OM SYSTEM「新型PENは開発中、高級コンデジも注視」インタビューで見えたマイクロフォーサーズ次の一手

DPReviewが、CP+2026 OM SYSTEM インタビュー記事を掲載しました。インタビューに対応したのは副社長 富樫氏とマーケティングコミュニケーションディレクター 田中氏です。

CP+2026 OM SYSTEM インタビュー

「新型PENは開発中」「高級コンデジ市場を注視」「OM-3に最適な小型レンズを拡充」――。今年のCP+で、OM SYSTEMから我々ユーザーが最も欲していた言葉が飛び出しました。昨年までの慎重な姿勢から、なぜこれほどまで前向きなスタンスへと変化したのか?dpreviewによる冨岡氏への独占インタビューをベースに、機械翻訳では零れ落ちてしまうニュアンスや、デジカメライフ独自の視点による【考察】を加えて構成しました。OM SYSTEMが描く未来の設計図を、一緒に読み解いていきましょう。

コンパクトカメラに対する見解の変化

CP+2025では、OM SYSTEMは「高級コンデジ市場は一時的な流行であり、開発コストに見合わない」と否定的な立場でした。

しかし現在、富樫氏は「市場を注視している」と姿勢を一転させています。背景には、レンズ交換式カメラの価格高騰により、ユーザーが代替案としてプレミアムなコンデジを求める傾向がここ2〜3年で明確になったことがあります。直ちに新製品が出るわけではありませんが、開発の可能性に含みを持たせた形です。

※seems to have changed his mind : 「考え(心)をを変えたようです」と直訳されがちですが、企業の公式な見解の変化を指すため、文脈から「姿勢 / スタンス」という言葉を選択しました。

【考察】デジカメライフ的視点

「一時的なトレンド」という昨年の突き放した物言いから一転、「注視している」への変化は、昨今の富士フイルム「X100シリーズ」やリコー「GRシリーズ」の成功を無視できなくなった本音の表れでしょう。特に「ILC(レンズ交換式)が高すぎてコンデジへ」という分析は鋭く、OM SYSTEMがマイクロフォーサーズの強みを活かした「小型・高品位・値頃感」のあるプレミアムコンデジを投入すれば、現状のキヤノン「PowerShot G7X」系やソニー「ZV-1」系が占有する市場に風穴を開ける可能性があります。

新型「PEN」プロジェクトが始動

新型PENのコンセプト策定は予定通りに進んでいます。すでにデザインコンセプトの作成にも着手しました。つまり、何らかの形でPENのプロジェクトが始動しているということです。進捗は順調ですよ。

昨年は「コンセプトすら未定」とされていた新型PENですが、現在は製品コンセプトの策定が完了し、デザイン段階に入っていることが明らかになりました。プロジェクトは順調に進行していることを明らかにしました。

新しいPENは、将来的に多くの、本当に多くの若い世代を満足させるものになるでしょう。PENシリーズは私たちにとって非常に重要です。

メディアの皆さんはスペシャリストですから、カメラ業界や製造の歴史について深い知見をお持ちでしょう。しかし、今の若い世代は「PEN」がどのような存在なのかを知らないかもしれないのですから。

※satisfy many, many younger generations : 直訳すると「非常に多くの」となりますが、重ね言葉による強調を「本当に多くの」と補足的に訳しています。

冨岡氏は、この新型機が「多くの若い世代を満足させるものになる」と自信を見せています。2021年の「E-P7」以来、新機種が途絶えていることから、改めて「PENとは何か」というブランドの歴史や価値を市場に伝えていく必要性も強調されました。

【考察】デジカメライフ的視点

ついに「コンセプト策定済み」という具体的な進展が語られました。要約には入れませんでしたが、注目すべきは「若い世代への再教育」という言葉です。これは単なる「E-P7」後継機ではなく、デザインはクラシックながら、中身はVlogやSNS投稿に最適化した「令和のPEN」への脱皮を暗示しているのではないでしょうか。かつての「カメラ女子」ブームを牽引したブランドが、現代のクリエイター層にどう刺さるのか。EVF内蔵の「PEN-F」復活を望む古参ファンの期待と、新世代のニーズをどうバランスさせるかが鍵になりそうです。

AIとコンピュテーショナル・フォトグラフィー

OM SYSTEMは、ハードウェアの刷新に加え、AIを活用した被写体認識AFやノイズリダクションの強化を技術戦略の柱に据えています。

生成AIについては、「フェイク画像」への懸念を示しつつも、カメラボディへの搭載を検討対象(オプション)の1つとして排除していません。開発チームは「リアルな撮影体験」を守る責任を強調しながらも、最新技術を拒むのではなく、最終的な判断をユーザーに委ねる形で共存していく姿勢を示しています。

【考察】デジカメライフ的視点

OM SYSTEMはライブコンポジットやハイレゾショットなど、元々コンピュテーショナル技術では先行していましたが、ついに「生成AI」の文字が公式に躍り出たのは衝撃的です。マイクロフォーサーズの宿命である「高感度耐性」や「ボケ量」の限界をAIで突破する姿勢は合理的ですが、「本物の写真か?」という問いを同時に立てるあたりに、光学メーカーとしての矜持を感じます。「撮って出し」の信頼性を担保しつつ、どこまで「AIによる超解像・ボケ生成」を許容するか、業界の試金石となるでしょう。

小型レンズの拡充と安定した財務基盤

OM SYSTEMは、レンズ開発の停滞を否定し、今後は超望遠だけでなく「小型の広角レンズや単焦点レンズ」の拡充に注力する方針を示しました。特に「OM-3」のサイズ感に最適化した新レンズの必要性を認めています。

他社がボディの小型化に留まる中、レンズを含めたシステム全体のコンパクトさで差別化を図る考えです。これらを支える財務状況も、継続的な営業利益により以前より強固になっており、人材や新技術へ投資できる安定した体制にあることを強調しました。

※ generating operating profit continuously : 直訳すると「継続的に営業利益を生み出している」になりますが、「計上している」や「出している」というビジネス的なニュアンスを優先しました。

【考察】デジカメライフ的な視点

小型レンズの必要性に言及した点は、既存ユーザーが最も喝采を送る部分でしょう。近年のPROレンズの巨大化に対し、「ボディは小さいのにレンズが重い」という矛盾に自ら切り込んだ形です。財務の安定を強調したのは、分社化後の不安を払拭し、長期的なレンズ開発(特にパンケーキレンズや小型広角単焦点)にリソースを割く準備ができたという宣言とも受け取れます。システム全体の「ダウンサイジング」への回帰に期待が高まります。

OMデジタル赤字
  • 2024 … 売上高 366億円 / 営業利益 ▲12億円
  • 2023 … 売上高 292億円 / 営業利益 ▲2.1億円
  • 2022 … 売上高 282億円 / 営業利益 ▲6.4億円
  • 2021 … 売上高 219億円 / 営業利益 ▲18億円

ちなみに「四季報 業界地図」によると、OMデジタルは2021~2024年まで赤字続き。今回のインタビューにおける言葉の強さを見る限り、2025年は改善しているのでしょうか。今年はまだ始まったばかり。OMデジタルの動向に注目ですね。

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