ソニーの小型軽量コンセプトの超望遠単焦点レンズ「FE 400mm F4.5 GM OSS | SEL400F45GM」が発表されたので、兄貴分である受注生産の「FE 400mm F2.8 GM OSS | SEL400F28GM」とMTFチャートとレンズ構成図を比較してみました。
MTFチャート比較

まず前提として、ソニーが公開しているMTFチャートは「幾何光学的MTF(設計理論値)」です。これは光の回折現象の影響を無視して計算された数値ですが、10本/mm線・30本/mm線ともにほぼ天井に張り付いており、両レンズともに解像感・コントラストともに最高峰の「G Master」の名に恥じない驚異的な数値を叩き出していることが分かります。
ここで注目すべきは、両レンズの「開放F値」の条件差です。よりF値が明るく光学設計が圧倒的に不利なはずの「FE 400mm F2.8 GM OSS」ですが、実線(サジタル方向)と破線(メリディオナル方向)の隙間がほぼ皆無。画面最周辺部に至るまで完璧に同調しており、約170万円という価格と受注生産レンズであることの凄みを無言で物語っています。
一方、新型の「FE 400mm F4.5 GM OSS」は、画面周辺部(16mm〜20mm付近)で破線にわずかな落ち込み(実線との乖離)が見られます。この微細な差が、実際の撮影におけるボケ味や周辺画質にどう影響を与えるのか、そして「なぜソニーはこのわずかな隙間を許容したのか」――その理由は、両レンズの「レンズ構成(光学設計)」に隠されていました。
レンズ構成図

- FE 400mm F4.5 GM OSS
16群22枚
スーパーED(特殊低分散)ガラス3枚、ED(特殊低分散)ガラス1枚 - FE 400mm F2.8 GM OSS
17群23枚 ※フィルター1枚を含む
蛍石レンズ3枚、ED(特殊低分散)ガラス1枚
「FE 400mm F2.8 GM OSS」は光学ガラスの最高峰と言われる蛍石レンズ3枚を贅沢に採用していますが、新型「FE 400mm F4.5 GM OSS」は蛍石レンズを採用せず、代わりにスーパーEDガラス3枚を採用しており、この硝材設計の違いがMTFチャートのわずかな差となって表れています。
純粋な光学性能だけを見れば「FE 400mm F2.8 GM OSS」に軍配が上がりますが、超望遠レンズが活躍するフィールドにおいて機動力(サイズと質量)が極めて重要です。
機動力(サイズと質量)と光学性能の落としどころ
- FE 400mm F4.5 GM OSS
サイズ(最大径x長さ): 108 x 242mm
質量 : 994g - FE 400mm F2.8 GM OSS
サイズ(最大径x長さ): 158.1 x 359mm
質量 : 2,895g
「FE 400mm F4.5 GM OSS」の最大の魅力は、圧倒的な「小型軽量設計」にあります。両レンズの重量差は約3倍(2,895g vs 994g)。新型は1kgを切るクラス最軽量の驚異的な取り回しを誇ります。小型軽量コンセプトで「FE 400mm F2.8 GM OSS」に迫る光学性能を実現し、価格は約1/3に抑えられている点において、トータルバランスが極めて優れたレンズと言えます。※「FE 400mm F4.5 GM OSS」の市場推定価格は500,000円前後
「FE 400mm F4.5 GM OSS」のマイナスポイントを挙げるとすれば、やはりF値の暗さです。単体での描写は肉薄していても、テレコンバーター(1.4倍 / 2.0倍)を装着した時のF値の差が顕著になります。
唯一、「FE 400mm F4.5 GM OSS」の懸念点を挙げるとすればF値の暗さです。単体描写は肉薄していても、テレコンバーターを装着した際のF値の低下とAF限界の差は明確に表れます。
「一切の妥協を排した究極のヨンニッパ」か、「驚異の手持ち機動力を手に入れた新世代のF4.5」か。撮影スタイルやフィールドに合わせて選びたい2本です。



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