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シグマ 山木社長 インタビュー 今後のミラーレスレンズやフルサイズdpシリーズの可能性は?

dpreviewが、シグマ 山木社長 インタビュー記事を掲載しました。今後のミラーレス用レンズの方向性やフルサイズ版「dpシリーズ」が登場するのか様々な質問に答えたインタビュー記事となっています。

ボリュームのあるインタビュー記事なので興味深かったポイントをざっくり抜き出してみました。

冒頭は新型肺炎における生産状況とグローバルな売り上げ状況

冒頭は新型肺炎における生産状況やグローバルな売上状況をなどを語っていて、ほとんどの部品は自社もしくは国内サプライヤーによるもで、一部の電子部品に関しては中国から供給しているとのこと。現時点で深刻な問題は起きていない事が伺えます。

販売面も語っていて、中国で売り上げが半分になる最悪のシナリオがあったものの中国はオンラインビジネスが巨大でまだ大きな問題はなく中国事業は非常に安定していると語っています。しかし米国と欧州で新型肺炎が猛威を振い始めているので米国・欧州市場状況が最大の懸念とのこと。「欧州と米国でこのような危機に陥る事は想像もできなかった」と語っています。

日本市場は欧州と米国に比べて危機的な状況ではないと語っていますが、インタビュー時の状況であって国内も日々一刻状況が変わりつつあります。あと生産・販売・構造などについても詳細を語っていますが、状況が変わりつつあるので割愛します。

(専用設計の)ミラーレスレンズの開発を優先する発言があったが?

  • 単にミラーレスレンズ需要が高くなったから
  • ミラーレスカメラ市場は、デジタル一眼レフ(DSLR)と比べると安定している
  • 市場統計を見るとデジタル一眼レフの売上減少が顕著で、毎月急激に下がり続けている
  • デジタル一眼レフ用レンズの売上が落ちてきているので、ミラーレス用レンズの開発に注力する必要がある

(専用設計の)フルサイズ用 DNレンズを投入し市場はどのような反応を示しているのでしょうか?

  • 特に「24-70mm F2.8 DG DN | Art」は非常に好評を得ている
  • その需要に応えようと生産を強化してきたが、まだ需要に対応できない状況が続いている
  • 現在厳しい状況にある中、依然非常に高い需要がある

シグマは2019年12月に「24-70mm F2.8 DG DN | Art」の需要が供給を上回った事を告知しました。現在新型肺炎の影響で経済的にも大きな損害が見え隠れしている状態ですが、依然高い需要がある事が伺えます。

DNレンズの収益においてLマウントが占める割合は?

  • 何とも言えない
  • もちろん出荷しているほとんどのDNレンズは、ソニー用である
  • Lマウントシステムにおいて顧客に満足してもらうラインアップを構築しておらず、(この質問に答えるには)時期尚早である
  • 顧客にとってシステムを変更する事は、大きな決断である
  • 多くの潜在的な顧客がいるが、彼らはLマウントがどのように成長(発展)していくのか成り行きを見守っていると思う
  • 完全なLマウントシステム構築にあと1~2年は必要であると考えている
  • シグマだけでなく、ライカとパナソニックを含めて

先日山木社長は、今後の新製品のほとんどは、ミラーレスカメラ用専用設計 DNレンズになる事を明らかにしていて、今後もEマウント用を中心に動いていく感じですが、Lマウントも着実にシステムとして構築していく予定である模様。

去年 最初のLマウント フルサイズミラーレス機「SIGMA fp」を投入しましたが、市場からどのような反応があったのでしょうか

  • 初動の売上はかなりのものだった
  • アーリーアダプター(初期購入層)は大きな関心を持ち、すぐこのカメラを購入するに至った
  • 顧客からたくさんのEメールが届いており、私も目を通しているが、顧客は「fp」に満足している ※ happy and satisfied と言う表現を使っていて、撮影もしくは所有する喜び的な満足感、そして製品自体の満足感ある事が伺えます
  • あとFacebookやTwitter上でもフィードバックを見守っている
  • ぶっちゃけ発売してから売上はかなり減少しており、特に米国と欧州で
  • 日本で売上は好調であるが、全体的な売上は想定を下回っている

「fp」は大手のカメラメーカーでは企画が通り難いコンセプトで、発表時はメディアも大きく取り上げ、ネットでもかなり話題になった機種になります。日本では人気を維持しているものの、世界市場を見た場合、売上は想定を下回っている模様。dpreviewは、山木社長の「未来のカメラとなるモデルになると考えている」コメントも紹介。

なぜ「fp」の全体的な売上は想定を下回っているとお考えですか?

