性を十分に認識し多くのリソースを費やしているように見えますが、顧客(特にシングルオペレーター)はLUMIXカメラにさらに信頼性の高いAFシステムが搭載されることを望んでいるのです。なぜ「位相差AF」へ移行しないのですか?
A : 私達は、様々なフォーカシングのアプローチを続けています。空間認識AFは、お客様に実用的なパフォーマンスを提供するため技術の可能性をまだまだ有していると思っています。
そもそも空間認識AFは、測距性能の観点では画面内の定められた場所に配置された位相差画素から測距する像面位相差方式と比べると画面全体の任意のエリアを測距できるので被写体の位置に依存せず正確なAFが可能であると考えています。また映像信号から測距測距を行うので画素欠損の心配はなくイーメジセンサーの画質のポテンシャルを最大限に発揮する事が可能で、暗所性能も充分に確保できる。イメージセンサーの種類に依存する事なく、価格的にも可能な限り多くのモデルに同じレベルの性能を提供できる可能性が増えていくと考えています。
もちろんお客様から様々なご意見を頂戴しており、像面位相差AFが被写体追従の点で優れている事は私自身も認識しています。これに対して我々は、ディープラーニングに代表されるように我々の得意とする映像信号技術を活用したアルゴリズムの強化でAF性能を高めており、これからも高めていこうと思っています。
次の世代のシステムではさらに実用的になる事を試みながら現在開発を行っているので、ご提供できる日までお待ちいただければと思います。
上記のコメントからパナソニックが像面位相差AFを採用しない理由を簡潔にピックアップしてみると…
パナソニックが現時点で像面位相差AFを採用しない理由
- AF精度
- 画素欠損による画質低下
- 暗所性能
- 開発リソースと製品戦略
以前と大きな差はない理由となっており、ディープラーニング技術を強化する事により空間認識AF (DFD技術を採用したコントラストAF) を進化させていく方向性である事が伺え、少なくとも像面位相差AFを採用する可能性は低そうな印象。
「GH6」のAFシステムが気になる
次世代フラッグシップ機である「GH6」にどのようなAFシステムを採用しているのか気になるところ。パナソニックは、画素欠損なく最大限の画像・映像品質を引き出し画像全体の任意のエリアが測距可能な事の優先順位を掲げています。…と言う事は、ソニーが言うところの「全画素AF」やキヤノンの「デュアルピクセルCMOS AF II」などが、パナソニックが空間認識AFの次にたどり着くシステムに個人的に感じます。
今回のインタビューでも分かる通りパナソニックは「空間認識AF (DFD)」に対してかなりこだわりがある印象で「GH6」にどのようなAFシステムを採用しているのか注目です。引き続き「空間認識AF」を採用してきたとしてもネガな部分を解消したシステムに進化している事に期待。個人的に動画追従性能だけでなく、静止画の望遠とマクロ撮影においてもDFDにストレスを感じる事も…^^;
深読みし過ぎかもしれませんが「次の世代のシステムではさらに実用的になる事を試みながら現在開発を行っているので、ご提供できる日までお待ちいただければと思います。」のコメントが意味深に感じます。少なくともディープラーニング領域は進化していそうな印象です。