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ニコン 決算発表 映像事業 条件付きで実質黒字をアピール

ニコンが、2021年3月期 第3四半期決算 (2020年10~12月) を発表しました。会社全体としてQ3の売上が1,506億円 (前年比 28億円減) 、営業利益99億円 (前年比 59億円増)となっています。映像事業のQ3実績と見通しを見ていきましょう。

映像事業 Q3 実績 (2020年10~12月)

営業利益はQ3/Q3累計を見ても赤字ですが「構造改革費用等の一時費用を除けば実質黒字」としています。今回の決算では触れていませんが、先日レンズ2工場の閉鎖報道があったばかりで、1500億円の売上で黒字体質になる体制に向けて構造改革が進んでいる事が伺えます。

映像事業Q3
  • 売上収益 … 523億円
  • 営業利益 … ▲6億円
  • レンズ交換式カメラ … 28万台
  • 交換レンズ … 47万本
  • コンパクトデジタルカメラ … 8万台

この時期2020年でコロナの影響が一番低い時期に当たるので、各メーカーのカメラ&レンズの売上が復調した時期でもあります。ニコンはミラーレスにシフトしつつあり " 鉄板層 " と表現し、プロ・趣味向けモデルを中心にした製品造りに舵を切りましたが、順調に進んでいると掲載。

カメラは「Z 6II」と「Z 7II」、レンズは「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」や「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S」などを発売した時期で新製品群が売上に貢献している事が伺えます。ニコンにとってQ3は、ミラーレスにおいて四半期ベースで過去最高の販売台数と売上を達成したとのこと。

映像事業 通期見通し

映像事業 通期見通し
  • 売上収益 … 1450億円
  • 営業利益 … ▲400億円

Q3の売上が好調で売上収益を50億円上方修正したものの、映像事業は最終的に400億円の赤字になる見通しに。400億円の赤字という表現ではなく、前年比229億円減益という表現に。※前年は171億円赤字

  • レンズ交換式カメラ … 85万台
  • 交換レンズ … 140万本
  • コンパクトデジタルカメラ … 25万台

Q2時の見通しはコロナの影響が一番出ていた時の見通しで、今回のQ3時の見通しを見てみると、市場規模の販売台数が増えて改善基調の見通しであるにも関わらず、ニコンの販売台数は据え置きとなっているのがニコンの置かれた立場を感じます。

経営ロードマップ

経営ロードマップ
  • 映像事業再建 … 趣味・プロ層重視、構造改革で市場縮小に対応

これまでと変わらず、構造改革をしながら趣味・プロ層に向けた製品展開をしていく方向性。ニコンは新たな成長基盤を創造するために動いていますが、経済系のメディア記事などを読む限りなかなか成果が出ていないと言われており、依然 " 映像事業 " は柱の1つである事が伺える優先順位であるように感じるロードマップな印象。

映像事業の研究開発費をチェック

研究開発費
  • 2020年3月期 … 211億円 (全体の34%)
  • 2021年3月期 見通し … 170億円 (全体の27%)

すべての事業を合算した研究費はここ数年だいたい横這いですが、映像事業は 211億円 → 170億円 に下がる見通しに。しかも全体から見た研究開発費の比率も下がる模様です。1月に「カメラ市場 ニコン正念場記事」が登場しましたが、週刊東洋経済Plusの別記事では「勝負はこれからだ」と語っているだけにニコンの奮起に期待です。

CP+2021オンラインに向けて主要カメラ&レンズの発表にも期待。

販売台数

最後にカメラ&レンズの販売統計。約3年間の販売台数を四半期で分けたグラフですが、カメラ市場の縮小を痛感するグラフとなっています。やぱり去年はカメラ市場縮小とコロナの影響でかなり販売台数が減った事が確認できます。