  • 理由は複数あると考えている
  • 1つ目 … システムの変更は顧客にとって大きな投資になる
  • 2つ目 … 日本ではタッチ&トライ イベントを開催し「fp」が良いカメラである事を顧客が納得してもらう事に成功した

この中でLマウントを様子見している顧客が存在し、「fp」に見合う " コンパクトなレンズ " を何本か開発中である事を明かしています。「45mm F2.8 DG DN」の評価は高く、シリーズ化するのではないでしょうか。あと新型肺炎の影響で、国内外の主要イベントが中止になった事を挙げ、潜在的な顧客が「fp」に触れる機会を失った事もコメント。

CP+やNABなどの主要イベントが中止されると、シグマをはじめとするメーカーはどのような影響を受けるのでしょうか?

  • 現時点でこのようなイベントの有用性を評価する事は難しい
  • CP+を見た場合、基本的にコンシューマーイベントであり、そこには新製品に強い興味を抱いている多くの人がいて、それを弾みに販売促進につなげる事ができる ※意訳しています
  • なのでこのような機会を失う事は、はっきり言って良い事でない

写真・映像系イベントに向けて多くのメーカーは新製品発表を行い、会場でユーザーは実際に新製品と既存の製品群をタッチ&トライそして実際にスタッフに色々な話を聞いたり相談できるので楽しみにしているユーザーさんは多いのではないでしょうか。加えて国内外の映像系メディアも大きく取り上げるので宣伝にもなります。

先ほどの小型レンズ群開発の話をもう少し聞かせてください

  • 今後の最高品質の製品をお届けする事に努める
  • 製品ラインアップ的に2つの主要なラインがあり、1つは " Artシリーズ " で本格的に取り組んでいる写真家に向けたもの
  • もう1つのラインは " 高品質プレミアムレンズ " であるが、はるかにコンパクトなレンズとなる
  • 「45mm F2.8 DG DN」ようにレンズボディは金属製で、高品質な絞りリングとフォーカスリングを採用した非常にスタイリッシュなモノとなる
  • ストリートフォトグラファーや高品質で非常に " スタイリッシュ " な製品をお探しの方に向けてこのようなレンジを広げていく

F値は少し抑え目なからもArtレンズの光学性能を維持したレンズラインアップが期待できるという事でしょうか?

  • はい、それが我々の目標である
  • おそらくそう遠くない未来にこのような製品が登場する事になる

以前に山木社長は、45mmF2.8の流れを汲むコンパクト&金属外装のレンズの拡充を示唆していたので、それが現実になりそうは感じです。現時点でこのレンズが似合うカメラは「fp」しかないので、個人的にパナソニックからミドルクラスのLマウントフルサイズミラーレス機の登場に期待したところ。

「fp」にメカニカルシャッターやEVFを搭載したモデルの可能性は?

  • 「fp」にメカニカルシャッターを搭載したら、ここまでコンパクトにはならない
  • 小型化するにあたってメカニカルシャッターを搭載しなかった
  • 我々は「未来のカメラ」としてこのようなプラットフォームの「fp」を創り出したのである
  • センサーの読み出し速度が向上し、将来的に多くのカメラがメカニカルシャッターを搭載しなくなると考えている
  • 今後の製品群に関して何も決定している事はないが、おそらくこのコンセプトは維持していく

" 製品群 " は、Lマウント全体で語っているのか、「fp」に限定して語っているのか気になるところ。「fp」製品ページのurlの末尾は " cameras/fp-series/ " となっているので、派生機というかシリーズ化する可能性があるかもしれません。

Fovenセンサー搭載フルサイズミラーレス機計画を延期した理由は?

