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CP+2021 Lマウントアライアンス 現状と今後の展望を語る シェアと新しい仲間?

CP+2021 シグマ枠でLマウントアライアンスの現状と今後を語る特別企画「Lマウントアライアンスの今とこれから」が公開されました。個人的に興味深かったポイントをまとめてみたら結構なボリュームに。

参加者は、ライカ チーフレプレゼンタティブジャパン 杢中薫氏、パナソニック イメージングビジネスユニット 商品企画部 部長 津村敏行氏、シグマ 商品企画部 部長 大曽根康裕氏。司会は、AERA dot.編集長/元アサヒカメラ編集長 佐々木広人氏になります。

ぶっちゃけLマウントの売れ行きはどんな感じでした?

シグマは各社の色々なレンズを出しており、ちょうど今は一眼レフからミラーレスへの入れ替えの時期。なのでマウントが多く、シグマでは9種類のマウントがあります。

それの生産も大変なのですが、その中でLマウントはどんな感じだったのかと言うと、2018年のシェアは当然ゼロ。2019年シグマは7月ぐらいから実際に発売を始めましたが、2019年は9種類あるマウント中の1ケタ%に過ぎなかった。2020年はググっと上がってきまして、直近の1月の国内販売はトップ3に肉薄するシェアになっている。

28:18あたりに上記の質問に対してシグマの大曽根氏が、Lマウントの販売シェアがシグマ内でトップ3に肉薄するシェアにまで伸びてきた事を明らかに。

元々カメラのマウントシステムは保守的でなかなかシェアが入れ替わる事が難しいし、司会の佐々木氏も「既存のユーザーの壁はなかなか越え難く、3位にのし上がって行く事は、マウントを変えない人がいる事が考えると相当なニーズな気がします。」とコメント。

Lマウントアライアンス各社の新製品が効いており、特にシグマはIシリーズを投入以降さらにシェアが伸びおり、これからLマウントがどのくらい伸びていくのか楽しみである。」と大曽根氏が抱負を語っています。加えて津村氏からパナソニック「S5」ユーザーも、Iシリーズを購入しているのではないか?という見立ても登場。

ライカの展望とメッセージ

展望 :
Lマウントに関しては、Lマウントアライアンス以降 カメラとレンズの柔軟性を持って考えている。ライカボディにはライカレンズというような話はあるが、我々としては折角Lマウントアライアンスがあるのだから、積極的に「SL2 / SL2-S」にシグマ・パナソニックレンズも使って欲しいと思っている。先日もライカストア銀座でライカボディにシグマ・パナソニックレンズを組み合わせて撮ってもらうイベントを開催したが、あっという間に予約が埋まってしまった。

ウチはライカですから、シグマもパナソニックは非常に開発力があるメーカーなので似たような事をやっても意味がない。我々の強みは、あまり値段を考えずにこだわって最高性能を目指すレンズであり、色んな意味でこれからも考えていきたい。

メッセージ :
2018年にLマウントアライアンスを発表し、その直後からパナソニックが「S1 / S1R」、シグマ「fp」などたくさん出てきて、これはLマウントは面白いモノになるぞと思った。

特にシグマ「fp」は我々がLマウントシステムで考えていたなかった使い方をする商品で、パナソニック「S1H」はNetflixに認められるような怒涛の性能商品を実現しており、非常に感謝している。

ライカしては、Lマウントの盟主としてこれからもLマウントに貢献していく。ライカは真面目な会社なのであまり突飛な事は出来ないが、しっかりしたボディとしっかりレンズを着実に作っていく。「SL2-S」は動画に強く、画素数も扱いやすく使い易いカメラに仕上がっており、価格もライカとしては頑張っているのでご覧いただきたい。

中盤のレンズラインアップの話の中で、ライカはLマウントアライアンス締結後、シグマとパナソニックはズームレンズが得意なメーカーなので、ライカとして " 究極に性能良い単焦点レンズ " を目指し、F2のアポ・ズミクロンシリーズにに注力し開発を進めている事も語っています。

Lマウント ズミクロンレンズに対してシグマ 大曾根氏が「特に35mmと50mmは、今のマスターピースになるような性能。」「性能において初代ズミクロン50mmF2を超えている。」「こういうのを見せつけられると、負けないぞ!頑張ろう!という気になる。」「このレンズは、新しいライカ伝説になるのではないか。」と絶賛。

 

パナソニックの展望とメッセージ

展望 :
ライカと比べれば非常に短いが、我々がLUMIXブランドを掲げて20年になる。我々は " クリエイターと共に歩む " という事を掲げ、作品のアウトプット(写真・動画・タイムラプス)のクオリティにこだわる人を重要視しターゲットにしていこうと。

