タムロン「12-20mm F2.8」vs ソニー「FE 12-24mm F2.8 GM」基本スペック比較

タムロンが、新機軸となるフルサイズ対応のF2.8通し超広角ズームレンズ「12-20mm F2.8 (Model A084)」を発表しました。今回は、強力な競合・ベンチマークとなるソニー最高峰の超広角ズーム「FE 12-24mm F2.8 GM | SEL1224GM」と基本スペックを徹底比較します。

基本スペック比較表

項目タムロン 12-20mm F2.8ソニー FE 12-24mm F2.8 GM
焦点距離12-20mm12-24mm
F値 (開放 – 最小)F2.8 – F16F2.8 – F22
レンズ構成12群17枚14群17枚
絞り羽根数12枚 (円形絞り)9枚 (円形絞り)
最短撮影距離18cm (WIDE) / 28cm (TELE)28cm (ズーム全域)
最大撮影倍率1:5.8 (約0.17倍) (WIDE)
1:9.1 (約0.11倍) (TELE)
0.14倍
フィルター径前面ねじ込み不可
(リアフィルターホルダー搭載)
前面ねじ込み不可
(リアフィルターホルダー搭載)
最大径 × 長さΦ90.0 × 119.3mmΦ97.6 × 137.0mm
質量 (重さ)570g847g
AF駆動VXD (リニアモーター)XDリニアモーター (4基搭載)
防塵防滴簡易防滴構造・防汚コート防塵防滴に配慮した設計・フッ素コーティング
公式オンラインストア価格
(税込・2026年7月現在)
332,200円436,700円

タムロン「12-20mm F2.8 (Model A084)」は、ソニーEマウント用とニコンZマウント用が用意されており、今回はEマウント用の数値を基準に比較しています。

A084 vs SEL1224GM 比較

12-20mm F2.8 の特徴軽さと描写を極めた、新時代の超広角スペシャリスト

  • 「テレ端20mm」の割り切りが生んだ570gの超軽量ボディ
    F2.8通しでワイド端12mmスタートとしては異次元の軽さを実現しています。両レンズのボディサイズを比較してもサイズ感の差は明らかでジンバル運用や長時間の徒歩移動における圧倒的な機動力を約束してくれます。
  • 点像再現へのこだわりと12枚絞り羽根
    星景でのサジタルコマフレアの徹底抑制に加え、夜景で美しく整った「12本の光芒」を描く表現力が魅力です。ちなみに絞り羽根数は偶数と奇数で光芒の出方に違いがあり、「偶数は羽根の枚数と同じ数(12本)」「奇数は枚数の2倍(18本)」の光芒が出ます。すっきり整った光芒を求める人に最適です。
  • 最短撮影距離 18cm
    ワイド端での最短撮影距離は18cmで非常に寄れる設計です。12mmのダイナミックな遠近感を活かし、手前を強調しながら背景を大きくぼかす、これまでにない前ボケ表現が可能になります。
  • リアフィルターホルダー標準装備
    出目金レンズの弱点を克服し、NDやソフトフィルターを手軽に運用可能。※ソニーレンズも対応

FE 12-24mm F2.8 GM の特徴妥協なき最高峰。ズーム全域で完璧を目指す王者の風格

  • G Master品質
    四隅まで破綻のない超解像性能を実現しており、絞り開放から画面の周辺部まで極めてシャープな、ソニーの光学技術を惜しみなく次ぎ込んだGMレンズ。
  • テレ端「24mm」までカバーする高い万能性
    テレ端における20mmと24mmの「4mmの差」は、実際撮影してみるとカバーできる領域の差は明確に現れます。超広角ズームのテレ端における汎用性は「FE 12-24mm F2.8 GM」に軍配が上がります。
  • XDリニアモーター4基搭載の超高速・高精度AF
    ソニーGMレンズはAFアクチュエーターの優秀さも大きな強みです。ミラーレスカメラのAF性能は、ボディだけでなくレンズ側の駆動能力も極めて重要。静粛かつ瞬時に合焦し、最新のαボディが持つ超高速連写や動画時のリアルタイムトラッキングを100%引き出せる信頼性があります。

両レンズの違い

  • 機動力
    「570g(12-20mm)」か「847g(12-24mm)」か。この約277gの質量の違いは、フィールドにおける機動力や疲労度に直結します。サイズ感も異なるため、撮影スタイルによって最適な選択肢が変わります。
  • AFシステムの違い
    タムロンのVXDも十分に優秀ですが、ソニー純正のXDリニアモーター4基による爆速AFや、最新ボディと連携した時の親和性は純正GMレンズに揺るぎないアドバンテージがあります。
  • 表現の方向性
    12枚絞り(12本光芒)のタムロン」か、「9枚絞り(18本光芒)のソニー」か、夜景撮影を重視する人にとっては、作品の雰囲気を左右する重要な分岐点です。