  • センサーの開発が大幅に遅れている
  • まだ開発中であり、技術的に打開する問題が複数ある
  • すべて上手く行けば、2021年にリリースできるはず
  • しかし技術的な問題に手こずると、さらにリリースが遅れる可能性がある
  • カメラの開発を中止していないが、センサーが無ければ迅速に対応する事はできない

2020年2月に開発の仕切り直しを発表したばかりなので、新しい情報は掲載されていません。しかしある程度目処が立った時点でイベントやインタビューで何かしら示唆するのではないでしょうか。

フルサイズFoveonセンサーを搭載したレンズ固定式 dp Merrillカメラの可能性は?

  • 現時点でそのような計画はない
  • 我々は市場の動向を注視しているが、このようなカメラを本当にコンパクトに仕上げるのは難しい
  • もちろん市場にソニー「RX1R II」のような非常に小型カメラが存在するが、レンズをコンパクトにするのが難しい
  • 本当にコンパクトなレンズが必要な場合、焦点距離とF値の選択肢は限定的になる
  • レンズ固定式の APS-C / マイクロフォーサーズ カメラと比べて、技術的に困難を極める

レンズ交換式のLマウント Foveon フルサイズ機が登場した後、Foveonフルサイズサイズセンサーを搭載した " dpシリーズ " の登場を期待しているユーザーさんは多いのではないでしょうか。レンズメーカーだけに光学性能に妥協は出来ない姿勢が伺えます。

キヤノン RFマウント、ニコン Zマウント、富士フイルム Xマウント レンズ開発の可能性は?

  • レンズメーカーとして出来るだけ多くのマウントをサポートする事が使命であると考えている
  • エンジニアリングリソースは無限ではなく、(どのマウントに注力するか)選択する必要がある
  • 我々は、市場を注視している

この辺は以前から変わらないコメントとなっています。今のところEマウントとLマウントと注力といった感じでしょうか。タムロンとトキナーが本格的にEマウントレンズを展開し始めているいるので、今後シグマから様々なレンズの登場に期待です。

シネレンズ FF Classic Prime Line の反響は?

  • このユニークな描写を求めている特にフィルムメーカーからの反響は非常に高い
  • これらのレンズ群は、大きなフレアとゴーストを表現するので使い難いレンズであるが、照明をきっちりセッティングする事により、とても素敵で滑らかなレトロな表現が可能になる
  • ハリウッドのハイエンドなフィルムメーカーは、これらのレンズを歓迎している

DC DNレンズラインアップを拡充する予定は?

  • 実際のところ、これらのレンズの需要は増えつつある
  • 本当に驚くべきことで、現時点でユニット面でDC DNレンズはトップセラーとなっている
  • 一般的にAPS-Cカメラ市場は減少してきているで驚きである
  • しかしDC DNレンズの売り上げは伸び続けている
  • 売上のほとんどはソニー用とマイクロフォーサーズ用であるが、ピークシーズン時に需要が供給を上回る事がある

山木社長は以前 " DC DNレンズ " が思ったよりも売れてない事をTwitterで語っていた記憶があるので、状況が変わったきた事が伺えます。フルサイズ対応の " DG DNレンズ " を優先して開発が進むと思いますが、1年の1本ぐらいのペースで " DC DNレンズ " が登場してくれたら御の字ではないでしょうか。

まだマイクロフォーサーズ市場は、有益な市場であるとお考えですか?

  • はい、マイクロフォーサーズはフィルムメーカーに受け入れられており、「16mm F1.4 DC DN」はマイクロフォーサーズ・ユーザーの中で非常に人気を博している
  • コンパクトシステムが必要なユーザーは、まだマイクロフォーサーズを必要としている ※loveをneed的な意味合いと解釈しました

" DC DNレンズ " は今のところAPS-C基準の焦点距離で開発しているので、個人的にマイクロフォーサーズ基準の焦点距離の " DC DNレンズ " が欲しいかも。でもおそらくマイクロフォーサーズ基準の焦点距離のレンズは出ないと思います。

編集後記

キヤノン RFマウントとニコン Zマウントに対してしばらく待つ必要がある事を感じた事を掲載。開発リソースに限りがある事に加えてオープン規格ではないためリバースエンジニアリングする必要がある事も指摘しています。あとそれほど待たずして投入される " 小型プレミアムレンズ " の登場に期待するコメントも。