ホーム > カメラニュース 2021 > ニコン「カメラ市場の販売台数は増加するが、当社の販売台数自体は減少する見通し」

ニコン「カメラ市場の販売台数は増加するが、当社の販売台数自体は減少する見通し」

ニコンは先日 2021年3月期決算発表 (2020年4月~2021年3月) を行いました。質疑応答(Q&A)資料が追加されたので見てみると、映像事業に関して興味深い発言をしています。

Q︓今期のレンズ交換式デジタルカメラの販売台数・単価、レンズ付帯率の傾向を教えてほしい。

A︓レンズ交換式デジタルカメラの市場全体の販売台数は増加を見込みますが、当社の販売台数自体は減少する見通しです。価格競争の激しい初級機を含めた市場全体のシェアを追わず、プロ・趣味 層向けミラーレスカメラの販売に注力しています。昨年末に発売した Z 6Ⅱ、Z 7Ⅱの販売は引き続き好調に推移しており、ミラーレスカメラとしては初のフラッグシップモデルとなる Z 9 の年内発売を目指しています。中高級機へのシフトが更に進む結果、販売台数は減少しても、平均販売単価を高めることで、売上の拡大を図ってまいります。

レンズについては、ミラーレス専用ラインアップを現在の 18本から今年度末には30本程度まで拡充予定です。一台当たりのレンズ付帯率を上げることで収益力を高めてまいります。※主な質疑応答(PDF)より

今期のレンズ交換式カメラ販売台数は、84万台を切る見通し ※台数ではなく利益率ベース

2020年下期あたらからカメラ市場が回復基調にあり、今期 (2021年4月~2022年3月) のレンズ交換式カメラ市場全体の販売台数は増加すると見ていますが、ニコン自体の販売台数は減少する見通しを立てています。※ニコンは決算発表資料で今期のレンズ交換式カメラ市場は5%拡大すると掲載

ニコンは台数ベースから利益ベースの戦略に移行し、利益が出る中高機メインの製品ラインアップの展開を始めていますが、レンズ交換式カメラ販売台数が落ち過ぎるのも気になるところ。なぜなら…

  • 2020年3月期 162万台 → 2021年3月期 84万台 ※年間販売台数

コロナの影響が大きいのは確かですが、ニコンのレンズ交換式カメラの販売台数は半減しており、今回の質疑応答で語った見通しでは、今期 (2021年4月~2022年3月) の販売台数は " 84万台 " を下回るという事に。

  • 2021年3月期 … 売上高 1,512億円 / 営業利益 ▲357億円
  • 今期通期見通し … 売上高 1,650億円 / 営業利益 … 50億円

ニコンは今期の映像事業の通期見通しも決算発表で示しており、販売台数は減少しながらも売上高は148億円増収となる1,650億円、営業利益は407億円増益となる50億円となり、赤字脱却する見通しを立てています。ニコンは1,500億円でも利益が出る構造改革中ですが、見通し通りの実績を達成すれば構造改革は成功したと言えるのではないでしょうか。でもニコンのレンズ交換式カメラの年間販売台数が、100万台を切るのは寂しいところ。無駄を省いて、一度規模を小さくし、それから積み重ねていく方向性かもしれません。

「Z 9」は、年内発売を目指している事に変更なし

決算発表に連動して「Z 9」情報の更新を期待していましたが、更新される事はありませんでした。しかし今回の質疑応答で年内発売を目指し開発中である事を明言しているので、予定通り今年中に「Z 9」が登場すると見て良いのではないでしょうか。

Zレンズラインアップ30本まで拡充期間は " 今年度末 "

ニコンは特に海外インタビュー記事でZレンズラインアップを30本まで拡充する予定である事を明言していますが、2021年12月までに30本なのか、2022年3月までに30本なのか良く分からない印象でした。しかし今回 " 今年度末 " と表現しているので。2022年3月末には30本までレンズラインアップが拡充しそうな印象。あと " 30本程度 " と余裕を持たせた表現に。

質疑応答で明らかにしませんでしが、レンズ付帯率も知りたくなります。

ニコンの今年の新製品群の発表はこれから

Zレンズロードマップ

ニコンは今年数多くの新製品を発表する予定である事を示唆 (その1その2) しており、ニコンの新製品発表はこれから。すでに「Z 9」は開発発表済みで、Zレンズロードマップは数多くのレンズを予定しており、新たな「Z DX機」の発表も期待されています。今後投入する新製品群の売上を見越した通期の売上高・営業利益 見通しになっているのではないでしょうか。

時間が出来たら取り上げたいと思っていますが、マップカメラが「フルサイズミラーレスの需要拡大は継続する」と見通しを立てているので、各カメラメーカーの2020年後半の動きに期待です。