MTFチャート : 対照的な挙動から見える描写の性格

以前のMTF記事でも触れた通り、異なるメーカー間でのMTFチャートの数値を単純に比較することは、測定基準の違いなどから光学的には無意味に近い行為です。しかし、両レンズの「30本/mmカーブ」の動きを見ると、非常に興味深い好対照なキャラクターが見えてきたのであえて比較・分析してみます。

MTFチャート

タムロン(Model A084):セオリーに忠実な王道の挙動

タムロン新レンズの「30本/mm」における放射方向(実線)と円周方向(破線)は、広角レンズにおけるいわば王道(セオリー通り)の軌跡を描いています。一般的な広角レンズでは、画面周辺部に向かうほど実線(放射方向)が上を維持し、破線(円周方向)が大きく下がっていくのが普通です。

ソニーGM(SEL1224GM):周辺部で起きる珍しい「逆転現象」

一方ソニーGMレンズは、「30本/mm放射方向」より「30本/mm 周辺方向」が上回っており、超広角レンズとしては非常に珍しいこの逆転現象と言えます。星景撮影などの点光源のにじみを抑え、ボケ味を活かす一般的な撮影で背景の草木やイルミネーションを配置してボケを作っても、渦を巻くような「グルグルボケ(ざわつき)」が発生せず、すっきりとしたヌケの良いボケになります。

一方で面白いのがソニーGMレンズです。「30本/mm」の動きを見ると、画面中心から16mm付近を境に、放射方向(実線)よりも円周方向(破線)の数値が上回るという、超広角レンズとしては非常に珍しい逆転現象が起きています。

チャートから見える結論:総合力はソニーGM、コントラストはタムロンも超優秀

30本/mmの微細な解像線を見る限り、画面周辺部まで安定した描写を維持する光学性能は、さすが最高峰の「FE 12-24mm F2.8 GM」に分がありそうです。ただし、タムロン「12-20mm F2.8」の「10本/mmカーブ」に目を向けると、実線・破線ともに画面周辺部まで「0.9(90%)」を大きく超える非常に高い数値をキープしています。ヌケの良さやクリアな画面構成に直結する「コントラスト再現性」に関しては、タムロンもG Masterに一切引けを取らない超優秀な性能を秘めていると言えます。

価格 ※2026年7月18日時点の公式オンラインストア価格

  • 12-20mm F2.8 … 332,200円(税込)
  • FE 12-24mm F2.8 GM … 436,700円(税込)

両レンズの価格は約10万円ほど。レンズ資金的に「FE 12-24mm F2.8 GM」に手が出ない方にとって、タムロンの新レンズは魅力的な選択肢と言えます。「12-20mm F2.8」は単に競合レンズより安価というだけでなく、「最新の光学設計と小型軽量コンセプト」を目指した意欲的なハイグレードレンズに仕上がっています。一方のソニーGMレンズは、プロフェッショナルの道具としての「圧倒的な信頼性とブランド価値」への投資と言えます。

ちなみに、マップカメラにおける「FE 12-24mm F2.8 GM」の中古相場価格は31万円前後(2026年7月18日時点)となっており、奇しくもタムロンの新レンズ(新品)とほぼ同価格帯で拮抗しています。新品のタムロンか、中古のGMか、ここも悩ましいポイントです。

あなたはどっち派?

タムロン「12-20mm F2.8」が向いている人

  • とにかく荷物を軽くしたい、登山や旅行、Vlog・ジンバル撮影する人
  • 特に星景や建築物撮影、美しい12本光芒の夜景写真を狙いたい人
  • 「20-40mm F/2.8 Di III VXD」を所有している人

ソニー「FE 12-24mm F2.8 GM」が向いている人

  • レンズ交換なしでテレ端24mmまでの焦点距離が必要な人
  • ソニーレンズのAF性能に信頼をおいている人
  • 様々なシーンに対応できる汎用性ある超広角ズームを求めている人
  • 「最高峰のG Masterを所有する」という満足感とリセールバリューを重視する人

まとめ

ソニーカメラユーザーにとって今回のタムロン「12-20mm F2.8」は、超広角ズームレンズにおいて間違いなく選択肢が増えたことになります。現時点でF2.8通し超広角ズームレンズを所有しておらず、これから購入を検討している方は、良い意味で悩みどころになるのではないでしょうか。最新設計の軽やかな12-20mmを選ぶか、完成された王道の12-24mm GMを選ぶか。贅沢な悩みの始まりです。

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