オリンパス「我々は撤退するのではない」「顧客の忠誠心とサポートに心から感謝している」
dpreviewが、オリンパス 片岡摂哉氏 インタビュー記事を掲載しました。映像事業売却が発表され分社化し日本産業パートナーズ(JIP)に譲渡されますが、今後の映像事業と製品造りを中心としたインタビュー記事となっています。
映像事業売却によって何かすぐに影響が出る事はあるのでしょうか?
- まず最初に映像事業の売却は、イメージング・ビジネスから撤退するという事ではない
- 我々は、独自でエキサイティングな製品群を展開し続けていく
- もちろん分社化した後に経営体制や組織構造が変わる事があると思うが、改革は事業を安定させ、組織と我々の運営を強化させる事になる
- 映像事業の分社化は、我々のイメージング・ビジネスに良い影響をもたらすと考えている
- 今のところスケジュールに基いて、すべて順調に話が進めば9月に正式契約(最終契約)を結び、2021年1月に新会社が設立される事になっている
COVID-19によるパンデミックが起こる前に映像事業の売却が議論されていたのでしょうか? それとも今年の厳しい市場状況によるものなのでしょうか?
- COVID-19によるパンデミックは、イメージング・ビジネスに影響を与えたが、今回の決定とは直接関係はない
新会社設立後、カメラとレンズの生産は同じペースで同じ工場で生産されるのでしょうか?
- 新体制の話を詰めている最中で、現時点で詳細は明らかにする事はできない
- しかしご安心を
- 何が起ころうとも生産において問題が生じる事はない
- 既存モデルの生産は継続する予定である
オリンパスの映像事業部で勤続何年になるのですか?
- 1991年からになるので、29年になります
売却発表は悲しい日でしたか? それとも将来について前向きに捉えたのでしょうか?
- 我々にとって悲しい日だったとは、私は思っていない
- 分社化され映像事業部がオリンパスから切り離される事になるが、私はイメージング・ビジネスが今後さらに成長する(良い)機会だと考えている
- JIPは投資ファンドであり、長期的な経営をサポートする事によりビジネスを成長・活性化させる事が彼らのビジョンなのです
- JIPが、最適なパートナーであると考えている
- 今回の分社化は、我々の技術・製品・サービス・オリンパスブランドという遺産を維持するための最善のステップであると考えている
- 新体制のもと、顧客を満足してもらえる製品を提供し続ける事ができると自信を持っている
- 顧客にしわ寄せがくることはないと思っている
- 分社化における話し合いは " 顧客第一 " が、ベースとなっている
製品ラインアップは、よりコンパクト(厳選的)なモノとなるのでしょうか?
- 我々は、これまで以上にハイエンド市場に注力していく
- レンズ交換式カメラ ラインアップにおけるハイエンドカメラとレンズを
- 戦略的な理由から一部変更があるかもしれないが、単に製品ラインアップ数を減らす計画はない
映像事業売却は、既存のオリンパスの顧客にとって保証とサポートサービスにどのような影響を与えるのでしょうか?
- 影響はないので、ご安心を
- 今後の顧客の製品サポートは継続されるので安心して欲しい
オリンパス・ブランドでカメラが作れなくなる時がくると思いますか?
- オリンパスのブランディングの問題については、まだ検討中である
- しかし分社化した後すぐにオリンパス・ブランドをやめる予定はない
- 「OM-D」「PEN」「ZUIKO」などのカメラネームは、引き続き使用される事になる
- マイクロフォーサーズシステムの開発を継続し、その独自性を活かし注力していく
「OM-D」ラインアップは、よりハイエンドなシステムに進化するとお考えですか?
