タムロン「競合他社との違いは小型軽量パッケージである事」「性能にも自信を持っている」
dpreviewが、CP+2019 タムロン インタビュー記事を掲載しました。タムロンの技術を結集したSPレンズシリーズ40周年記念「SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)」の話をはじめ、フルサイズ市場・APS-C市場の動向、RFマウント/Zマウントレンズの可能性、タムロンレンズの強みなどを語っています。
個人的に興味深かったポイントをざっくりピックアップしてみました。
SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)について
SPレンズシリーズ40周年を記念したモデルで、SPレンズのコンセプトは可能な限り小型軽量を目指しながらも " 焦点距離・F値・画質 " は妥協しないレンズとの事。今回CP+2019に向けて開発発表した「SP 35mm F/1.4 Di USD (Model F045)」は、競合他社のレンズよりも優れたパフォーマンスを実現しているはずであるとコメントし自信をのぞかせます。MTFは競合レンズよりも良いスコアの模様。
35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD (Model A043)について
あまり一般的なズーム域のレンズではない事を聞かれ、ポートレートやウエディング・フォトグラファーの需要が高く、特に米国やアジア圏では 35mmや85mm/135mm のレンズで撮影する事が多く、ポートレートで良く使われる35mm~150mmをカバーする便利なレンズを作りたかったとコメントしています。
24-70mmと70-200mmを1本にまとめる狙いもある模様。このズーム域は、6本の単焦点レンズをカバーすると語っています。ポートレートで一番人気がある85mmを中心に焦点距離を広げたズームレンズで、MFTが一番高い値になるように設計してあるそうです。ボケ味にも自信がある模様。
「17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)」は2本目のFEレンズですが、今後さらなるFEレンズを計画しているのでしょうか?
- はい、もちろん計画しています
- 人々は、75mmよりも長い焦点距離をカバーする望遠ズームレンズを要望している
- 我々は、調査中である
他のCP+2019 タムロン インタビュー記事でも3本目のFEレンズは、望遠ズームレンズになる事を示唆していて、今のところ " 75-200mm " や " 100-400mm " などの望遠ズームレンズが期待されています。
ニコン Zレンズ、キヤノン RFレンズを予定していますか?
- はい、我々はその領域にも目を向けている
- 両システムはオープン規格ではないので我々はリバースエンジニアリングをするにあたって多く研究開発をする必要がある
- これは、我々にとって本当に困難な作業なのである
これまでのインタビュー記事とほぼ同じ回答で、リバースエンジニアリングに時間が掛かる事を示唆しています。あとはサードパーティレンズメーカーとして、両マウントで収益を上げる事ができるぐらいの市場になるのかどうか見極めている最中ではないでしょうか。
マウント径が異なる4つの主要ミラーレスシステムがありますが、マウントごとにまったく異なる設計を施すのでしょうか?
- 各システムは、異なるフランジバックと径を採用している
- 異なるマウントで同じ光学設計を使用できるのかどうか、さらなるリサーチが必要
- 基本的にデジタル一眼レフ(DSLR)と同じアプローチになる
- 同じ光学設計でマウントごとにカスタマイズする、まったく異なっていても光学設計を統一していく方向性
- 長いフランジバックで光学設計しておけば、短いフランジバックのシステムにも対応可能、それ以外の方法では上手くいかない
シグマ山木社長もCP+2019 インタビュー記事で「すべてのマウントに使用可能なレンズを作る場合、(フランジバックが)一番長いレンズマウントに合わせる。」「そうすればフランジバックが一番短いニコン Zマウントにも使用可能になる。」と語っています。
タムロンにとって " APS-C " はどのくらい重要なのでしょうか?
- APS-Cは我々にとって依然重要である
- しかし業界全体を見た時、フルサイズ市場は拡大しており、我々の最優先事項はフルサイズとなる
- APS-C市場は、急速に縮小している
- 縮小は止まるかもしれないが、我々はAPS-Cカメラを購入する顧客に注目していて、彼らはシングル ズームキットを使う傾向があり、レンズを買い足す傾向がないのである
タムロンと競合レンズメーカーの違いは?
- 我々の目標は、小型軽量パッケージで写真を楽しんでもらう事にある
- 我々は、FEレンズ「28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)」を発表し、本当にコンパクトなレンズで、サイズ質量的にソニーカメラに非常にマッチする
- このレンズはかなり売れていて、6ヶ月のバックオーダーを抱えている
タムロンは決算発表時に「28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)」は、想定以上の需要があり月産生産台数を5倍以上に引き上げて対応している事を明らかにしています。今回のインタビュー記事では、他社が光学性能重視の大口径レンズを作る傾向が高い事を指摘していて、この手のレンズは大きく重くなるので、タムロンは「28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)」のような違うソリューションをユーザーに提供していたい考えも語っています。
この手のコンパクトレンズは、どのくらいボディ内補正(ソフト補正)に依存しているのでしょうか?
- 我々は、カメラ内補正を活用しているが、補正がなくても良い性能は実現している
- もちろんソニーカメラで一部補正する事になるが、非常に高いレベルの品質を提供する事となる
- 補正していない画像をチェックしたが、その画像は非常に良好で、カメラ内補正でさらに品質は向上する
- 我々は、そのパフォーマンスにおいて非常に自信を持っている
タムロンは、今後フルサイズミラーレス用レンズに注力していく事が伺えるインタビュー記事となっており、Zレンズ/RFレンズが登場した場合、別々に設計するのではなく同一の光学設計になりそうな感じです。