ソニーが、小型軽量コンセプトの「FE 600mm F6.3 GM OSS | SEL600F63GM」を発表したので、受注生産の上位レンズ「FE 600mm F4 GM OSS | SEL600F40GM」と基本スペックを比較しました。

MTFチャート

まず最初に、ソニーが公開しているMTFチャートは「幾何光学的MTF(理論値)」です。両レンズは、GMレンズに相応しく10本/mm線・30本/mm線ともにほぼ天井に張り付いており、解像感・コントラストともに最上級の600mm超望遠単焦点レンズを感じさせる圧倒的な数値を叩き出しています。
「FE 600mm F4 GM OSS」の方は、実線(サジタル方向)と破線(メリディオナル方向)の隙間がほぼ無い完璧なチャートとなっており、周辺部まで均一な描写力と美しいボケ味は、受注生産で約200万円だけのことはある象徴的なレンズです。
一方、新型「FE 600mm F6.3 GM OSS」の方は、画面最周辺部に向けて破線がわずかに落ち込んでいることが確認できます。とはいえ、最もシビアな30本/mm線ですら周辺部で90%以上を維持しており、高いレベルを維持しています。これは、ソニーが同時発表した「FE 400mm F4.5 GM OSS」と同様の挙動です。

「SEL400F45GM」vs「SEL600F63GM」レンズ構成比較記事でも考察した通り、この両レンズは「画質を極限まで維持しながら、圧倒的な小型軽量化を達成する」という、全く同じ新世代の設計思想で作られていることが、このMTFチャートからも改めて証明されたと言えます。
レンズ構成

上記のレンズ構成比較画像からも一目瞭然な通り、両レンズの太さとボリューム感には圧倒的な差があります。内部のレンズ構成および使用されている特殊ガラスは以下の通りです。
- FE 600mm F6.3 GM OSS
17群24枚
スーパーED(特殊低分散)ガラス3枚、ED(特殊低分散)ガラス1枚 - FE 600mm F4 GM OSS
18群24枚 ※フィルター1枚を含む
蛍石レンズ3枚、超高度非球面XAレンズ1枚、ED(特殊低分散)ガラス2枚
やはり、光学性能に一切の妥協を許さない「FE 600mm F4 GM OSS」は圧倒的に贅沢です。色収差を極限まで排除する高価な「蛍石レンズ」を3枚も採用し、非球面レンズの欠点である輪線ボケを制御したソニーの最高峰技術である「超高度非球面XAレンズ」を1枚組み込んでいます。前項で見たMTFチャートの驚異的な安定感は、この惜しみない物量投入の結果と言えます。
両レンズともに絞り羽根は11枚(円形絞り)を採用していますが、F値の明るさに加え、輪線ボケを抑えるXAレンズの有無を考慮すると、とろけるような滑らかなボケ味に関しては、やはり「FE 600mm F4 GM OSS」に軍配が上がるでしょう。
しかし、超望遠レンズが活躍するフィールドにおいて機動力(サイズと質量)が極めて重要です。
機動力(サイズと質量)と光学性能の落としどころ
- FE 600mm F6.3 GM OSS
サイズ(最大径x長さ): 108 x 263mm
質量 : 995g - FE 600mm F4 GM OSS
サイズ(最大径x長さ): 163.6 × 449mm
質量 : 3,040g
この圧倒的な質量とサイズの差は、機動力に大きな差をもたらしします。特に半日~1日中フィールド上で使用する場合、体力的も取り回し的にも新レンズ「FE 600mm F6.3 GM OSS」に軍配が上がるのではないでしょうか。焦点距離600mmレンズで1kgを切る質量は魅力的ですよね。
ただし新レンズ「FE 600mm F6.3 GM OSS」のF値は「F6.3」なので、テレコンバーターを組み合わせた時に、かなりF値が暗くなります。なので夕暮れ時や夜明け時、もしくは薄暗い森や林の中でテレコンバーターを使用する時は、ISO感度が高くなったりAF性能に制限がかかる可能性があり、よりF値が明るい「FE 600mm F4 GM OSS」の方が、有利です。
600mmレンズ手持ち運用の限界を突破する「995gという驚異の機動力」を味方につけるか、過酷な環境をもねじ伏せる「F4の明るさと描写力」を選ぶのか、2つの選択肢が用意されています。
価格(税込)
- FE 600mm F6.3 GM OSS
700,000円前後 ※市場推定価格 - FE 600mm F4 GM OSS
1,969,000円 ※ソニーストア価格(2026年9月21日時点)
新レンズ「FE 600mm F6.3 GM OSS」の市場推定価格は700,000円前後。それに対し、絶対王者「FE 600mm F4 GM OSS」のソニーストア価格は1,969,000円です。その価格差は実におよそ3倍、金額にして約127万円もの差があります。この浮いた差額を使えば、ソニー最高峰の「α1」やグローバルシャッター方式イメージセンサーを搭載したスピードカメラ「α9III」を追加し、さらに高性能なテレコンバーターや周辺アクセサリーまで一揃え完璧に揃えることができてしまいます。
そう考えると、価格面における「FE 600mm F6.3 GM OSS」のインパクトは凄まじいものがあります。機動力(小型軽量)の優先順位が高く、その分F値が暗くなっても良いのであれば、MTFチャートも良好で価格も魅力的な「FE 600mm F6.3 GM OSS」は、ベストバイな選択肢に入ってくるのではないでしょうか。

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