DPReviewによるニコン「ZR」のフルレビューが公開されました。製品ページに新設されたカテゴリー「Z CINEMA」を冠する動画志向のZマウントカメラです。REDのDNA継承や32bit float録音の実装など、ニコンの「本気」に対し、DPReviewはどのような評価を下したのか。詳細を見てみましょう。

総評 金賞 全体スコア90%
「ZR」の全体スコアは90%で金賞を獲得。「ZR」は、我々がこれまで見てきた中でも最高級のVlogカメラの1つであり、映像制作のクオリティをさらに引き上げるための「伸びしろ」が十分に備わっていると選出理由を明らかに。
長所
- フォーマットを問わず高画質(ただし、若干の注意点あり)
- 大きく明るいモニターで、撮影中のチェックが快適
- 32bit float録音に対応し、音割れの心配から解放される
- 迷わず扱える動画専用の操作系とメニュー
- オートフォーカスは総じて優秀で、操作もしやすい
- 記録オプションが豊富で、ローリングシャッター歪みも良好に抑えられている
- ボディ内手ブレ補正(IBIS)が強力で、縦位置撮影にも強い
短所
- センサー性能がLogやRAW現像を前提としたワークフローには最適ではない
- H.265記録においてノイズリダクションによって画質のピーク性能が損なわれている
- H.265映像記録(最初の1秒間)のビットレートが極端に低い
- あと1、2個、物理ボタンがあればなお良かった
- バリアングル液晶がオーディオ端子と干渉してしまう
- 一部のビデオツール(ゼブラ、ピーキング等)の完成度に改善の余地あり
- microHDMIとmicroSDの採用は、お世辞にも良いとは言えない
- 「オープンゲート(全画素読み出し)」での記録オプションがあれば嬉しかった
向いている人
- VloggerやYouTuber
- 自ら撮影・制作を完結させる映像クリエイター
向かない人
- スチル(静止画)の画質にもこだわりたい人
- (本格的な)プロの制作現場
【考察】デジカメライフ的視点 : Z CINEMAの幕開け — 「ZR」が提示する新たな一歩
今回の「ZR」登場で最も注目すべきは、単なる新製品の発売にとどまらず、製品ページに「Z CINEMA」という独立したカテゴリーが新設された点にあります。これは、ニコンがREDを完全子会社化し、映像制作市場に対して、これまで以上に本腰を入れるという明確な「意思表示」と言えるでしょう。
REDのDNAが宿る「真のハイブリッド・ビデオ機」
「ZR」は、同社がRED Digital Cinemaを傘下に収めてから(※あるいは技術提携を深めてから)初となる、民生機としての本格的な動画志向カメラです。
RAWワークフローの融合
RED譲りの高度なRAW圧縮技術やカラーサイエンスが、Zシリーズの機動力と融合。本格的にREDのDNAを継承した最初の機種と言えます。今後もニコンとREDの技術連携の深化が進むことでしょう
32bit floatの衝撃
32bit float録音の統合は、撮影現場の「失敗できないプレッシャー」を技術で解決する、現場主義な思想が感じられます。動画は、映像だけでなく音も重要です。
※ 32bit float : 信号レベルを気にすることなくセットアップや録音が可能で、ノイズやクリッピングで音声を台無しにすることもないデジタルオーディオにおける次世代の記録方式
「Z CINEMA」カテゴリーが意味する未来
カテゴリーの新設は、「ZR」が一発屋で終わらないことを示唆しています。
シネマレンズ・ラインナップの拡充
ここ最近のニコンの動向を見ると、Zシネマレンズが登場しそうな気配があり、よりプロユースに特化した光学系の登場が現実味を帯びてきました。そうなれば、それ相応のZカメラがさらに登場する可能性があります。
上位・下位モデルの展開
「ZR」を基準点として、さらに本格的な上位機種、さらに小型化したVlog特化機など、ピラミッド型のラインナップ構築への期待が膨らみます。
総評:個人からプロへ、橋渡しをする一台
ニコンにとって「ZR」は、自社ラインアップにおける映像制作の入り口としての役割を担っています。「スチルカメラの延長線上の動画機能」から脱却し、映像制作のプロフェッショナル・ツールとして産声を上げた「Z CINEMA」。ZRはその第一歩であり、今後のレンズロードマップやファームウェアアップデートを含め、この新シリーズから目が離せません。


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