- 我々の「OM-D」ラインアップは、他のカメラメーカーが出来ない独自なメリットがあると考えている
- 小型軽量システムだけでなく、高解像レンズ群、強力な手ブレ補正機構、卓越した防塵防滴仕様など競合他社では対応できない多くの技術がある
- これらの技術がどう進化していくのか、はっきりした事は言えないが、我々はマイクロフォーサーズシステムを開発し続け、例えば自然やアウトドア写真など独自性を活かせる分野に注力していく
2019年後半にムラタ氏と話をした時に「OM-D E-M1X」がデジタル一眼レフから乗り換える写真家を惹き付けるカメラになる事を望んでいました
- 「OM-D E-M1X」は、過酷な環境で耐え得るべくプロ写真家に向けて開発された
- この製品の開発は、我々にとって非常に重要なものだったのです
- プロ写真家の要望に応え、信頼性向上のノウハウを蓄積し、他のモデルにも対応させたいと考えていた
- 「OM-D E-M1X」は、販売数的に「E-M1シリーズ」や「E-M5シリーズ」ほどのボリュームではないが、多くのプロ写真家に受け入れられている
- 現在「OM-D E-M1X」は、鳥認識AFに対応すべく開発中で、このファームウェアは今冬のリリースを予定している
- 「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」を投入する事で、我々は多くのプロ写真家がすごく満足してくれる事になると確信している
プロフェッショナル計画(戦略)において特別なレンズは、どのくらい重要なのでしょうか?
- このレンズは、野生動物やスポーツ写真家だけでなく、望遠ズームレンズを必要とするあらゆる顧客の特別な選択肢になればと思っている
- このレンズは我々のシステムの優位性を象徴し、フラッグシップと呼ぶ存在なのかもしれない
- 35mm換算 1000mmの焦点距離を手持ち撮りする事が可能で、革新的な技術が詰まったレンズである
- これは非常に意味があるレンズで我々のイメージング・ビジネスの新しい章(象徴)となり得るレンズである
オリンパスブランドのカメラが、スポーツとフォトジャーナリズムで選択肢としてフルサイズプロ(市場)と競合する事になると思いますか?
- 我々のカメラシステムは、プロ市場で受け入れられる可能性を秘めていると考えている
- 実際、「OM-D E-M1 Mark II」発売以降、多くのプロ写真家が我々のシステムを使用しています、特にスポーツと野生動物写真家で
- これらの写真家から特にフルサイズでは得る事が出来ない我々の利点のフィードバックを引き続き行っていく
厳しい市場状況下でオリンパスブランドのカメラ&レンズの勝機はどこにあると思いますか?
- 我々は、他のブランドでは出来ないユニークな製品を展開している
- 特に小型軽量システムで、これはモビリティにおいて明らかにメリットである
- このところCOVID-19の影響で市場が縮小傾向にあるが、人々が再び旅に行けるようになり、屋外に出るようになれば、我々の製品はユーザーを満足させ写真を楽しんでもらえると強く思っている
売却後リストラが行われると思いますか?
- 分社化するプロセスの一環で組織構造改革で話し合う事になると思うが、現時点で詳細を明らかにする事はできない
1年後、オリンパスは写真ブランドとして、現在よりも確固たる地位を築いていると思いますか?
- 本当にそうあって欲しいと考えている
- 1年後、より強固なポジションを築いていると思う
- 我々の製造チーム、研究開発(R&D)チーム、セールスマーケティング、すべてのチームがそうなるように尽力している
- 我々は、すべての顧客の忠誠心とサポートに心から感謝している
- 売却のニュース以来、多くの応援メッセージやコメントを受け取っていて感謝の意を表したいと思う
- 顧客に継続的に取り組んでいく事を示すためにレンズロードマップを更新した
- 150-400mm PROの開発も順調である
- 2020年に予定している新製品に変更はない
- 我々は、新製品のリリースに注力し続けるので、今後のエキサイティングな製品開発にご期待ください
- 分社化する事によって運営に変更が生じる部分があるかもしれないが、イメージングチームが顧客のために革新的な取り組みを懸命に行っていく事は変わらない
分社化されても製品開発の姿勢は変わらず、顧客第一で、マイクロフォーサーズシステムは続きよりハイエンドな製品構成となっていく事が伺えるインタビュー記事となっています。9月の正式契約に向けて話は進んでいると思いますが、オリンパスは8月5日に決算発表を控えているので、この時に何かしら進捗状況を示す可能性があるかもしれません。
今のところ「映像事業売却後 オリンパスのブランド名が残るのは一定期間」という報道があれば、「今後もカメラの軍艦部にオリンパスの名前を残す事は可能」という現場の話もあるので、9月に契約を締結し2021年1月に向けて新会社設立向けて色々決まっていくのではないでしょうか。