ソニー「SELP1635G」vs「SEL1635Z」外観やスペックそして価格などを比較
ソニーが、Eマウント フルサイズ対応 広角ズームレンズ「FE PZ 16-35mm F4 G | SELP1635G」を正式発表したのでツァイス印レンズ「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS | SEL1635Z」と比較してみました。
サイズと質量そして外観
- FE PZ 16-35mm F4 G … 80.5×88.1mm / 353g
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … 78x98.5mm / 518g
「FE PZ 16-35mm F4 G」の特長の1つに小型軽量コンセプトがあります。最大径は「FE PZ 16-35mm F4 G」の方が2.5mm大きいですが、長さと質量は「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」より小さく軽く仕上がっている事が伺えます。長さは10.4mm短くなり、質量は165g軽量です。ちなみにフィルター径は同じ72mm。
「FE PZ 16-35mm F4 G」の外観はここ最近のFEレンズのデザイン言語に沿った仕上げで、フォーカスリング、ズームリング、絞りリング、フォーカスホールドボタン、フォーカスモードスイッチ、アイリスロックスイッチ、絞りリングクリック切り換えスイッチを採用。今回は新設計パワーズーム(PZ)を採用しているのでズームレバーも配置されています。
「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」は国内で2014年11月に発売されたEマウント フルサイズ初期にあたるFEレンズ。ソニー FEレンズは、GMレンズ登場前と登場後の系譜は少し異なるように個人的に感じます。
レンズ構成図
- FE PZ 16-35mm F4 G … 12群13枚
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … 10群12枚
- FE PZ 16-35mm F4 G… 高度非球面AAレンズ、非球面レンズ、ED非球面レンズ、スーパーEDガラス、EDガラス
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … 高度非球面AAガラス、非球面レンズ、EDガラス
GMレンズの代名詞的な " 超高度非球面XAレンズ " を採用していませんが、両レンズともに" 高度非球面AAレンズ " を採用しています。「FE PZ 16-35mm F4 G」は、非球面レンズやEDガラスだけでなく、ED非球面レンズ、スーパーEDガラスも採用し、レンズ構成は12群13枚とツァイス印レンズよりもエレメントが多くなっています。
MTF曲線
MTFはかなり注目すべきポイントで両レンズを比べると「FE PZ 16-35mm F4 G」は爆上げチャートである事が分かります。ここ最近のソニーレンズのMTFは天井に張り付く事があたり前になりつつある印象。このMTFを比べちゃうと「FE PZ 16-35mm F4 G」に物欲がわくソニー・ユーザーさん多そうな予感。
MTFは2種類ある事は抑えておく必要があり…
- 波動光学的MTF … 実際の撮影データに近い値
- 幾何光学的MTF … 理想値
ソニーのMTFがどちらなのか以前から気にはなっているんです。ちなみにシグマは「波動光学的MTF」と「幾何光学的MTF」性能両方を掲載しています。
撮影最短距離・最大撮影倍率
- FE PZ 16-35mm F4 G … 28cm(W) - 24cm (T) / 0.23倍
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … 28cm / 0.19倍
ワイド端の最短撮影距離は両レンズともに28cmなのですが、「FE PZ 16-35mm F4 G」のワイド端はさらに寄れて24cmとなっています。
画角・F値・絞り羽根枚数
- FE PZ 16-35mm F4 G … 107°-63° / F4-22 / 7枚 (円形絞り)
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … 107°-63° / F4-22 / 7枚 (円形絞り)
画角、F値(開放絞り-最小絞り)、絞り羽根数は同じ。
コーティング・防塵防滴仕様
- FE PZ 16-35mm F4 G … フッ素コーティング / 防塵・防滴に配慮した設計
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … T*(ティースター)コーティング / 防塵防滴に配慮した設計
「FE PZ 16-35mm F4 G」は前面にフッ素コーティングを施し汚れを最小限に防ぐ処理が施されていますが、" コーティングの最適化により、ゴースト・フレアを効果的に抑制し、ヌケのよいクリアな描写が得られます " という文言も製品ページに掲載しているので他にもコーティングが施されているかもしれません。
「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」は、T*(ティースター)コーティングを施す事で " 反射を抑えた高コントラストな描写性能も発揮し、本格的な風景撮影を可能にします " としています。結構前に掲載されたものですがソニーはTスターコーティングの解説を掲載しています。
ソニーが " 防塵防滴に配慮した設計 " 表現から一歩進む時が来るのでしょうか。
パワーズームとフォーカス
ソニーがフォーカス機構をアピールするようになったのは、望遠系のGMレンズがが登場し始めたあたりで「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」発売時はその辺のところに触れていないので比較では出来ませんが、「FE PZ 16-35mm F4 G」は着実に進化し続けている事が確認できます。
- ズーム駆動 はXDリニアモーター2基
- フォーカス駆動 XDリニアモーター2基
「FE PZ 16-35mm F4 G」はXDリニアモーターを4基搭載しており、2基はパワーズーム駆動、2基はフォーカス駆動に振り分けて応答性に優れた制御を実現しているとのこと。
価格
- FE PZ 16-35mm F4 G … 165,000円前後 ※市場推定価格(税込)
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … 158,268 円 ※ソニーストア価格(税込)
絶対的な価格差はありません。「FE PZ 16-35mm F4 G」は3月25日予約受付開始、4月28日発売予定。発売されてから「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」価格が少し下がるのか気になるところ。しかしカメラ市場は値上げの動きがあるのでどういう展開になるのでしょうか。海外はインフレで日本は円安が進んでいて、買える時にささっと買っておく、もしくは発表時に迷わず予約を入れておくのがのがベストかもしれません。
時代背景
- FE PZ 16-35mm F4 G … 動画が台頭
- Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS … 静止画の時代
ソニーがEマウント規格を投入した頃は、ミラーレス機で動画の流れはすでにありましたが、カメラ市場は静止画需要がかなり大きかった時代で「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」もその流れを反映したレンズと言えます。この頃ソニーが数年先に今のようなシェアとポジションを築く事を予想していたユーザーさんは少ないのではないでしょうか。
今回の「FE PZ 16-35mm F4 G」 は、VlogをはじめYouTubeやSNSなど動画需要がかなり大きくなった時代に登場してきたレンズと言えます。ソニーは " Cinema Line " 展開によりハイアマとプロとの垣根が低くなってきた印象。加えてコンシューマーからプロまで1マウント戦略が効いているのかもしれません。