ソニー「センサーにエッジAIを搭載する技術は確立している」「さらなる画質向上も可能」
ソニーは、2019年5月に開催された「2019年度経営方針説明会」でイメージセンサーにAI機能を埋め込みインテリジェント化する方向性を示しましたが、今回「Corporate Report 2019 統合報告書 (PDF)」をリリースし、その中でイメージセンサーにエッジAIを搭載する技術は確立しており、さらなる画質向上が可能である事を明らかにしています。
イメージング&センシング・ソリューションに関しては52pに戦略が掲載されていて、個人的に興味深かったポイントを太字にしてみました。
戦略の方向性
こうした中、ソニーのイメージング&センシング・ソリューション分野では、引き続きイメージセンサーに注力します。基本戦略として、優位性のあるイメージング&センシング技術の一層の進化を図り、各領域での成長を実現するとともに、さまざまな産業における協業、M&Aな どを通じ、新たなユースケース創出を目指します。具体的には、ハードウェアとソフトウェア両輪での成長を目指していきます。
ハードウェアについては、中期的にはCMOSイメージ センサーの旺盛な需要に対応し積極的に投資を行い、CMOSイメージセンサーにおけるイメージング用途の世界No.1を維持すると同時に、センシング用途でも世界No.1を目指します。
ソフトウェアについては、将来的な姿として、エッジAI処理を組み入れ、センサーハードウェアとの融合を図りながら、リカーリング収益モデルを追求していきます。そのためにまずは、ソフトウェア戦略・パートナー戦略の検討と具体化を進めていきます。
CMOSイメージセンサーとAIの組み合わせには、さまざまな可能性があります。イメージングとAIを組み合わせることにより、さらなる画質の向上が可能となります。 また、センシングとAIを組み合わせることにより、これまで実現できなかったアプリケーション側での認識や、マシンビジョンなど、無限の可能性が広がります。
ソニーは、CMOSイメージセンサーのハードウェアにこ のようなエッジAIを搭載するための、さまざまな技術を確立しており、CMOSイメージセンサーのリアルタイム化・インテリジェント化に向け、優位性を確保していま す。ソニーの持つ、Cu-Cu接続を用いた積層技術は、画素部とロジック部のインテグレーションの自由度を高め、CMOSイメージセンサーの将来の可能性を大きく広げる ことを可能にします。
収益面では、引き続き収益ドライバーであるモバイル領域において、環境変化への対応力を高めることで収益最大化を図ります。同時に、センシングや車載などの新規領域における新製品開発や技術開発に経営資源を投下し、収益貢献を目指します。投資については、イメー ジセンサー事業の技術の優位性を維持・強化するため、 継続的に研究開発と設備投資を行っていきます。※ Corporate Report 2019 統合報告書より
AIとセンシングは、自動運転・IoT・ゲーム・イマーシブ デジタル エンターテイメントなど幅広い領域で使われていく事を想定していると思うので、どの分野からAI搭載センサーが採用されていくのか楽しみです。最終的に民生カメラにも降りてくるのではないでしょうか。※2019年度第1四半期決算発表でも方向性を明らかにしています
あとSony Stories内に掲載されている「クリエイティブに寄り添うAIこそ、ソニーらしいAIの未来」「AI分野でソニーがNo.1になるために」「イメージセンサーという「小宇宙」を 創造する者たちの視座 」「AI×ロボティクスにおけるソニーらしさとは?」なども興味深く感じます。
あと本文に登場してくる " Cu-Cu接続を用いた積層技術 " は、ソニー独自の積層技術で量産化を実現し第65回大河内記念生産賞を受賞を受賞しています。
あとカメラ事業に関して51pで…
- カメラ事業では引き続きフルサイズ一眼カメラ市場でのNo.1を目指す
- 放送局などのB2B向け事業では引き続き 競争力のある製品群の充実を図る
…となっていて、現在「α9 II」と「α7S III」の登場が期待されているだけに、今後の展開に注目です。