Lマウントシステムは多彩な表現に向いているシステム。我々は表現力の高まる方向に新しいモノを出していこうと。ボディについても色々な用途に適したフォルムだったり用途だったり広がっていくと思っており、ボディ・レンズ共に色々仕込んでいる最中。言えるタイミングになったら早めにお伝えしたいと思う。

都内にスタジオを作ってプロのワークフローを体験できる場所を画策している。こういったブースがあれば、Lマウントアライアンスであるライカやシグマに来てもらって、コロナ終息後に色んなコラボ・イベントをたくさんやっていきたい。

メッセージ :
Lマウントシステムはやんちゃであり、選び甲斐があり、楽しいマウントシステムにどんどんなってきていると思う。我々は、写真だったり映像だったりクリエイターな人が愉しんでもらえるマウントシステムのカメラを作るには非常に親和性が高いシステム。

" 変態 = 今までにない新しい価値 " と捉えて " 変態 " と言われるような個性ある商品をどんどん揃え、あくなきチャレンジをしていきたい。ライカとシグマの性能の出し方は非常に勉強になり、我々も負けていられない。エンジニアは、切磋琢磨にそれを超えようと頑張っている。過去のモノが古臭く見えてくるぐらい、どんどん新しい革新を起こしていけたらと思っている。

あと話の流れの中でLマウントレンズの方向性も語っており、司会の佐々木氏は「カメラ雑誌やネットメディアもそうだが、最初にこれ出ますよという時にスペック・数字的な部分を言いがちで、自分の感性だったり使い心地だったり肌感覚の部分は大事だったりする。」とパナソニックの試みに前向きな発言をしています。

シグマ 大曾根氏は、パナソニック「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」が出てきた時、最初APS-C用レンズと思ったぐらいに小さく、しかも性能が良くて驚いたコメントもしています。やはり「20-60mm」は動画を視野に入れたレンズのようで、F1.8単焦点レンズは揃えて使うと便利なレンズとして統一性ある単焦点レンズで注力していく模様。

展望のコメントを見る限り「S1 / S1R / S1H / S5」以外に新たなボディが出来そうな印象です。

 

シグマの展望とメッセージ

展望 :
元々Lマウントは幅広い商品があるシステムでさらにそれを広げる事に貢献できればと思っている。Lマウントレンズロードマップを見て分かると思うが、最もワイドなレンズ、最もテレなレンズ、最も明るいレンズ、最も暗いレンズはシグマ製だったりする(笑)。

このゲームは隅を取ったら勝てるゲームではないが、バリエーションは大事だと思っており、社長の山木から「もっとクレイジーなものを出さなくちゃ!」と日ごろから言われている。Lマウントの中で面白いものが出せたらと思っている。

メッセージ :
しっかりした土台となる強力な良いマウントを作ったライカに感謝している。パナソニックが、プロ機・ハイエンド機・大三元レンズから揃えてきた事はLマウントの土台を作ったようにシグマからは見え、感銘を受けている。我々は2社に支えられながらという表現はおかしいかもしれないが、その中でシグマは存分に暴れるというか、面白いものを作って行こうという思い。カメラもレンズも面白いものを出していきたい。

今後もシグマならではの思想を反映したカメラ・レンズが期待できる言葉が満載。山木社長自ら「もっとクレイジーなものを出さなくちゃ!」という姿勢も多くのユーザーから支持を受けている大きな理由ではないでしょうか。

 

Iシリーズレンズをパナソニックとライカが絶賛

シグマは「45mm F2.8 DG DN | Contemporary」を投入し後に2本のレンズを加えて " Iシリーズ " の展開を開始しましたが、パナソニック 津村氏 も ライカ 杢中氏も自社カメラに似合う、カッコイイと絶賛。津村氏が、一部の国で「S5」に「45mm F2.8 DG DN」がバンドルされていた事も笑い話として披露。津村氏が指している事がこの事なのか分かりませんが、米国では「S5」を購入すると「45mm F2.8 DG DN」が無料プレゼントされるキャンペーンを実施していました。

個人的に将来パナソニックがLマウント版「GX7」的なモデルを出したら、キットレンズはIシリーズで用意してい欲しいかも。

 

Lマウントアラインス 新たな仲間が増える可能性

Lマウントを世界の標準マウントにしたいと思っている。

今は3社であるが、今後は仲間が増えてくる可能性があるでしょうし、このマウントはかなりしっかりしているので単なるカメラはなく、動画カメラとか、機械産業用のカメラとか測定器などにどんどん広がるような応用性の高いマウントになると期待している。

シグマ 大曾根氏が、あくまでも個人的な見解・想いとして語ったのですが、パナソニック津村氏もライカ杢中氏も同調するような表情と仕草で思わず期待してしまいます。そう言えば、最近自由になったメーカーがあったような…。今後Lマウントアライアンスの仲間が増え三銃士から四天王になるのかどうか、コロナ終息後 Lマウントの躍進に期待したいところです。