前回、タムロン「12-20mm F2.8」Eマウント用をソニー「FE 12-24mm F2.8 GM」と比較しましたが、今回は「12-20mm F2.8」Zマウント用とニコン「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S」の基本スペックを比較します。

基本スペック比較表
| 項目 | タムロン 12-20mm F2.8 | ニコン Z 14-24mm f/2.8 S |
| 焦点距離 | 12-20mm | 14-24mm |
| 画角 | 121°58′ – 94°30′ | 114° – 84° |
| 開放F値 | F2.8(通し) | f/2.8(通し) |
| レンズ構成 | 12群17枚 (XLD1, LD3, XGM1, GM3) | 11群16枚 (ED4, 非球面3) |
| コーティング | BBAR-G2 コーティング | ナノクリスタルコート / アルネオコート |
| 絞り羽根枚数 | 12枚(円形絞り) | 9枚(円形絞り) |
| 最短撮影距離 | 18cm (ワイド) / 28cm (テレ) | 28cm(全域) |
| 最大撮影倍率 | 1:5.8 (約0.17倍) (ワイド) 1:9.1 (約0.11倍) (テレ) | 1:7.7 (0.13倍) |
| AF駆動 | VXD (リニアモーター) | STM (ステッピングモーター) |
| フィルター | リアフィルターホルダーのみ | 前枠112mmネジ込み可(付属HB-97フード使用時) +リアゼラチン枠 |
| フード | 固定式花型フード | バヨネット式(HB-96 / HB-97同梱) |
| 最大径×全長 | φ90mm × 121.3mm | φ88.5mm × 124.5mm |
| 質量 | 約585g | 約650g |
タムロン「12-20mm F2.8 (Model A084)」は、ソニーEマウント用とニコンZマウント用が用意されており、今回はZマウント用の数値を基準に比較しています。Zマウント・ユーザーにとって新機軸となるタムロンのF2.8通し超広角ズームレンズは、選択肢の1つになるのではないでしょうか。
レンズ構成

- タムロン 12-20mm F2.8 … 12群17枚
- ニコン Z 14-24mm f/2.8 S … 11群16枚
前玉設計の違い
ニコン「Z 14-24mm f/2.8 S」は大口径の両面非球面レンズを配置することで前玉の張り出しを軽減しています。一方タムロン「12-20mm F2.8」は、出目金気味になっても圧倒的な12mmの超画角を実現するためXGM(大口径ガラスモールド両面非球面)レンズを採用しています。
※XGMレンズ : 大口径と高い解像性能を両立し、ディストーションや周辺の解像感を向上するのに大きな効果を発揮し、コンパクト化にも寄与しています。
特殊エレメント(硝材)の配置とサジタルコマフレア対策
両レンズは、星景・夜景撮影で問題となりやすい「サジタルコマフレア(点光源が鳥が羽を広げたような形や彗星状に歪む現象)」の徹底抑制を主眼に置いた光学設計が施されています。
| 項目 | タムロン 12-20mm F2.8 | ニコン Z 14-24mm f/2.8 S |
| 非球面レンズ | GM(ガラスモールド非球面) / XGM 計4枚 | 非球面レンズ 3枚(最前面は両面非球面) |
| 低分散レンズ | LD(異常低分散)3枚 / XLD(超異常低分散)1枚 | ED(特殊低分散)レンズ 4枚 |
- タムロン
XLD1枚+LD3枚という豊富な低分散ガラスとXGMを含む非球面レンズ4枚を多重に配置し、広角端12mmで発生しがちな倍率色収差や周辺の歪曲・流れを強力に抑え込んでいます。 - ニコン
EDレンズ4枚を効果的に配し、14-24mmという広いズームレンジ全域で画面中央から最周辺部まで「点が点として写る」高解像・点像再現性を引き出しています。
超広角ズームとしてのワイド端とテレ端
タムロンの超広角ズームのワイド端は12mmスタートとなっており、圧倒的な超広角な画角を求めている方にとって大きな魅力です。超広角域は、焦点距離が1mm違うだけで世界観が変わり、構図と表現力に劇的な違いをもたらします。
一方ニコンの超広角ズームは14mmスタートですが、テレ端は24mmまでカバーしているのが強みです。スナップから風景・ポートレートまで、この1本で幅広く対応できる抜群の汎用性を誇ります。
ちなみにタムロン「12-20mm F2.8」の製品ページを見てみると、12mmでしか表現できない圧倒的な世界をアピールしており、主に室内・建築撮影や星景写真用途を提案しています。
フィルターワーク
超広角レンズ運用において、フィルターの装着方法は気になるところです。タムロン「12-20mm F2.8」は、マウント側にシートタイプのフィルターを装着できる「リアフィルターホルダー」を搭載し対応しています。
一方ニコン「Z 14-24mm f/2.8 S」は、大口径の両面非球面レンズを前玉に配置する事で、前玉の張り出しを軽減。マウント側にシートタイプを装着できるフィルター枠だけでなく、バヨネットフード HB-97を介することでレンズ先端部に装着可能な112mmネジ込み式フィルター「ニュートラルカラーNC 112mm」を用意しており、フィルターワークの汎用性においてニコンに分があります。
最短撮影距離
ニコン「Z 14-24mm f/2.8 S」の最短撮影距離は全域で28cmを実現。タムロン「12-20mm F2.8」 はワイド端で18cm、テレ端28cmを実現し、ワイド端に特化仕様になっています。この辺は好みや求めるところで評価は変わってくると思いますが、個人的にワイド~テレ端まで一定した最短距離を実現したズームレンズの方が感覚的に使いやすく感じます。あくまでも個人的に。
絞り羽根
タムロン「12-20mm F2.8」の絞り羽根は12枚となっており、超広角ズームレンズとしてのボケ味(玉ボケ)の滑らかさ、絞り込んだ時の光芒(光条)にこだわりを感じる仕様となっています。
強い点光源(夜景の街灯や太陽など)を絞り込んで(F8~F16など)撮影した時に光芒(光条)は、偶数枚と奇数枚の絞り羽根は光条の本数が変わってきます。
- タムロン 12-20mm F2.8 12枚 … 12本
- ニコン Z 14-24mm f/2.8 S 9枚 … 18本
偶数枚の絞り羽根は、対角線上にある絞り羽根の角から発生する光条が真反対の光条とぴったり重なるため、本数は枚数と同じになります。奇数枚の絞り羽根は、光芒の本数が「枚数の2倍」になり、非常に華やかで密集した光芒になります。
サイズと質量
両レンズはフルサイズ対応 F2.8通し 超広角ズームレンズとして小型軽量を謳っており、高い機動力を備えています。ちなみに重量差は約65g、タムロンの方が軽量です。
公式オンラインストア価格(税込)
- タムロン 12-20mm F2.8 … 352,000円
- ニコン Z 14-24mm f/2.8 S … 348,700円
2026年8月9日時点の公式オンラインストア販売価格は、タムロンレンズの方がわずかに高額です。タムロンのZマウント用レンズは、ソニーEマウント用よりも高額な価格設定なのです。ライセンス料(ロイヤリティ)や生産ボリュームの差なのでしょうか。サードパーティ製だからといって、純正より安価なレンズはないのです。
ちなみにEマウント用「12-20mm F2.8」の公式オンラインストア価格は、332,200円(税込)となっています。


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