前回タムロン「90mm F/2.8 Di III MACRO VXD」とソニー「FE 100mm F2.8 Macro GM OSS」の基本スペックを比較しました。この流れを受けて今回はニコン「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」とZマウント版 ” タムキュー ” の比較です。

基本スペック表 ※Zマウント用
| 項目 | NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S | 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD |
| 最大撮影倍率 | 1.0倍(等倍) | 1.0倍(等倍) |
| 最小絞り | F32(無限遠時) | F16 |
| 最短撮影距離 | 0.29m | 0.23m |
| レンズ構成 | 11群16枚 | 12群15枚 |
| 特殊レンズ | ED 3枚、非球面 1枚 | LD 4枚 |
| コーティング | ナノクリスタル / アルネオ / フッ素 | BBAR-G2 / フッ素 |
| 全長 | 140.0mm | 128.5mm |
| 最大径 | φ85.0mm | φ79.2mm |
| 質量 | 630g | 640g |
| フィルター径 | 62mm | 67mm |
| 手ブレ補正 | あり(VR:4.5段) | なし |
| 絞り羽根枚数 | 9枚(円形) | 12枚(円形) |
| AF駆動 | マルチフォーカス(STM) | VXD(リニアモーター) |
両レンズの特徴分析
画作りと光学性能
ニコン
圧倒的な解像力とヌケの良さが特徴です。ナノクリスタルコートとアルネオコートの併用により、逆光時でもゴースト・フレアを極限まで抑制。ボケ味もS-Line基準で美しく整えられていますが、どちらかといえば ” 精密な記録 ” に長けた、極めてクリアな描写です。
タムロン
「ボケのタムロン」を象徴する12枚の絞り羽根が最大の武器です。絞り込んでも玉ボケの形が崩れにくく、あえて非球面レンズを使わないことで、玉ねぎボケや輪郭のザワつきを抑えた ” 柔らかい描写 ” を追求しています。
取り回しと操作性
ニコン
レンズ鏡筒にOLED(有機EL)情報パネルを搭載しており、撮影距離や絞り値を瞬時に確認できるのが便利です。また、レンズ内手ブレ補正(VR)を搭載しているため、IBISとの協調補正で微細なブレが致命傷になるマクロ撮影において非常に高い安定感を誇ります。
タムロン
Zマウント版はEマウント版よりわずかに長く重くなっていますが、それでもニコンよりコンパクトです。最短撮影距離が0.23mと短く、被写体にグッと寄れる点も強みの1つ。また、独自ソフトウェア ” TAMRON Lens Utility ” により、フォーカスセットボタンのカスタマイズが容易です。
MTFチャート

実は違うメーカーのMTFチャートの比較は、基本的に意味がないと言われています。しかし比べる事である程度両レンズの個性が見えてくるのではないでしょうか。
ニコン(105mm Z)のMTFは、周辺部まで30本/mmの線が非常に高い位置で維持されており、絞り開放から画面の隅々まで「カミソリ」のような鋭い解像を見せます。
それに対するタムロンは、中心部はニコンに匹敵する高さですが、周辺部に向かってわずかに曲線が緩やかになります。これは解像力を犠牲にしているのではなく、周辺のボケ味を自然に繋げるための意図的な設計傾向と読み取れます。
両レンズの主な違い
| 比較項目 | NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S | 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD (Z) |
| 最大の優位性 | 純正S-Lineの解像力と強力なVR | 12枚羽根が生む極上の円形ボケ |
| 手ブレ補正 | レンズ内VR搭載(4.5段) | なし(ボディ内補正に依存) |
| 最短撮影距離 | 29cm | 23cm(より被写体に迫れる) |
| ボケの質感 | 収差を抑えたクリアで現代的なボケ | 12枚羽根+非球面レスによる柔らかいボケ |
| 操作系装備 | OLED情報パネル / L-Fnボタン | フォーカスセットボタン / USB-C連携 |
| 機動力(全長) | 140.0mm | 128.5mm(約11.5mm短い) |
| フィルター径 | 62mm | 67mm(タムロン他製品と共通) |
| AF性能 | STM (ステッピングモーター) | VXD(高速・静粛なリニアモーター) |
公式オンラインストア販売価格(税込)
- NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S … 143,000円
- 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD … 114,400円
両レンズは絶対的な価格差はなく、おそらく量販店によってもう少し安価で購入できるのではないでしょうか。そのためレンズの画作り、光学性能、取り回し、最後はブランド力が決め手になるかもしれません。
実は「90mm F/2.8」Zマウント用は、Eマウント用より6,600円高額となっています。ちなみにEマウント用は107,800円。
購入検討ポイント
完璧な信頼性を求めるならニコン Z 105mm MC
Zマウントユーザーであれば、純正S-Lineの安心感は格別です。特に、レンズ内手ブレ補正(VR)の有無は、三脚を使えないフィールド撮影において決定的な差となります。例えば風景の中に咲く花や、動く昆虫を等倍付近で狙うなら、純正の安定したAFと補正が強い味方になります。
「唯一無二の表現」を求めるなら、タムロン 90mm VXD
12枚羽根が生み出す極上のボケ味と、タムロンらしい温かみのある発色は、ポートレートやアート寄りのマクロ撮影において、ニコンには出せない ” 味 ” を生み出します。また、少しでも価格を抑え、最短撮影距離の短さを活かしたダイナミックな接写を楽しみたい方に最適です。
ニコン : NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
タムロン : 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD


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